投稿者 カッサンドラ 日時 2010 年 2 月 20 日 09:10:41: Ais6UB4YIFV7c
小沢事務所の政治資金収支報告書については会計専門の方々が色々検討されているが、もう一方の「胆沢ダム斡旋収賄問題」について私なりの考えを述べてみたい。
まず胆沢ダムとは何か。
『事業計画資料などによると、岩手県奥州市に建設中の胆沢ダムは、岩石や土砂を積み上げて造る国内最大級の「ロックフィルダム」。国土交通省が昭和63年、水害軽減や農業用水供給などを目的に事業を開始し、平成25年の完成を目指している。総事業費は約2440億円にのぼる。』・・産経ニュース2009.3.14
そうコンクリートダムではない。土砂や砕石を縦の層状に積み上げて造るいわば「土堰堤」の大きなものだ。
問題となった2004年度は次のような工事が行われている。
『胆沢ダム本体工事は03年1月から五つの工事に分離発注され、鹿島、清水建設などの共同企業体(JV)が04年10月に193億円で落札。原石山材料採取工事を大成建設、熊谷組などのJVが05年3月、151億円で落札しました。下請けにはいずれも、小沢氏側に2回にわたって計1億円を提供したと元幹部が供述している水谷建設などのJVが受注しています。』・・2010年1月30日(土)「しんぶん赤旗」
さらに
『捜査関係者によると、同ダムの工事は一般競争入札で行われるケースが多かったが、大型工事すべての入札で、大手ゼネコンが「仕切り役」となり、事前にゼネコン間の受注調整が行われていたとみられる。談合で、「チャンピオン」と呼ばれる落札予定の企業や共同企業体(JV)が決まると、大久保容疑者が仕切り役から結果を聞き、これを了承していた疑いがある。』・・産経ニュース2009.3.14
文中の談合云々は後で述べるが、要するにこれらの工事は「一般競争入札」で行われた事に注目されたい。
「一般競争入札」は談合を防ぐために、「指名競争入札」と違って業者の選抜をしない。指名競争では施工能力を勘案して業者を選び出し札を入れさせる。しかし業者を選ぶ段階で恣意が入りやすいし、選ばれた少数の業者間で談合も容易だ。
ところが一般競争入札では参加業者がどれだけになるか分からないし、「思わぬ奴」に餌をさらわれる恐れが十分にある。議員とツーカーの業者がはたしてうまく落札できるだろうか。受注できれば万々歳なのだが。
とはいえ100億円クラスの工事であれば施工可能な業者も絞られようから、談合をできないことはない。たとえば次の新聞記事はいかがだろう。
『 民主党の小沢一郎幹事長の地元、岩手県の胆沢ダムの本体工事について、前原誠司・国土交通相は17日、衆院の予算委員会で、入札直前に国交省に談合情報が寄せられていたことを明らかにした。分割発注された2工事で、いずれも談合情報通りの共同企業体(JV)が落札したという。
・・・・・・・
前原国交相の答弁などによると、談合情報が寄せられたのは平成16、17年に入札が行われた「堤体盛立(第1期)工事」と「原石山材料採取(第1期)工事」で、前者は鹿島などのJVが193億8千万円(落札率93・97%)、後者は大成建設などのJVが151億5千万円(同94・42%)で落札した。いずれも談合情報通りで、水谷建設が後者工事の下請けに入ることも事前に指摘されていたという。』・・産経新聞2010.2.18
この記事の中に「分割発注」という言葉がある。これは1件の工事を2つに分ける事を意味する。先にこのダムは「ロックフィルダム」だと述べた。だとすれば提体に盛り土をする工事が、材料を採取する工事よりも先に発注されたということも変だが、そもそも2つに分ける必要があったのか。材料採取と転圧工事は一体ではないのか。材料が到着しなければ、盛り土はできまいに。
「工事費が多すぎる」だから2つに分けた、というのがおそらく説明であろう。「より多くの業者に取らせたい」これが発注者(国)の本音だろう。担当者にすれば2件の工事より1件のほうが、設計書作成の手間も竣工検査の回数も半分で済むのだ。たぶん上部の政治的判断が働いたのだと思う。
これら2件の工事はいずれも2004年度発注工事である。10月とぎりぎりの3月であるから、金額から見て2005年度までまたいだ工事であることは予想が付く。2件とも「落札率」が大きい。一般に95%付近以上であれば十分に談合が疑える。「談合情報」は本当かもしれない。しかし次の話はどうだろう。
『談合情報を受け、国交省は当時、公正入札調査委員会を開き、業者への事情聴取などをしたが、談合を裏付けられなかったといい、前原国交相は「入札制度改革に向け、胆沢ダムの問題も含め、しっかりと検証したい」と述べた。』・・朝日新聞2010.2.18
結局当時は、談合の存在を確認できなかったそうだ。時の政権党が、業者の間で「小沢ダム」と呼ばれているのを知らなかったのだろうか? そこで談合が行われていると情報が入ったとき、小躍りして捜査させなかったのだろうか?
『両工事の下請けに参入した水谷建設(三重県桑名市)の前社長らは「受注目的に04年10月と05年4月、小沢氏秘書に5千万円ずつ計1億円を渡した」と供述。』・・長崎新聞01月30日のニュース
あれちょっと遅いんじゃない。 >『いずれも談合情報通りで、水谷建設が後者工事(05年3月受注)の下請けに入ることも事前に指摘されていたという。』
入札前の情報ですでに「水谷建設」は確定していたんじゃないのか。後払いだったのか?
こんなのもある。
『小沢氏側が「天の声」を出す仕組みはこうです。
(1)ゼネコン側が小沢事務所に陳情
(2)小沢事務所の了承が得られたら談合の仕切り役に連絡
(3)仕切り役が小沢事務所に「天の声」を確認する―というもの。』・・2010年1月30日(土)「しんぶん赤旗」
しかし小沢事務所が「天の声」を発したからといってどうなるのか。野党の議員が一言言えば大ゼネコンたちが「はい」と言って従うのが分からない。国家公務員が仕切る入札業務に四の五の口を挟めた身分ではあるまいに、「天の声」に従わないとどのような妨害を食らったのかゼネコンにぜひ聞いてみたいものだ。「談合をバラすぞ」と凄んだのか?
私の結論としては「談合」は多分あった。しかしその談合情報は歓迎されざるものであった。問題は政権が変わった今になって、なぜこの情報が蒸し返されたかだ。
談合は業者のみでもできるのに、なぜ小沢事務所の「天の声」が必要だったのだろう? 「天の声」とは業者達にとってみれば煩いものでしかない。「天の声」があったにしても、談合情報がタレこまれたのだ。こうした情報を発信するのは、たいてい談合で弾かれた「不満分子」なのだ。
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