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【やはり政治テロか?】元厚生次官らに対する連続殺傷事件 第8回公判 弁護側最終弁論の詳細 http://www.asyura2.com/10/senkyo80/msg/282.html
2008年11月17日から18日にかけて発生した、元厚生次官ら連続殺傷事件の被告側最終弁論が10日、さいたま地裁で開かれ、最終弁論の詳細な内容が明らかとなった。この事件に関して、小泉被告は事件当時、正体不祥?の組織が送り込んだ鉄砲玉であり、事件の真相は政治的なテロであるとの言説がここ阿修羅サイトへの数多くの投稿でまことしやかに流された。 阿修羅サイトは陰謀論がよく投稿される「陰謀系サイト」であるので、こうした陰謀論が数多く投稿されるのは理解できる。しかし、この事件に関しては陰謀はないと私は思う。理由は被告の動機が「了解可能」であるからだ。動機が了解可能であれば当然のことながら「陰謀論」の出る幕はなくなる。 私は陰謀論すべてを否定するものではない。例えば、2002年10月に発生した石井紘基刺殺事件は、政治的な背景を持った「暗殺」である可能性が高いと考えている。 以下の記事は、10日に産経新聞に掲載された、第8回公判 弁護側最終弁論の詳細である。被告の動機が了解可能であるかそうでないかじっくり検討してみてもらいたい。なお、報道が産経新聞だから信用できない、などという反論はこの記事には通用しない。理由は読んでもらえば分かるだろう。この記事を読んでも被告の動機が了解可能でないと考える人がいても不思議ではないが、被告が自らの正当性を主張すればするほど死刑の可能性が高くなるという点には留意したほうがよいと思う。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/100210/trl1002101514005-n1.htm 《元厚生次官らに対する連続殺傷事件で、殺人や殺人未遂などの罪に問われたさいたま市北区の無職、小泉毅被告(48)の第8回公判が10日午後、さいたま地裁(伝田喜久裁判長)で始まった。この日の公判では弁護側の最終弁論が行われ、最後に改めて小泉被告が意見を述べる予定だ。一連の公判は今回で結審する》 《前回公判で検察側から死刑求刑を受けた小泉被告。これまでの公判では元厚生次官らを殺傷したことを認め、「子供のころに飼っていた犬のあだ討ち」などと説明したが、一方で「私が殺したのは、邪悪な心を持つマモノであると、今でも確信している」と、無罪を主張している。弁護側がどのような観点から小泉被告を弁護し、最終弁論を展開するのか注目される》 《起訴状によると、小泉被告は平成20年11月17日夜、さいたま市内の元次官、山口剛彦さん=当時(66)=宅で、山口さん夫妻を刺殺。翌18日夜、東京都中野区の元次官、吉原健二さん(78)宅で、吉原さんの妻、靖子さん(73)を包丁で刺して殺害しようとしたほか、元社会保険庁長官の横尾和子さん(68)と家族の殺害も計画したなどとされる》 《午後1時28分、さいたま地裁301号法廷には、すでに小泉被告が弁護人の前の長いすに座っている。白いジャンパーを着て、穏やかな表情。裁判長の方を見たり、検察官の方を見たりしている。伝田裁判長が開廷を宣言する》 裁判長「本日は弁護人の弁論を行います」 《小泉被告の弁護人が立ち上がり、最終弁論書の読み上げを始めた》 弁護人「被告人は本件犯行を私怨(しえん)、義憤としています。35年前に殺された愛犬チロのあだ討ちや、社会の不正への義憤などとしています。また、検察官は、計画的な犯行で、用意周到に準備されていて、動機も身勝手極まりないとしています」 《弁護人はまず、小泉被告の主張や検察官の主張を確認した上で、自分の主張を述べていく》 弁護人「まず、被告人の責任能力についてですが、妄想性障害に罹患(りかん)しており、心神喪失か心神耗弱状態にあったと考えます」 《小泉被告は、弁護人のこの言葉を顔色も変えずに聞いた。弁護人が、その理由を説明していく》 弁護人「動機の了解可能性が必要ですが…」 《「了解可能性」とは、犯人が正常な心理状態だったかどうかや、正直に動機を語っているかなどを検証するための考え方だ。一般には『了解』できない、あまりに異常な動機を述べている場合、心神喪失か心神耗弱だと考えることも可能と主張しているようだ》 弁護人「被告人の語る動機は了解可能とはいえません。犬の殺処分の恨みや不正への義憤などといった動機は、死刑を覚悟しながら人を殺傷するにはあまりに軽いものです」 《弁護人は、これまでの公判で明らかになった事実などを振り返りながら、35年前に愛犬を殺されたことにこだわる小泉被告の供述などが不合理であると強調した。さらに、小泉被告について責任能力があると結論づけた獨協医大越谷病院、井原裕教授の鑑定について、動機の分析などが不十分と厳しく批判する》 弁護人「井原鑑定は不十分な鑑定で重大な点に踏み込んでいません。