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森田実『田中角栄は日本が好きだった。しかし小沢は日本が好きではない。小沢の日本改造計画の思想は「反日本」である』 http://www.asyura2.com/10/senkyo79/msg/309.html
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C06033.HTML 《新・森田実の政治日誌》[月満つれば欠く・小沢政治の終焉(17)]小沢・鳩山政権の本質〈その4〉小沢の国連至上主義と「日本改造計画」の底にあるのは「反日本」思想 「大功は為さざる所に在り」(『荀子』)
小沢一郎に理念らしきものがあるとすれば、強いて挙げれば二つである。 一つは国連至上主義である。国連決議があれば、それが安保理決議だろうと総会決議だろうと、憲法を超えて何でもできるという主張である。この主張は1990年代前半以来一貫している。 1990年代初期の湾岸戦争の時、当時自民党幹事長だった小沢は自衛隊のペルシャ湾派遣を模索したが、日米安保条約にもとづいて自衛隊が極東の範囲を越えて行動を起こすことに関して、自民党内にも国民的にも、非常に強い反発があったため、失敗に終わった。 このとき小沢が考え出したのが「国連決議があれば何でもできる。自衛隊をどこにでも出すことができる」というゆがんだ論理だった。小沢は、20年近くたってもまだこのゆがんだ論理を使おうとしている。アフガニスタンに自衛隊を派遣したいと考えている小沢は、このゆがんだ論理をいまだ使い続けている。 もう一つは『日本改造計画』(講談社、1993年5月刊)の論理である。2009年2月、まだ小沢が民主党代表で絶頂期だった頃に海外メディアのインタビューに答えて、「『日本改造計画』に書いたことは今でも変わっていない」と語っていた。小沢は十数年前に書いたこの本の考えをいまも変えていないのである。 『日本改造計画』の根底を流れているのは、「反日本」という思想であると私は判断している。「日本人はなあなあで、お互いに空気を読みながらなれ合いでことを進めていく」と小沢は日本的生き方を非難しつづけてきた。小沢は、いわゆる「日本的」な姿勢を嫌っている。アメリカ型の自由競争、厳しい自己責任社会がいいと考えているようである。 『日本改造計画』は、小沢の師匠である田中角栄の『日本列島改造論』に沿った政策であるかのように言う人もいたが、根底に流れているものは正反対の考え方である。田中角栄は日本が好きだった。田中角栄は日本を生かそうとした。しかし小沢は日本が好きではない。小沢の日本改造計画の思想は「反日本」である。 田中角栄がめざしたものは豊かな日本をつくることだった。『日本列島改造論』で書いているとおり、田中角栄は過密・過疎の同時的解消、全国の道路交通網、鉄道網、航空網整備を目標として掲げた。越後偏重と言われたが、「故郷をよくしたい、豪雪地帯である越後を豊かにしたい」という基本理念から出発したものだった。田中角栄が政権をめざしたのも「故郷をよくしたい」という一念からだった。 しかし田中角栄の日本列島改造は挫折した。石油危機と過剰流動性につぶされたのだった。もし10年、時期がずれていれば彼のやりたいことは達成されたかもしれなかった。田中角栄は不運な政治家だったと言えるかもしれない。田中角栄は石油危機という国際政治の流れに押しつぶされたのだった。 しかしその後の田中は道を誤った。田中は政権を降りた後も強い権力を求めて続けた。政敵に負けたくなかったからだった。もう再び総理にはなりえない状況にありながら、しかし自分を守るには強大な政治権力が必要だと考え、闇将軍と化して巨大派閥をつくり、中曽根内閣をつくった。この内閣は「田中曽根内閣」と呼ばれた。 しかし、田中角栄の弟子の小沢一郎にははじめから明確な政治理念をもたないまま強大な権力を求めつづけてきた。小沢の場合、権力闘争が自己目的化していた。そしていまも「政治とは権力闘争だ」と考えているかのごとく政敵との戦いを繰り返している。 田中角栄は、初期には故郷重視で、和と助け合いを重んじた。より豊かな日本の国土をつくるために権力をめざした。しかし首相の座を去ったあとはただ強い権力を求めて権力抗争に集中した。 だが、小沢ははじめから反日本的で、和の政治を嫌い、破壊志向が強かった。最初から理念なき権力志向の政治家だった。ここに田中角栄との決定的な違いがある。(つづく)
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