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ガバナンス・国を動かす:第2部・澱む情報/1(その1) 政府答弁書で「調査困難」【毎日新聞】<「天下りに12兆円」撤回> http://www.asyura2.com/10/senkyo81/msg/144.html
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100223ddm001010008000c.html ガバナンス・国を動かす:第2部・澱む情報/1(その1) 政府答弁書で「調査困難」 ◆澱(よど)む情報 ◇「天下りに12兆円」撤回 情報公開に消極姿勢 政府による情報の扱い方は、予算配分などと並んでガバナンス(統治)の質を決める大きな要素だ。かつて行政内部では、情報統制の思想として「由(よ)らしむべし、知らしむべからず」が平然と語られていた。「国民と情報を共有する」と宣言した民主党政権で、情報はスムーズに流れているだろうか。 4500の天下り団体に12兆円の国費−−。衆院選前、鳩山由紀夫首相が無駄の象徴と指摘し続けたデータを、鳩山内閣自ら「調査困難」だとして事実上撤回していた。政府はそれに代わる資料をいまだに出していない。 きっかけは、自民党の谷公一氏が昨年11月に提出した天下りに関する質問主意書だ。 鳩山氏は昨年5月27日の党首討論で「4500の天下り団体に2万5000人が天下り、国の予算12兆1000億円が流れている」と断言し、「信じられない天下り天国だ」と政府を非難した。自民党は「意図的なプロパガンダだ」と公開質問状で対抗したが、鳩山氏は次回6月17日の党首討論でも「数字は決して間違っていない。(質問状は)無礼だ」と言い切った。 野党になった谷氏は、質問主意書で鳩山発言を点検することにした。政府の認定する天下りの総数は鳩山発言の2万5000人と一致するのか。天下り団体への交付総額は12兆1000億円と一致するのか、と。 鳩山内閣は昨年12月4日の閣議で谷氏への答弁書を決定した。そこには「調査に膨大な作業を要することから、お答えするのは困難である」と書かれていた。過去の主張をかなぐり捨ててのゼロ回答である。 天下りの定義にからくりがあった。 鳩山氏が党首討論で引用したのは、民主党議員の請求に応じて衆院調査局が昨年5月に作成した「国家公務員の再就職状況に関する予備的調査」だ。独立行政法人や公益法人に再就職した公務員OBについて、国の行政機関からの回答を単純集計したものだ。 ところが、鳩山内閣は日本郵政社長に元大蔵事務次官を起用した際、批判を避けるために「役所があっせんした場合のみ天下りと呼ぶ」と一方的に定義を変更してしまった。答弁書はこの理屈に基づき「再就職のすべてについて府省庁によるあっせんの有無を確認する必要」があるために、回答は困難との論理構成になっている。 答弁書は政権の自己矛盾をさらけ出した。「天下り根絶」を叫んでおきながら、天下りの全体像を一切把握していないことを意味するからだ。根絶の対象が不明なら、無駄の排除もできない。しかも、自らの狭い定義に基づく再調査の意思も示されなかった。谷氏は「政権に就いた途端、あの数字は実は分かりませんとは何事だ」と憤る。 質問主意書は、議員が政府から情報を引き出す有力な手段だ。内閣は、原則7日以内の回答が義務付けられている。国会審議での答弁と同様に、答弁書は政府の正式見解になる。菅直人財務相は著書で「国会議員にとって最大の武器のひとつ」と指摘している。 野党時代、主意書制度を活用してきた民主党だが、政権獲得後に答弁書を通して情報公開が進んだ例はほとんどない。鳩山内閣は事務次官会議を廃止し、「政治主導」で閣議を運営しているはずなのに、答弁書の内容は依然として防御的だ。 谷氏への答弁書は、内閣府の臨時再就職等監視担当室に所属する官僚が作成した。事務局によると「平野博文官房長官ら政務三役の決裁をきちんと受けて、閣議決定した」という。
ガバナンス・国を動かす:第2部・澱む情報/1(その2) 政務三役を素通りも 毎日新聞 2010年2月23日 東京朝刊
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