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小沢訪米要請キャンベル氏のどこが失策なのか(永田町異聞、2.21)【日経を定期購読している人がいたらすぐに解約すべし】 http://www.asyura2.com/10/senkyo80/msg/867.html
http://ameblo.jp/aratakyo/day-20100221.html 今日の日経新聞朝刊「風見鶏」欄に、「キャンベル氏の失策か」と題する編集委員、伊奈久喜氏のコラムが載っている。 キャンベル米国務次官補が来日し、小沢幹事長に訪米を求めたのは、「キャンベル氏の失策」と言いたいらしい。 なにか新事実でも掘り起こしてくれたのかと思って読みはじめた。行数はけっこう多い記事なのだが、必要な部分だけを抜き出すと、すごく簡単に要約できる。 まず、キャンベルが小沢に会った目的について。 「日米関係は普天間問題でぎくしゃくしている。解決するには、最高実力者である小沢氏を説得すれば話が早い」 この判断が「失策だ」という理由を次のように書く。 「世論調査で7割が小沢氏の幹事長辞任を求めていた。メディアでは参院選の前には幹事長を辞める可能性も語られていた。それを知らなかったのだろうか」 筆者の認識では、米国務省の情報分析はそれほど甘くはない。駐日米大使館やCIAの分析結果は、メディアのつくり出すムードに誘導されやすい世論調査結果とは違う内容であったはずだ。 そして、伊奈氏はこう続ける。 「小沢訪米で米側と合意ができたとしても実効性は乏しい。小沢氏が世論の圧力をかわして権力の座にとどまっても合意の正当性に疑問符がつくからだ」 米国と与党幹事長が日本政府を差し置いて、公式の合意をまとめることがあるとは思えないが、伊奈氏は真剣な筆致でさらに話を進める。 「野党は、小沢氏と米側との合意を鳩山政権に対する小沢支配の証拠と批判する」 合意を正式発表すれば、もちろんそうだが、おかしな前提に立って議論を進めることには唖然とするばかりだ。そして「小沢支配」との批判をかわすには鳩山政権には二つの選択肢しかないというのだ。 「ひとつは小沢氏と米側の合意は政府間の合意ではないと突き放した態度をとる。もうひとつは合意を公表せず『密約』にする手である」 日本政界の最高実力者と目される小沢氏とオバマ大統領とが会談すれば、単なる外交セレモニーだけでは終わらないだろう。小沢氏のことだから、たがいに思うことを言い合って理解を深めるという意味での、新しい日米同盟のあり方について、持論をぶつけるかもしれない。 そうしたなかで、なにがしかの意見の一致があるのが望ましいわけで、それを公表しなければ「密約」だとするのも、飛躍のある考え方だ。それでは外交交渉はほとんど密約だらけとなる。 こういう展開で書いてきながら、伊奈氏は最後に奇妙なことを持ち出して話を締めくくった。ここからは何が言いたいのかさっぱり分からないので、そのまま掲載する。 「昨年12月、あの大規模な小沢訪中団の異様に世界は驚いた。あれをワシントンで再現したら、日本異質論が息を吹き返すだろう。それでも小沢・オバマ会談を実現しなければ、小沢氏は中国傾斜を深め、米国の利益にはならないー。キャンベル氏が日本に対する『戦略的忍耐』から小沢訪米を求めたのはわかる。だが『小沢疲れ』『小沢離れ』した日本国内からの視線は冷たい。ちなみにキャンベル氏の前任者は、北朝鮮政策で失敗した、かのヒル氏である」 小沢氏が訪中団のように派手な訪米をすることはありえない。あの訪中は長年続けてきた「長城計画」という草の根交流であり、公募してあれだけの参加者が集まったのである。 全く事情が異なるにもかかわらず、「あれをワシントンで再現したら」というのは、恣意的な作文としか思えない。 ただし、キャンベル氏が小沢・オバマ会談を実現させたいという意図をもって、小沢氏に会ったことはまず間違いないだろう。 これについては1月11日の当ブログ(http://ameblo.jp/aratakyo/day-20100221.html)に詳しく書いた。概略はこうだ。 米国は日本に生まれた新しい政権に、フテンマを手始めに自公時代同様の従属を誓わせようとしたが、首尾よくいかない。それどころか、民主党の総大将、オザワは、大訪中団を率いて胡錦濤と会い、米国の機嫌をそこねても平然としている。 米国に従順な日本ではないことに、超大国の威信を傷つけられたと感じる勢力がメディアに「日米同盟の危機だ」と吹聴した。ところが、日本のメディアがいつも通りの過剰反応を見せ、騒ぎがエスカレートし過ぎたため、逆に米政府が心配し始めた。 日米同盟の重要性を互いに再確認する必要を感じたキャンベル氏は、中国にだけ行って米国に来ようとしない小沢氏のジラシ手法を承知のうえで、あえて小沢訪米を要請したい意向を時事通信の記者に語った。(以上、11日の記事より要約) その後、小沢氏の資金疑惑が日本のマスコミで大騒ぎとなり、小沢起訴まで取りざたされたが、キャンベル氏は不起訴が決まったその日に、小沢幹事長を訪ねている。 このとき、キャンベル氏は小沢不起訴を確信していたと考えるのが常識的だろう。筆者は米側の情報分析能力の確かさを感じることはあっても、伊奈氏が指摘するように「キャンベルの失策」とはツユほども思わなかった。 おそらく、米国務省は小沢一郎が幹事長にそのままとどまると冷静に見ているはずだ。根拠のひとつは「小沢やめるべき70%」という世論が自民党支持率の急上昇につながっていないことだ。 支持団体が離反したり弱体化し、人材の枯渇が目立つ自民党が参院選に大勝する見込みは薄い。小沢批判票の受け皿となりうる第三極もまだまだ育っていない。 いまのところ、小沢辞任で柳の下のどじょうを狙うムード選挙より、自民党の支持組織に手を突っ込む小沢流リアルポリティックスに期待する空気のほうが民主党内には優勢なのではないか。 日本のメディアの情緒的論調の一例として失礼ながら伊奈氏の記事を取り上げたが、そこにはマスメディアに共通する問題が横たわっている。 「検察の取調べを受けた小沢が、説明責任を果たさず、そのまま与党幹事長に居座り続ける気でいる。これを許すべきではない。潔く辞めない場合はわれわれは徹底的に追及を続ける」 そんな書き手の意識が、小沢関連の多くの記事の中にあふれるほどに読み取れるのである。 そこに、みんなでバッシングしている限り怖くないという、マスコミのぬるま湯体質がないとはっきり言い切れるだろうか。 (南青山コメント)
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