『被告人が社会への不満を抱き、被害者意識が生じていった』といっても、なぜ不満が生じていったかに踏み込まないと鑑定にならない」 《弁護人は、井原鑑定が不十分な理由を整理して、まとめていく》 弁護人「まず、鑑定医と被告人の信頼関係が築かれていなかったし、井原医師は信頼関係の構築が必要とも思っていませんでしたし、不十分な診察しか行われていなかったのです」 《弁護人は、小泉被告の証言から鑑定が行われたのが9回で、そのほとんどが1回1時間程度だったとした上で、難しい点については踏み込んだ鑑定が行われなかったと強調した。特に、35年前の愛犬の話は聞きながら、ここ10年の小泉被告の心理状態について、あまり触れていないことを厳しく批判する》 弁護人「公判でも井原医師自身が『拘置所の中で被鑑定人(小泉被告)を怒らせても仕方がないので執拗(しつよう)に聞くことはしませんでした』と証言しています。さいたま市に転居してから10年間が重要なのに、そこについて深く聞いていないのです」 《さらに再び、動機の分析についても触れていく》 弁護人「愛犬のあだ討ちが、赤穂浪士の報復と同一線上にあるとしていますが、それと愛犬チロの殺処分は同一線上には論じられません」 弁護人「不幸なことに、被告人の精神構造は解明するに至りませんでした。裁判所が精神鑑定を認めなかったのです。死刑ならば取り返しがつかないことになるのですから…」 《弁護人は、さらに弁論書の読み上げを続けていった》
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/100210/trl1002101558007-n1.htm 《小泉毅被告(48)の弁護人が、最終弁論書の読み上げを続けている。弁護人はこれまで、小泉被告が犯行当時、心神喪失や心神耗弱に該当するとの主張を繰り広げてきた。続いて小泉被告に襲われて重傷を負った、元厚生次官の吉原健二さんの妻、靖子さんについて触れていく》 弁護人「被告人は、吉原さん方に侵入し、妻の靖子さんの胸を突き刺しましたが、遂行を中断しています。中止未遂が成立すると考えています」 《「中止未遂」とは、犯人の意思で犯行を中止することで、刑法では、減刑または刑が免除されることになっている。検察側の主張では、小泉被告に襲撃された靖子さんは、いったん尻もちをついた後、立ち上がって逃げ、追いかけて刺そうとする小泉被告から逃れたとされる。弁護人は、この主張を否定し、小泉被告が自分の意思で犯行を中断したと主張した》 弁護人「靖子さんが尻もちをついたことに争いはありません。被告は、その時間は3、4分と言っています…。見知らぬ男に胸を刺され、尻もちをついたとき、間髪入れずに体勢を立て直すとは、にわかには信じられません…。被告人の(3、4分という)認識の方が、客観的裏付けがあります」 《続いて、靖子さんが命ごいをした状況について触れる》 弁護人「被告人にとって予想外のことが起こりました。靖子さんは『すいません、ごめんなさい』などと命ごいをしたのです。被告人には『プライドの高い元厚生次官の妻が命ごいをするはずはない、家政婦ではないか』という疑念が生じ、『何としても殺害をやり遂げたい』と思う一方で『許してやろうか』とも思いました…。被告の中では、『予定通り殺せ』という意思と、『助けよう』という意思がぶつかりあい、混乱したといえます」 「検察官は『被告人が靖子さんを追いかけた』と言いますが、靖子さんは、そのことを認識していません。その時、被告人は元次官が屋内にいるのかに関心を持っていたのであり、追いかけたわけではありません…」 「以上のことから、『中止未遂』が成立すると考えます。仮に成立しないとしても、命ごいを前にしたためらいは、被告に人としての心情が存在することを示しており、死刑回避の要素になります」 《ここで、弁護人は一息ついた。次は「自首の評価」についての主張だ。小泉被告は事件発覚後、自ら警視庁に出頭している》 弁護人「被告人が出頭した時点で、一連の事件について、被告人が犯人であるという証拠はなく、目撃者もいませんでした。出頭しなければ、検挙に至らなかった可能性が極めて高かったのです」 「被告人は出頭の際、凶器などをすべて持参し、その後の聴取に対しても、隠すことなく行為のすべてを話しています。自首により、犯行の全容が容易かつ短期間に判明しているのです…。本件では、自首による裁量的減刑がなされるのが相当と考えます」 《小泉被告は、両手のひらを太ももの上で組んで、黙って弁護人の読み上げを聞いている》 弁護人「最後に、被告が人間性を失っていない、ということです」 《弁護人は、小泉被告が犬好きであることや、公判でみせた人間性をうかがわせる言動を再現することで、情状を訴えていく》 《小泉被告は、騒音トラブルで建設会社の社長宅にクレームをつけに行った際、犬の名前入りの表札を見つけ「犬をかわいがる人は悪い人ではない」と思ったという。