投稿者 角さん 日時 2010 年 2 月 28 日 03:17:57: 6fU2vhO1wqtCM
大新聞の米国への自主的隷属
普天間代替基地問題巡り
「日米同盟が危機」と大騒ぎ 2010年1月20日付
長周新聞
http://www.h5.dion.ne.jp/~chosyu/daisinbunnobeikokuhenojisyutekireizoku.html
「新聞やテレビはウソばっかりやる」という評価は数数のいまいましい体験を通じて国民のあいだに定着している。拉致問題のバカ騒ぎ、批判者を袋だたきにして小泉市場原理改革を持ち上げるキャンペーン。いま華華しいのは、普天間問題など日米関係に関連して、「日米同盟の危機」「アメリカを怒らせてはならない」との大騒ぎである。ことは日本の問題であり、よその国が怒りたければ勝手に怒ればよいことなのに、大騒ぎをしている。アメリカの意向を先走りしてうかがい、アメリカに気に入られなければ大変なことになるという調子である。戦後65年、日本はアメリカの植民地状態で、ガタガタに崩壊してきたとの実感は強い。自民党が売国政治をやってきたが、財界や官僚機構や新聞も、アメリカの日本支配の道具を買って出て、日本社会をさんざんに破壊したのである。このメディアのありようについて、今日しっかり見ておく必要がある。
大手新聞が年頭から「日米同盟重視」のキャンペーンを展開している。
『読売』は新年号社説で「日米同盟は日本の安全保障の生命線」と強調。4日付社説でも「当面の急務は無論、米軍普天間飛行場の移設問題の解決」とのべ「鳩山外交の最大の問題点は“日米同盟が基軸”と言いながら、何ら行動が伴っていない」と非難した。『産経』は安保改定50年に際し「自らリスク担う国家を、日米同盟の空洞化を避けよ」(4日付主張)とハッパをかけた。
『朝日』は新年号社説「激動世界の中で―より大きな日米の物語を」で普天間問題と関連して「同盟を維持する難しさはあってももたらされる利益は大きい」と、批判世論に屈せず日米同盟強化で突っ走るよう主張した。
その後も予算関係で、年間6000億円にも上る在日米軍経費への批判が高まると「思いやりではなく必要な負担だ」(11日付『読売』社説)と主張した。
日米外相会談が行われると「同盟深化へまず普天間解決を」(『読売』)、「普天間五月決着、公約に」(『毎日』)と社説で主張。『日経』も「トゲ(普天間問題)を抜くのは鳩山首相の責任だ」(社説)と圧力をかけ、『朝日』も「普天間問題が日米同盟の一部でしかないのは事実だが、双方が納得できる解決策を見いだす厳しい作業なしには同盟の将来を語ることも難しい」(社説)とやった。
海自の給油支援が期限切れで打ち切りとなると「代替の人的貢献策を検討せよ」(『読売』社説)、「国益を失う愚かしい選択」(『産経』主張)、「インド洋給油の早期再開を」(『日経』社説)と非難。『毎日』はアフガン支援で「“民生”の実効性確保を」(社説)とハッパをかけた。『朝日』は「国連の平和維持活動(PKO)や海外の大規模災害に自衛隊を派遣するケースはふえる」「アフガンへの民生支援の肉付けを急ぎつつ検証作業を進めたい」(社説)と主張した。
鳩山民主党政府は、メディアにあおられながら、普天間基地問題で県外移設にするとして、しっかり日米同盟強化をやっている。アメリカ自身も戦略の変更があり、それに見合う新しい形をつくろうとしている。
グアム移転は米軍側の計画 普天間問題の実際
米軍普天間基地は95年に発生した米海兵隊の少女暴行事件を契機に噴き上がった基地撤去世論を受けて、96年のSACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)で13年前に合意された。それは住宅密集地のど真ん中にある危険な米軍基地の除去を宣伝文句にしていた。しかし2001年にNYテロ事件が起き、アメリカが「反テロ」戦争をイラクやアフガンに仕掛け、2006年に「米軍再編計画」を打ち出すと「米軍新基地建設計画」にすり替わった。沖縄の海兵隊はみなグアムに移転する計画であることも明らかになってきた。
現在、アメリカがすすめているのは日本に米軍司令部を移し有事法制も整備した段階で、日本の自衛隊基地、空港、港湾などを米軍がいつでも使えるようにする日本全土の基地化である。日本を米本土防衛の防波堤とするためPAC3などの地対空ミサイル網を張り巡らすことである。それは自衛隊部隊を前面にたたせ、米軍部隊は安全なグアムなど後方に引き下げるためである。日本のメディアはそういった事実を報道もせず、「普天間問題の早期決着」を叫び続けている。それは日本側が頼み込んでアメリカにタダで基地を提供し、沖縄に米軍を置いてもらうというもので、いかに屈辱的な姿かを示している。
