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【魚の目:魚住昭氏】検察リークについて思うこと【リークに乗った記者としての自身の体験談を元に】
http://www.asyura2.com/10/senkyo80/msg/612.html
投稿者 傍観者A 日時 2010 年 2 月 16 日 17:57:21: 9eOOEDmWHxEqI
 

http://uonome.jp/read/852
読み物
検察リークについて思うこと
2010 年 2 月 15 日 魚住 昭

 小沢一郎・民主党幹事長をめぐる事件で各紙が「検察リーク批判」に対する反論を載せていた。これは極めて異例のことである。よほど読者からの報道批判が激しいのだろう。
 そこで検察リークについての私自身の体験を語りたい。

 私は一九八九年のリクルート事件当時、共同通信の検察担当記者だった。東京地検は情報管理が徹底していた。ヒラの検事や事務官に直接取材したことがバレれば、庁舎への出入り禁止が言い渡される。
 かといって、幹部たちだけを相手に通り一遍の取材をしていても特捜部の動きはさっぱりつかめない。どうやったら、この鉄壁の城に情報ルートの穴をうがつことができるのか。

 私は検察庁舎の守衛たちにアプローチしたり、闇夜に紛れてヒラ検事の自宅を訪ねたりした。彼らが上司に通報すれば一巻の終わりだが、大半の人たちが黙っていてくれた。
 半年ほどの試行錯誤を繰り返した末、私は特捜部内に複数の有力な情報源をつかんだ。いずれも優秀な捜査官だった。彼らとは暗い路上や電車の中、あるいは安い小料理屋(支払いはワリカンだった)で接触した。
 彼らは私を信頼して捜査の極秘情報を教えてくれた。私も彼らを尊敬し、自分がよそでつかんだ情報を提供した。
 やがて私は気持ちの上で彼らのインナーグループの一員になった。彼らの捜査に協力しながら、自分の仕事に必要な情報をもらうようになった。
 時にはこちらから尋ねもしないのに、政界への資金の流れを教えてくれることもあった。

 そんなとき心の隅で「なぜ、こんな情報をくれるのか」とチラリと思ったが、特ダネをつかんだ嬉しさでそんな疑念はすぐ吹っ飛んでしまった。
 今にして思えば、あれが検察リークだったのだろう。リークの目的は世論を喚起して、捜査に都合のいい情勢を作り出すことである。私はいとも簡単に検察リークに乗った。
 理由は二つある。一つは既に述べたように特ダネが欲しかったからだ。他社との激しい競争を勝ち抜くのに必死だったのでその情報に飛びついたのだ。

 もう一つの理由は、当時の私が「政界の腐敗をただす」という特捜部の正義を信じて疑わなかったことだ。私は特捜部と一緒に日本の政治を良くすることが自分の使命だと思っていた。
 理由はどうあれ、私が記者として超えてはならぬ一線を超えていたのは間違いない。もちろん私がそうだったからといって、今の検察担当記者も同じだと決めつけるつもりもない。

 ただ、情報には恐ろしい魔力がある。それがディープなものであればあるほど情報源と記者との一体感が強まり、記者の情報源に対する批判的な目は失われていく。記者は無意識のうちに情報源の前にひざまずき、相手を正当化し、ある種の「共犯関係」に陥ってしまう。
 検察が極めて重要な情報源である限り、この「共犯関係」は変わらない。捜査当局に依拠する事件報道は当局の太鼓持ちをするよう宿命づけられている。
 たいていの事件では記者も読者もその欠陥に気づかない。気づくとしても足利事件(DNA鑑定の誤りが明らかになり、無実が証明された)のように十数年たってからのことである。

 だが、今回の小沢氏の事件では、検察による小沢狙い撃ちの構図が当初からあからさまに見えた。多くの人々が捜査の公正さに疑問を感じた。だから報道批判も強まったのだろう。

 これから次第に小沢事件の真相が明らかになっていく。一連の報道を検証してみると、新聞やテレビがいかに検察の尻馬に乗って虚報や誤報を連発したかが明らかになると思う。
 それでもたぶんメディアは責任を他に押しつけ、口をぬぐってすませるだろう。今まで同じ過ちを何度繰り返しても、当局との関係を根本的に改めようとしなかったのだから。(了)
 

(編集者注・これは週刊現代の連載「ジャーナリストの目」に掲載された原稿の再録です)  

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コメント
 
01. 2010年2月16日 18:04:07
記者OBの、こういうカミングアウトは貴重ですね。
以前、twitter上で岩上氏に「OBからのリーク体験告白が出ないのはなぜ?」と質問して、無視されたことがある。
リーク批判というのは、一種のネガキャンなのかと疑ったりもした。
魚住氏以外の話ももっと聞いてみたい。

02. 2010年2月16日 18:22:05
会社と社会
会社とは契約しても、社会とは契約してないんだよね。
この時期に魚住氏のカミングアウト・・・やっと社会契約したんですんね。
善かったです。

03. 2010年2月16日 19:46:56
一見反省しているような文面だが、言い訳じみていてあまり信用できない。今回のリークは明々白々な検察情報のタレ流しでしかない。勿論、各メディアの上の方針に沿って報道されているわけだ。何が特ダネだ。

04. 2010年2月16日 19:59:09
たしかに、言い分けじみているように、私もにも感じられた。
今一つ踏み込みが足りないのだ。
明らかな誤報、たとえば○○が自供した、とニュースで流れたことがあったが、後に弁護士の会見で否定されたり、現金の授受が都心のホテルで行われた、とさも見てきたようなニュースが流れたりとか、そうした、検察リーク以外にあり得ず、世論誘導があからさまなリーク記事について、口をつぐんで、決して批判していないところだ。
魚住昭という人は、なんのかんの言って、やはり報道記者の側の人間ということだ。
「これから次第に小沢事件の真相が明らかになっていく」なんて言っているけれど、明らかな検察リークによる誤報記事はいくらでもあるというの、なぜそのことに言及しないのだろう。

05. 2010年2月16日 22:46:19
馬鹿野郎、リークとは会話せず情報を聴き取ることだ。
後は想像で記事を書く。
by岸井成格

06. 2010年2月17日 05:02:25
うがった見方をすれば、魚住 昭さんの今回の記事も「リーク」かもしれない。

しかし、ここまで日本のマスコミ・ジャーナリストを信用できなくなったことは多くの日本人にとって一面不幸かもしれない。
だが、はっきりさせておかねばならない、種をまいてきたのはマスコミ・ジャーナリスト側であって、視聴者側ではない。
今後も種をまき続けるかどうかの判断は、マスコミ・ジャーナリスト側だ。
視聴者側は、受け入れるかどうかの判断をするだけだ。

もし、受け入れないと判断した場合は....(fade out)


07. 2010年2月19日 21:01:44
魚住 昭氏が検察リークによって特ダネ記事とした内容は、リクルート事件から20年経った今から考えて、正しい内容であったのだろうか?リクルート事件そのものも、今の小沢vs検察の小型版で、検察は本当に正しかったのだろか?そのお先棒を担いだ魚住氏はどのようにご自分を総括しているのであろうか?重要なのは、記事の内容が正しかったのか?ということ。今の小沢VS検察の検察リークはうそでかためたでっち上げをリークして、それをマスゴミの記者は裏付け無しに記事にして、検察も新聞記者も犯罪を犯している様に思われる。マスゴミの新聞記者は記事にする事によって他人に痛みを生じる事を認識しているのか?自分が犯罪を犯しているとの認識があるのであろうか。魚住 昭氏の返答が聞きたいものだ。

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