また、公判でも、被害者の靖子さんも犬好きであると聞かされ、「今は考えないようにしている」と答えている。弁護人は、そうした証言を振り返りながら、小泉被告の中にある“良心”を裁判官らに印象付けようとしていく》 弁護人「被告人は、血の通った人間性を豊かに持っています。それが外に出ないよう、無理に押し込めている。かたくなで切ない姿勢が見て取れます…」 《続いて弁護人は、被告人質問で、愛犬チロについて問われた際、小泉被告がみせた言動を振り返った。小泉被告は公判でチロの話をした際、言葉を詰まらせたり、自分で自分のほおをたたいたり、大きく動揺している》 弁護人「このときの被告の心情は、極めて純粋だったことは、供述態度から明らかです。実は、被告の内面は、切れば血がほとばしるほど熱いものであり、それが外に出ないよう、押し込めているのです…」 《公判の様子を詳細に再現する弁護人。小泉被告は黙って聞いているが、心なしか耳が赤く染まっているようにも見える》 弁護人「極悪非道な犯行といいますが、被告人は無理をして、極悪非道なふりをしている、というのが正確です。その弱さは、靖子さんの命ごいを前にして、あらわになっています」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/100210/trl1002101607008-n1.htm 《最終弁論で小泉毅被告(48)の「人間性の豊かさ」や「心の弱さ」を強調する弁護人。元厚生次官の吉原健二さんの妻、靖子さんを襲った際、命ごいを受けて殺害をためらった姿を強調する》 弁護人「検察官は被告が極悪非道だと断じていますが、靖子さんが命ごいをするのを前にして、許すべきかどうか迷って混乱してしまいました」 弁護人「また、被告人質問で、『やったことは後悔していないが、私のやったことで両親や兄弟がつらい思いをしているなら、私を責めてほしい、私につらい思いを渡してほしい』とも述べています。被告を極悪非道と断じないでほしい。被告の内面には豊かな人間性があることが分からなければ、量刑を正しく判断することはできないと考えます」 《そして弁護人は、最後にこう結んだ》 「豊かな人間性があるからこそ、遺族のやりきれない気持ちに気づくのです。裁判所が被告人の完全責任能力を認めたとしても、被告の豊かな人間性は、死刑選択を踏みとどまらせる最後の事情になるはずです」 《弁護人は、最終弁論を終えた。最後に行われるのは小泉被告の最終意見陳述だ。伝田喜久裁判長が口を開く》 裁判長「これで検察官、弁護人とも最後の審理が終わりました。被告人は何か述べることはありませんか」 《弁護人の前の長いすに刑務官に挟まれて座っていた小泉被告は、裁判長に促されると立ち上がり、着ていた白いジャンパーを脱いで証言台の前に立った》 被告「まず意見を述べる前に…」 《静かな口調で語り始めた小泉被告だが、急に声を張り上げる》 被告「当時、事件の後、そして今も、私は心身共に健康な健常者です」 《静かだった法廷の空気は、突然の大声で一変する。弁護人が弁護のために展開した「被告は妄想性障害」「心神喪失か心神耗弱」という主張を、自ら否定しているようだ。小泉被告は、演説をぶつような、大きなはっきりとした声で独自の論理を展開していく》 被告「人は身勝手な理由をこじつけ、さまざまな動物を殺している。国は、毎日毎日行っている邪悪で残忍な虐殺を、身勝手な法律を作り正当化している。厚生官僚どもの大罪は万死に値する」 《「身勝手な」「万死に」といった言葉を強調する小泉被告》 被告「環境省までも動物愛護の名のもとに虐殺している。この国では尊い命のペットがゴミ扱いされている。死して朽ち果てようとも官僚の大罪を許さない。34年間思ってきたことがやっと実現でき、満足しています。計画では4匹のところ1匹しかできず残念に思っている」 《「満足」という言葉を「ま・ん・ぞ・く」と、一音ずつ強調する小泉被告。しかし、「4匹」「1匹」という言葉遣いは異様だ。元厚生次官ら元高級官僚ら4人を殺害しようとして、山口剛彦さんしか殺害できなかったと言いたいようだ》 「生まれ変わったら、もっと多くのマモノを殺したい。そして何度も何度も何度も何度も、輪廻転生(りんねてんしょう)を繰り返してやつらを皆殺しにし、チロの無念を、そしていまだに虐殺している動物たちの無念を晴らしたい」 《「何度も」を4回も繰り返し、大きく強調して述べる小泉被告》 「終わりに、心の中が人間のエゴで満たされている人間には私のことは理解できない。以上」 《最後に、「以上」の語尾を「いじょーーー」と延ばした小泉被告の声が法廷に響き、最終意見陳述は終わった。裁判長が閉廷を宣言すると、小泉被告は、傍聴席に座る遺族らに目を向けることなく、表情も全く変えずに法廷を後にした》
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