普天間代替基地建設費は「日本の要望だから」という形でほとんどが日本側負担となった。米軍からすれば老朽施設のかわりに二四時間使用可能な最新基地をタダでもらえ、キャンプシュワブ内の老朽施設も一挙に最新施設に更新でき、しかも普天間では一本だった滑走路がV字型滑走路に拡充強化されるといううまい話だ。さらにグアム移転に伴う8000人の海兵隊員とその家族(1万人)のための住宅・施設(6000億円が日本負担)までプレゼントしてくれる。
このようなものを「一日も早く合意をしなければ日米同盟にひびが入る」「アメリカが怒っている」と日本の大手メディアは煽っているのである。
小泉構造改革推進でも騒ぐ 日本社会教育に破壊
小泉・竹中の構造改革が日本社会をメチャクチャにしたというのは、すべての国民が怒っている。それを大手メディアがさんざんにあおり、そして新自由主義的改革を進めるために、逆らうものに「抵抗勢力」のレッテルを貼って袋だたきにする。郵政民営化法案が廃案になったとき、米『ウォールストリート・ジャーナル』紙は「少し待てば、われわれは3兆j(郵便貯金の350兆円)を手に入れることができる」と書いていた。日本国民の資産を奪い取ろうとするアメリカなどの外資のため大新聞は「小泉劇場」の演出に狂奔した。
そして派遣労働の製造業解禁や市町村合併などこれまでの政治家ができなかったことをつぎつぎと強行した。
05年2月にはライブドアの堀江貴文がニッポン放送株35%を取得して筆頭株主になり、フジテレビや産経新聞などのメディアを自分のものにしたいと表明した。このときもメディアは「守旧派とたたかう新時代の旗手」として持ち上げたがニッポン放送株の買収劇自体、影の主役はリーマン・ブラザーズ。メディアは外資の日本市場乗っ取りにも一役買った。
さらにアメリカから「ショウ・ザ・フラッグ(旗をみせよ)」とか「ブーツ・オン・ザ・グラウンド」といわれれば、自衛隊派遣を要求しているとメディアがアメリカの意向をくんで大宣伝。アフガン戦争支援のための無償給油支援、イラクへの自衛隊派遣などの特措法を成立させ、戦後初の戦地派兵へ道を開かせたのもメディアが一役買った。
そして北朝鮮をめぐる異常報道である。拉致問題での大騒ぎをやり、北朝鮮がテポドン打ち上げや核実験をすれば、大新聞やテレビが競って虚実とりまぜて演出し、「貿易を全面禁止して経済制裁を」「敵基地を先制攻撃する能力が必要」と煽った。
現実の姿は、北朝鮮が脅威になるようなものではなく、アメリカが日本を前線基地にすることが最大の危機をつくりだしている関係である。
メディアは、真実とか公平とか社会的正義とかの基準は放棄しており、アメリカに認められるのが最大の使命と見なしているようである。そして日本の人民の生活を破壊し、日本社会をさんざんに破壊する道具となっている。
廃刊を免れた日本の大新聞 戦後は米国に尽くす
日本のメディアがかつての戦争で、国民を戦争に駆り立てたことは誰でも知っていることである。戦時下の一九四四年に言論統制の元締め・情報局の総裁として入閣したのは、朝日新聞社主筆・緒方竹虎であり、後任総裁は日本放送協会(NHK)会長の下村宏だった。マスメディアは「軍部の弾圧でものがいえなかった」どころか、みずから権力の手先となり積極的に国民を戦争にひきずりこんだのである。
敗戦後、日本のメディアは米占領下で無傷で残された。占領史研究者は『朝日』『毎日』『読売』について「戦前戦時を内務省・情報局に従属さらには迎合したのと同様に、占領軍の検閲も従順に受け入れた」「検閲への対応には習熟していた」と指摘。そして「戦前も戦後も言論報道の統制にひたすら適応することに専念していた」と明らかにしている。今度は積極的なアメリカの御用新聞になることで廃刊を免れたのである。
GHQの民間情報教育局(CIE)と傘下の民間検閲支隊(CDD)の検閲は徹底したもので、「日本人の戦争有罪性と軍国主義者の責任」を追及する一方、戦争の被害や飢餓、米軍の犯罪、とりわけ原爆については記録したり語ったりすることを厳重に統制した。
一九四九年末には、新聞発行前にゲラ刷りで検閲していたところから、「事後検閲」に変更した。占領軍が意図することを自主的に判断して、自己検閲をするという意味である。このとき『朝日』の嘉治隆一出版局長は社内向けの談話で「事後検閲は形式的には無検閲のようにも見えるが、実質的には自己検閲ということ」「自由になった検閲制度の下にわれわれが執筆し編集する場合にも、やはり各自の心に検閲制度を設けることを無視するならば、人災はたちまちにして至る」と明言した。『朝日』などの大手新聞は、アメリカの意図を先どりして自主的に隷属していく「自己検閲」の体質が社是になっているといわざるをえない。
大規模なメディアになるほど、アメリカと売国的な独占資本の日本人民支配の道具になっている。社会正義とか真理真実などは二の次であり、大多数の日本人民の死活の利益が踏みにじられていくのである。
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