09. smac 2010年2月16日 07:09:01: dVqzW59EefGnc この細野氏による分析は緻密ですが、根本的な部分で誤認識が含まれています。 細野氏の説明は、 @小沢氏からの現金4億円を「仮受金」と看做し、それは陸山会の定期預金4億円によって決済されているから「借入金」ではない。 A定期担保の融資で小沢氏の手に入った4億円を陸山会が「借入」し、土地代金に充てた。 BAの借入金は04年の収支報告書に記載されており、会計処理として問題はない。 …というものです。 しかし、この解説では陸山会が不動産取得に際して「常に」購入相当額の定期預金を組んできたことを説明できません。 現金4億円を仮受けたことにより、決済が必要となって定期預金を組んだのであれば、03年以前の「仮受け」がない不動産購入で、定期預金を組んだ理由が分らなくなってしまうのです。 この矛盾の原因は、細野氏が「04年、不動産業者と土地売買の契約をし、代金を支払ったのは『陸山会』である」と勘違いしている部分にあります。 事実は「04年、不動産業者と土地売買の契約をし、代金を支払ったのは『小澤一郎』である」なのです。 仮受金が決済されていたとしても、もし陸山会が04年に土地代金を支払っているのであれば、これを04年の収支報告書で支出計上しなかったことが「違反」に問われます。 登記が05年だから、支出もそれに合わせた…という言い訳は、会計責任者の裁量範囲内で許容されるとしても「違反は違反。形式犯だが罪になる」という主張には勝てません。 確かに、小沢氏からの現金4億円は、石川氏が受領した時点で、課目未定の「仮受金」だったと思います。 定期預金を担保とした融資が土地代金支払いに間に合えば、この現金は「借入金」に分類される予定だったのでしょう。 事実、石川氏はこの金を陸山会の複数の口座に分散して入金しています。 定期を組むために財務が悪化し、資金ショートするリスクに備えたわけですね。 しかし融資が間に合わず、石川氏はこの金を複数の口座から出金し、ひとつにまとめて土地代金支払いに充てました。 その時点で「仮受金」4億円は、再び小沢氏に帰属し「決済」されたことになります。 なぜなら、土地代金の支払い者は「小澤一郎」だからです。 逆に、融資が間に合った場合、小沢氏に融資された4億円は陸山会に転貸されず、小沢氏による土地購入の代金として使われていたはずです。 この場合、現金4億円が「借入金」であり、融資の4億円は小沢氏の金のままです。 事実は、融資が間に合わなくなり「仮受金」だった現金4億円は、再び小沢氏に帰属…すなわち決済されて、融資の4億円が陸山会に転貸されたわけですが、いずれの場合でも陸山会が小沢氏から借入した金は4億円のみです。 つまり、04年の収支報告書に記載された「借入金:小澤一郎:4億円」は金額も期日も借入先も正確であり、なんら問題がないということです。 現金4億円を陸山会の複数口座に分散入金した時点で「仮受金」が「借入金」として処理された…という見方もできますが、その場合、石川氏がそれらを出金して土地購入代金を支払った時点で、小沢氏に「返済」されたことになります。 この場合、陸山会の借入金は総額で8億円になりますが、返済4億円と相殺され、残高は4億円で帳尻が合います。 政治資金規正法では、同一年に於ける同一借入先での借入金と返済金の相殺が認められていますので、この解釈の場合でも問題は無いということです。 借入金については上記の通りですが、支出についてはどうでしょう? 世田谷区の土地取得に関する陸山会としての支出は、04年に発生しておらず、小澤氏が土地を購入、登記した後の05年1月になって、初めて「陸山会としての支出」が発生した…という事実認識が、この問題を理解する上での、一番の「肝」です。 04年の支出は「小沢氏が土地代金を支払った」だけのことで、陸山会とは無関係なのです。 したがって、陸山会の04年収支報告書に土地代金の支払い課目として支出の記載が無いのは当然のことであり、それこそが、私の「形式犯ですらない」とする主張の根拠になっています。 細野氏は 「(小沢氏の説明によれば、)この金は、陸山会が東京都世田谷区の土地を購入するに際して当座の資金がなかったので、自分が一時用立てたものとのことである」 …と書いておられますが、実際の小沢氏の説明はこれと異なります。 陸山会は4億円の定期預金を組むにあたり、各政治団体の資金をかき集めればなんとかなるが、それだと金庫が空っぽになり活動資金が不足するので、小沢氏に資金調達できないかという相談があった、そこで現金4億円を用立てた…というのが小沢氏の説明でした。 つまり、小沢氏が現金を用立てたのは「陸山会の資金繰り」に供するためであり、陸山会が土地購入代金を支払うためではありません。 これが予定どおり、資金繰りに使われたのなら、この金は「借入金」になります。 しかし実際は、再び小沢氏に帰属し、小沢氏による土地代金の支払いに使われたのですから、最終的には「借入金」に当たりません。 たとえ一時「借入金」扱いとなっても、土地代金支払いと同時に「返済」されていますので、04年の収支報告書に、この4億円を加算する必要は全くないのです。 04年の土地代金支払い者は「小澤一郎」である…という一点を理解すれば、陸山会の資金移動に関する会計処理は、すこぶる単純なものになります。 専門家の分析にケチをつけるわけじゃありませんが、細野氏は、この「一点」を理解されていなかったために、複雑な課目分類を駆使しなければ、石川氏の会計処理を正当化できない…という迷路に迷い込まれているのでは思います。(それでいて「形式犯」は否定できない) 「04年の土地代金支払い者は『小澤一郎』である」 これは私の勝手な解釈じゃありません。 この事実は、03年以前の陸山会による不動産取得経緯からも証明できるのです。 「石川氏に会計知識が不足していたため、細かな部分で不備はあったが、違法とまで言えるものではない」っていう主張では裁判に勝利できません。 なにせ「ゼロ円の賄賂」を認定してしまうのが、今の日本の裁判所なのです。 「陸山会の収支報告書には一点の不備もなく、規正法違反に問える事実など何処にもない」 「その事は、本件以外の陸山会の不動産取得経緯によって、100%証明可能である」 石川氏の弁護団は、まさにこの姿勢で公判に臨まれるべきであると、私は思います。 |