投稿者 いさむ 日時 2010 年 2 月 07 日 21:20:21: 4a1.KLUBdoI16
http://gekkan-nippon.at.webry.info/200912/article_1.html
鈴木宗男先生、『正論』澤氏論文へ大反論
月刊日本編集部ブログ
作成日時 : 2009/12/07 13:20
〔転載はじめ〕
現在発売号(12月号)掲載の、鈴木宗男先生論文から、『正論』誌に掲載された澤論文への反論部分を掲載します。
ソ連の管轄を認め、北方領土に渡った澤秀武氏よ!本当の国賊はあんただ!
嘆かわしい保守論客の基礎体力低下
月刊日本7月号、8月号、9月号での拙稿で、櫻井よしこ氏、小林よしのり氏の北方領土問題に関する私への批判について反論した。彼らが私を批判する論点は、おおよそ以下のものだった。
〈鈴木宗男は国後、択捉、歯舞、色丹の四島ではなく、二島のみの返還をもって領土問題の最終的解決とし、ロシアと平和条約を結ぼうとした(あるいは現在もそうしようとしている)国賊である〉
彼らがいかに勉強不足で、いかにその主張の根拠が薄弱であるか、月刊日本の読者の皆様は既にご存じだろう。既に私は一貫して四島返還論者であり、二島のみで問題の解決を図ろうとしたことはないことも、十分な御理解を戴けていることと考えている。
文芸評論家の山崎行太郎氏がかつて述べられたように、櫻井氏や小林氏が保守系論客として脚光を浴びてきたことは、他ならぬ、保守陣営の基礎体力が落ちていることなのだろう。その新たな兆候を、今回また一つ、見つけてしまった。
外交評論家の澤英武氏が、10月25日付の國民新聞、そして月刊『正論』の12月号において、それぞれ「危うい鳩山・鈴木宗男氏の対露外交」、「これではロシアの術中にはまるだけ? 鳩山・鈴木で北方領土は取り戻せるか ―復活する“二島先行返還論”の危うさ」との題で、私を批判する論文を寄稿している。既に読まれた方もいると思うが、その内容は、櫻井氏や小林氏の主張と同様に、「四島一括返還を堅持せよ」というものだ。
その主張に対する反論は、基本的に櫻井氏、小林氏に対する反論で事足りると考えている。敢えて同じことを繰り返す必要もないのかもしれないが、いくつか看過できない点があるので、それらについて指摘しておく。
澤氏の私に対する批判ぶりはなかなか勇ましい。
〈民主・社民・国民新党の連立与党政権にも入らない、たった一人政党、新党大地代表の鈴木宗男氏を外務委員長に任命したことに、鳩山首相の“外交音痴ぶり”がうかがえる。衆議院外務委員長たるもの、対露だけでなく、対米、対中、対北朝鮮、アフガン、さらに核問題、環境問題など、国際関係全般における日本の立脚点を定め、確固たる識見とバランス感覚を持ち、しかも民主党内にしっかりした信頼関係を持つ人物でなければならない。〉(正論12月号197頁)
私自身、自分が全知全能の政治家であるとは思っていないが、日本が進むべき道について自分なりのビジョンを持ち、活動してきたという自負はある。少なくともこれまで政治家として、澤氏が挙げる対米、対中、対北朝鮮、対アフガニスタン、核問題、環境問題にも取り組み、それなりの実績を残していると自負している。これらの活動については新聞にも出ている。外交評論家を名乗るならば、澤氏も新聞くらい読んでおいた方が良いだろう。
その澤氏は正論においてどんな主張をしているのか。私なりに解釈するならば、その骨旨は次の通りになると思う。
《鈴木宗男の二島先行返還論では四島は返ってこない。日本はあくまで四島一括返還を堅持すべきである。》
それでは澤氏の言う「四島一括返還」の定義はどの様なものか。論文では次の様に書かれている。
〈まず、不法に、武力によって占領されたまま、現在に至っている、北方四島。それは一体のものであり、つねに一括でなければならない。
一括返還とは、平和条約の中で四島一括して日本帰属が明記されること。現実に返還という実務が一括である必要はない。〉
北方四島が「不法に、武力によって占領されたまま、現在に至っている」という点について、私は全く同感である。但し、これは言わずもがなのことで、日ロで話し合いをしてこの問題を解決することで合意している中、このことをことさら強調することで具体的に交渉が進むのであろうか。私は運動家ではない。政治家として北方領土を取り戻さなくてはならない。
その後段の「一括返還とは、平和条約の中で四島一括して日本帰属が明記されること。」についても、私はその通りであると考える。
平和条約が締結される時は、日ロ間の関係正常化が完全に終結したことを表すもので、当然、北方領土問題が最終的に解決したことをも示すものである。北方領土問題の最終的解決とは、四島が日本に帰属することが平和条約に明記されることに他ならない。結局澤氏が目指すところも、私と変わらないではないか。
ただ、四島の日本への帰属が確定するまでの道のりについて、私と澤氏では認識に違いがあるようだ。澤氏は、帰属を確認する段階で、「一体のものであり、つねに一括でなければならない」と主張する。いわゆる「入り口論」だ。
私も、四島の日本への帰属が一括して認められるのなら、それに超したことはないと考える。しかし、それではロシアが交渉に乗ってこない。なぜなら、日本側が一切リスクを負わないからだ。予め結果が出ている交渉は交渉ではない。
北方四島は紛れもない日本の領土である。しかし、現実に北方四島はロシアによって実効支配されている。この現実を、我々は直視しなくてはならない。
