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2010.01.31 死に体になってしまったか、鳩山首相(リベラル21) http://www.asyura2.com/10/senkyo79/msg/238.html
http://lib21.blog96.fc2.com/blog-entry-1056.html 2010.01.31 死に体になってしまったか、鳩山首相 田畑光永 (ジャーナリスト) 鳩山民主党政権が出来て4ヵ月半が過ぎた。この間、組閣に続いて麻生政権の補正予算見直しと第二次補正予算編成、事業仕分けを経ての10年度予算編成と、とにかくこなさなければならない任務を一応こなして年明けを迎え、1月18日からは通常国会に臨んでいる。ここでもとりあえず09年度の第二次補正予算を成立させ、あらためて29日に鳩山首相が施政方針演説を行ったというのが現段階である。 その施政方針演説を聞いた。正直なところ苦痛であった。戦後二番目という、一時間近い長さはともかく、去年秋の臨時国会での所信表明演説に比べると、私の印象では首相の表情はどこかおどおどとして、自信なさげであった。ガンジーの言葉を長々と引用し、また阪神・淡路大震災の被災者の声を細かく紹介したのは、なんとか聞く者を感動させたいという焦りではなかったか。この人のキメ台詞「・・・しようではありませんか、皆さん!」という呼びかけも、無理に声を絞り出している感じでむしろ痛々しかった。聞いているほうは耳をおおいたくなる。 首相のこのおどおどの原因ははっきりしている。首相自身の母親からの献金問題と小沢幹事長の政治資金問題が今、政権をすっぽりおおっていて、内部の息苦しさは外部の人間にもわかる。首相自身、何度となく同じ事を聞かれ、同じ答えをすることはさぞや苦痛であろうし、小沢幹事長の問題にいたっては今後どう転ぶものか見当もつかない。政権トップ二人が泥沼に足を取られている格好だから、足を上げて前へ進めないのは当然である。 だからこの後、二月、三月の予算審議がどう進み、七月の参議院選挙を迎える頃の政治情勢がどうなっているのか、まるで見通しがきかないが、そんな先のことよりも鳩山政権の死に体ぶりは施政方針演説の中味にすでに示されているように思える。 政策課題はいろいろあっても、政権がとりわけ明確な方針を示さなければならないのは経済と外交である。このうち経済は相変わらず展望が開けないが、この状況は鳩山政権の責任ではないし、打つ手にしても誰がやろうとそう奇手妙手があるわけではない。公約に掲げたことが実行できなくても、また景気回復を確実にする具体策が示せなくてもやむをえない。ない袖を振れとは国民も言うまい。
それは日米安保体制の見直しである。民主党は選挙前、はっきりと「地位協定を含めて安保体制を見直す」と言った。だから海兵隊は全部グアムへ引上げさせろ、などと短絡的な要求をするつもりはない。それとは別に安保体制そのものを民主党政権はどう考えているかを具体的に示すのが、今度の施政方針演説の重要な役割であったはずだ。 そこで鳩山首相はなんと言ったか。 私とオバマ大統領は、日米安保条約改定五十周年を機に、日米同盟を二十一世紀に相応しい形で深化させることを表明しました。今後、これまでの日米同盟の成果や課題を率直に語り合うとともに、幅広い協力を進め、重層的な同盟関係へと深化・発展させたいと思います」 これが安保体制についての全文である。前段では五十年間の「変化」を言う。冷戦の終結と新たな脅威(テロ、地域紛争)の顕在化がその内容である。そして日米安保体制は「質的には変化」したと言う。それなら冷戦が終結したのに安保条約は必要なのか、テロや地域紛争はアジアをどの程度脅かしているのか、安保体制の「質」はどう変化したのか。演説を聞けば、だれしも聞きたくなるそういう疑問にはなにも答えない。これでは何も言わないのに等しい。後段もひどい。「重層的な同盟関係へと深化・発展させたい」とはいったいどういう意味か。 内情は聞かなくても分かる。こういう文章は官僚が最も得意とするところである。何か言っているように見えて、実際にはなにも内容がない。「質的」とか「重層的」とか、文字面だけで考えて、うまくいったと鼻をうごめかしている官僚の姿が見えるようである。 ガンジーや震災被災者の言葉に鳩山首相はお得意の「思い」をこめたのであろうが、安保ではなにも考えなかったにちがいない。おそらくもう厄介なことに「思い」をめぐらせる余裕がなくなってしまったのであろう。そういえば、十九日の安保改定五十周年記念日の談話も一読、官僚の作文のままということがわかる代物であった。 これではだめだ。可哀想だが鳩山首相は早くも賞味期限が切れてしまったようだ。民主党の人たちからは何も聞こえてこないが、「こちらはこちらで考えようではありませんか、皆さん!」
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