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欺瞞だらけの公務員制度改革 民主党にもはや脱官僚を唱える資格なし http://www.asyura2.com/10/senkyo80/msg/312.html
http://diamond.jp/series/kishi/10076/
幹部人事は何も変わらない 第1の問題点は、“政治主導の幹部人事”と叫んでいる割には、実際には機能しない仕組みを採用しているということです。政権の説明を鵜呑みにしたメディアは「次官を部長に2段階降格できるようになる」と報道していますが、法律の規定を読むと誇大広告も甚だしいと言わざるを得ません。 幹部人事の仕組みとしては、まず官邸が幹部候補者名簿を作成し、各省庁の大臣は官邸と協議しつつ、その名簿に記載されている者の中から幹部職員を任用するとなっています。 おそらく名簿は次官・局長クラスと部長クラスの2種類になりますが、まず次官から局長へと異動する場合は降格ではありません。次官と局長を職制上同一の段階にしたので、正確には横滑りです(その割には次官の給料は下がらないようですが)。 次に、次官・局長から部長への降格は制度上あり得ますが、実際には3つの特例要件(他と比して実績が劣る、別の人の方がより優れた業績を挙げると見込まれる、転任させる適当な官職がない)を充たす場合に限られます。つまり、降格の要件が法律上非常に厳しくなっている(第78条の2)ので、実際には起き得ないのです。そして、部長クラスから課長クラスへの降格については法律上何も規定がなく、公務員の身分保障が適用されて絶対に起きません。 その結果、何が起きるでしょうか。 天下りも出来ない中で、部長クラスになった官僚は定年までずっと役所に居座るのです。幹部の降格が出来ないのですから、名簿に入っている幹部の中から政治家がお気に入りを選ぶことはできますが、若手官僚や民間人の抜擢人事など不可能です。そして、名簿に載っているたくさんの幹部をきれいにポストにはめ込むのはすごく複雑なパズルですので、政務三役でそれを仕切るのは不可能であり、結局は今までと同様に官僚の側で人事を仕切ることになるでしょう。なんかしょぼい政治主導です。
かつ、そのときの国会審議で、当時野党だった民主党はこの条文を徹底的に批判しています。2月の衆議院予算委員会では当時の行革調査会長であった松本剛明氏が、そして3月の参議院内閣委員会では現官房副長官の松井孝治氏が「この規定では降格人事はほとんど出来ない」と強く批判しているのです。 ついでに言えば、当時の公務員制度改革事務局の審議官は、公務員の労働組合である公務労協に対して「幹部職員の降任については、裁判になっても持ちこたえられるような客観的な事実がないとできないと考えており、そんなに怒るものではない」と説明しています。 つまり、民主党は、政治主導の幹部人事を実現するためには幹部の降格を出来るようにすることが不可欠と分かっているはずなのに、自らが強く批判した自民党政権時代の条文をそのまま使い、実際には柔軟な政治主導の幹部人事が出来ないようにしているのです。 その理由はおそらく、公務員の身分保障を死守したくて、降格人事が下のレベルにまで波及することを嫌った労働組合に配慮したからなのでしょう。 それなのに「政治主導の幹部人事」、「次官から部長に二段階降格が可能」と喧伝するのは、国民に対する背信行為、裏切りです。マニフェストでさんざん喧伝した政策決定メカニズムと同様に、机上の理論としては正しいけれど実際には機能しない仕組みなのです。 内閣人事局の機能は 自民党政権時代の法案では、人事院や総務省などに分散している公務員制度関連の権限を内閣人事局に集約し、国家公務員の総人件費や定員などを内閣が一元的に管理することを目指していました。 しかし、今回の民主党政権の法案では、人事院や総務省などの権限の移管はなくなっており、上述の実際は機能しない幹部人事だけを担当するようになっています。その理由は簡単で、労働組合が人事院の機能移管に反対しているからのようです。これでは、公務員の人件費や定員の削減を政治主導で実現できるとは思えません。
自民党政権が設立した官民人材交流センターは「民間人材登用・再就職適正化センター」に衣替えし、国家公務員の再就職支援は分限免職時に限定されました。つまり、組織的に合法的な天下り斡旋はしないとなったのですが、一方で、天下りや渡りという行為自体に対する行為規制は存在しません。昨年の日本郵政の人事で起きたような閣僚の斡旋や、既に天下りしている官僚OBからの誘いは引き続き容認される可能性が高いのです。 第4の問題点は、給与法の改正が含まれていないということです。つまり、最初に指摘したように定年まで居座る幹部の給料も下げられないし、民間並みのリストラも一切出来ないのです。 民主党は、国家公務員の天下りを止めて定年まで働かせるようにしようとしています。かつ、定年を65歳まで延ばそうとしています。それなのに給与法を改正しないで、どうやって公約である国家公務員の総人件費の2割削減を実現できるのでしょうか。 キャリア官僚と自民党、労働組合と民主党 早く政界再編が起きない限り、日本で正しい公務員制度改革を実現することは不可能なのかもしれません。民主党には今後一切「脱官僚・政治主導」と言ってほしくないです。
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