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２月４日（木） 思い込みに基づく「推定有罪」の「見込み報道」
鳩山政権にとっては、まずまずの「春」ということでしょうか。小沢民主党幹事長が不起訴になったからです。
小沢さんの元秘書は起訴されましたから、まだまだ寒い日は続くかもしれません。でも、立春が過ぎて、厳冬期は脱したということではないでしょうか。
これで、小沢さんは幹事長職を続投する公算が大きくなりました。明日からは、関連する報道も一挙に減るでしょう。
マスコミの関心も国民の注目も、急速に低下することになると思います。ただし、小沢さんが続投した場合、国民世論がどうなるのか、内閣支持率にどう影響するかは分かりません。
状況はまだ流動的で、予断を許しません。がしかし、これまでの経験では、虎口を逃れた実力者は、急速に力を回復するというのが通例です。
被疑事実が明白な場合、つまり罪を犯したことがはっきりしている場合でも、状況によっては訴追しないことがあります。これを起訴猶予といいます。
今回の場合、起訴猶予ではなく不起訴ですから、被疑事実すら明白ではなかったということになります。つまり、検察は小沢さんを追い込むだけの材料を見つけることができなかったわけです。
そうなると、検察の捜査も問題ですが、連日、新聞などで報道されていた事実は何だったのかということになります。「関係者によると……が分かった」と書かれていましたが、それは被疑事実ではなかったのでしょうか。
そうだとすれば、あたかも小沢さんの有罪が確実であるかのような報道をしていたマスコミ、特に新聞の責任が問われることになるでしょう。有罪が確定するまでは「推定無罪」が原則なのに、まるで「推定有罪」であるかのような報道ぶりでしたから……。
新聞各紙は、今回の事件について小沢さんに「説明責任」を求めていましたが、新聞の方に、この間の報道内容についての「説明責任」を求めたくなります。小沢さんの嫌疑が明白であるかのように報道していたこの間の記事をどう説明するのでしょうか。
それが、「検察のリーク」をただ報道していただけなら検察の側の責任ということになりますが、そうではないという説明でした。自分たちで調べて報道していたとすれば、その調査は誤りだったいうことなのでしょうか。
もうひとつ、裁判関係の話題です。横浜事件での実質的な無罪の判断が示されました。小野さん、良かったですね。
戦時下最大の言論弾圧とされる「横浜事件」で、治安維持法違反の有罪が確定して再審で免訴判決を受けた元被告５人の遺族に対して、横浜地裁は請求通り計約4700万円の刑事補償を支払うという決定を出しました。大島隆明裁判長は決定理由で「（治安維持法の廃止など）免訴の理由がなければ無罪の裁判を受けたことは明らか」とし、「警察や検察、裁判の各機関の故意・過失は重大」と司法の責任にも言及しました。
「雪冤成る」という垂れ幕を掲げている小野さんのうれしそうなこと。本当に良かったと思います。
小野さんは法政大学の職員で、私の知り合いです。同じ法政大学に働くものとして大変嬉しく思います。
また、横浜事件の発端となったのは、雑誌『改造』に載った細川嘉六の論文「世界史の動向と日本」で、細川嘉六の郷里の富山県泊町に『改造』や『中央公論』の編集者などを招待したときに開いた宴会の写真が証拠とされました。特高はこれを共産党再建の会議と決めつけて、一斉に検挙したわけです。
まさに、思い込みに基づく「推定有罪」の「見込み捜査」による事件のでっち上げでした。この細川嘉六は大原社研の元研究員ですから、その罪が雪がれたことも、後輩として大変嬉しく思います。
小野さんは、今回の決定によってお父さんの無実を明らかにし、父親の名誉を回復しました。犯罪者としての汚名を雪いだのです。それも、60年以上も経ってから……。
素晴らしいじゃありませんか。まさに、執念の勝利です。
この事件で被告とされた小野さんのお父さんも、きっと草葉の陰で喜んでいるに違いありません。「息子よ、よくやった」と……。
2010-02-04 22:48
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