この現状の下、四島をロシアから取り戻すには二つの方法がある。一つは武力で奪い返す。もう一つは話し合い、外交交渉で取り戻す。前者を選択することは現実的にあり得ない。ならば後者を選択するしかない。そして、外交には相手がある以上、残念ながら我が国も幾分かのリスクを負った上で、交渉に臨まなくてはならない。
このことは、私自身国務大臣、内閣官房副長官と政府の中枢におり、直接交渉に当たってきたからこそ言えることである。ロシアの側に立っているのでも、ロシアに阿って言うのでもない。現実的に四島を一日も早く取り戻す最善の策として、実際の返還だけではなく、帰属についても段階的な確認を求めていく「段階的解決論」を訴えているのだ。
また澤氏の主張でユニークなのは以下のくだりだ。
〈ソ連軍によって不法に占拠されたままの島の返還を要求しても、相手に返す気がなければ、武力によって取り戻すことが正当な行為である。日本国憲法はその行為を禁じている。ならば、この問題は国際化するしかないだろう。〉(204頁)
〈日本は急がない。このキャンペーンには時効がないから、いつまでも、ロシアに「負い目」の圧力を加え続けることができる。国際社会の味方を増やしながら、気長に、ロシアから平和条約交渉の提案を待つだけでよい。〉(205頁)
北方領土問題を国際化し、国際社会に訴え、気長にロシアが出てくるのを待つ。何と気の長い、悠長な話か。戦後のどさくさに紛れた奪われた島を自分で取り戻すべく動くるのではなく、周りに訴え、騒ぎが拡がるのを待てと言うのか。これで一体、領土問題はいつ解決すると言うのだろう。
澤氏に問う。故郷を追われた元島民の多くは、既に高齢だ。残念ながら、元島民の方々には時間的余裕はない。その人たちに対して「気長に待ってなさい」と言うのか。
また、北方領土を望む根室市はじめ北海道の道東地域は経済的に疲弊している。一度に最終的解決には至らないまでも、領土問題が少しずつ前進し、自由に漁業ができる海域が増えるだけでも、そこに暮らす人々は元気を持てるのだ。こういった庶民の生活を無視した外交などあり得ようか。
国際社会に訴えて、日本は気長に構えておれば良い。これこそ無責任極まりない暴論である。そんな寝言は一人でつぶやいてほしい。実際に交渉をし、解決を図らねばならない我々政治家には、そんな夢を見ている暇はない。
本当の国賊は誰か
――見当はずれで現実離れした主張だが、澤氏は澤氏なりに真剣に北方領土問題の解決を考えているのは間違いない。多少、意見の相違はあっても、目指すところは一緒だ――
澤氏の論文を一読し、当初私はこう感じた。
しかし、ある過去の出来事を想い出した時、この思いが打ち消された。果たして澤氏は日本国を愛しているのか、と。
澤氏にお尋ねする。あなたは過去に、ソ連の管轄権に服する形で北方四島に渡航したことはないか。具体的に言うならば、1991年9月、反戦平和団体ピースボートの貨客船に乗り、新潟からサハリンに入り、サハリンから択捉、国後、色丹に入域した事実はないか。
この時、澤氏はどの様な手続きを取って北方領土に行ったのだろうか。ビザなし交流等の枠組みに基づいた訪問でないことは確かであるから、ソ連の管轄を認める形で四島に渡ったことは間違いない。澤氏は、四島に対するソ連の管轄権を自らの行動を持って認めたのだ。国際社会に北方領土の不法占拠というロシアの非道ぶりを訴えよと言いながら、そのことを認める行動を自ら取る。澤氏は一体何の意図を持ってこの様な暴挙に出たのか。明確な説明をするべきだ。
もう一つ、あれは10年ほど前の、私が内閣官房副長官を務めていた時のことだ。故末次一郎氏より、北方領土問題の解決に向けた政府の取り組みについて説明を求められ、ホテルニューオータニ東京の中華料理店「大観苑」に赴いたことがあった。その際、私の他に東郷和彦氏、佐藤優氏も一緒だった。
私達は末次氏に対して、政府として四島返還の旗は降ろしたことはなく、あくまで最終的に四島を取り戻すべく、現実的解決に向け交渉していることを説明し、そして四島を取り戻すにはどの様なアプローチが有効であるのか、熱く訴えた。末次氏は私達の説明にじっと耳を傾け、納得してくれ、政府の方針を応援すると言ってくれたのだった。
澤氏は、吹浦忠正氏と一緒に自身も末次氏と同席し、その場にいたことを覚えているだろうか。我々の説明を聞き、澤氏も政府方針を理解し、納得していたのではないか。それが今になって私を叩いてくるとはどういうことか!記憶力が良いことは、外交評論家であるために重要な要件ではないのか。
更に付け加えるのなら、大観苑での支払をどうしたか、よもや澤氏は忘れてはいまい。少なくとも自腹は切っていない。なぜなら、他ならない、私が支払ったのだから。
澤氏に告ぐ。北方領土問題を語るのなら、まずは過去の経緯を勉強し、現実の動きに目を向けよ。観念論を繰り返して悦に入るのではなく、現実の厳しく激しい交渉とはどういうものか想像力を働かせてみよ。
そして他人を批判する前に、自分のこれまでの歩みを振り返えるのだ。自分の胸に手を当てて、過去の行い、振る舞いを思い出せ!
あなたに批判されるほど、私は落ちぶれてはいない。敢えて言おう。真の国賊はあなただ。日本の国益を損ね、恥をさらす前に、「外交評論家」の看板を下ろすことをお薦めする。
〔転載おわり〕
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