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暗躍する外国諜報機関・衝撃の「調査文書」@普天間移設の“本音”は筒抜けだった[週刊朝日] http://www.asyura2.com/10/senkyo79/msg/179.html
週刊朝日 2010年2月5日増大号 普天間移設の“本音”は筒抜けだった 日米関係がぎくしゃくするなか、情報機関の必要性を訴える声が警察や防衛省など各方面から上がっている。米国は世界一の情報大国で、本格的な情報機関のない日本では交渉にならないというのだ。取材を重ねる中、関係各方面から貴重な証言や「調査文書」を入手した。米国を中心とする「諜報機関」が日本で暗躍する驚くべき活動実態をレポートする。 携帯電話は通信傍受の格好のターゲット(写真上=イメージ)。 (上の写真右から)普天間基地移設問題でぎくしゃくしているオバマ大統領と鳩山首相、日本国内にある米軍の通信傍受施設 普天間基地の移設先とされる辺野古周辺。移設計画案はさまざまな利害調整のため何度も変更され、現行案に集約された
米国防総省、通称ペンタゴンのブリーフィングルーム内で、ある幹部が驚きの声を上げた。いま日米間で最大の懸念材料となっている沖縄・普天間基地を移設する問題について、日米合意が成り立ってから数カ月後、2006年になってからのことだ。 ブリーフィングルームでは最前まで、日本の自民党政権幹部と、沖縄の地元関係者との携帯電話でのやり取りが再現されていた。 「(移設先の辺野古の)滑走路をもう一本増やして、もっと海のほうに出せばいいんですね? 浅瀬のほうに」 日本側は今後、この”合意”をペースにして、それまでの移設計画に修正を加え、米国側に新たに提案してくることが予測された。米国は、そうした水面下の「日本側の本音」をこの時点で把握したわけである。 「まあ、一件落着すればいいんじゃないか。移設計画の結果、どれほどのカネが使われようと。われわれのカネじゃないし」 米国防総省の別の幹部が冷笑した。 「そもそも海のほうがわれわれには都合がいいしな」 * * * この米国防総省内でのやり取りは、複数の防衛省幹部らの証言をもとに再現したものである。内容から明らかなように、沖縄の基地移設問題に関係する面々の言動は完全に米国側に把握されていた。携帯電話などでの通信が傍受されていたのである。平たく言えば、”盗聴”だ。 「同盟国といえども、米国は通信傍受をはじめ徹底的に情報収集をしている。対外交渉はそれをペースに行われる。安全保障や情報関係者の間では常識です」 と語るのは、評論家で元衆議院議員の米田建三氏。防衛政務官、内閣府副大臣などを歴任したのち大学教授を経て現在、国際問題や安全保障を中心に評論活動を行っている。米田氏はこう続けた。 「沖縄の基地問題というのは複雑なんです。まず、基地の偏在に苦しむ地元と苦渋の受け入れ要請をする中央政府という構図がある。しかし、地元も一枚岩ではない。受け入れに反対する層がある一方、基地建設やその苦痛に対する”おわび”として、中央政府からもたらされる地域振興策による経済利益に期待する層もある。加えて、中央・地元の政財界を含めた利権屋集団が暗躍して計画をねじ曲げるから始末に負えない。そのあたりの事情を米国はつぶさに手に取るように察知していて、正直うんざりしているんです」 こうした発言の背景には、防衛・情報関係者を中心に各方面から米田氏のもとに寄せられる重要な証言や資料の存在がある。たとえば、情報機関関係者は、米田氏にこう話したという。 「米軍関係者らは、基地移設問題に関係する者たちの通信傍受を徹底的に行い、日本の提案の背景にある国内事情を事前に知ってあきれ返っていました」 国防総省の中で携帯電話する愚 また、外務・防衛の閣僚で構成される日米安全保障協議委員会(いわゆる2プラス2)の事務レベル交渉の一環として05年、ペンタゴンで行われた会議に参加した元防衛省幹部から、次のような証言を聞いたと米田氏は言う。普天間基地移設についてのものだ。 「会議の際、米側は日本側が説明を始めると、途中で『わかった、わかった』としきりに遮るんです。これで話が通じるのかと不安に思ってましたが、なぜか不思議なことに協議の最終局面ではつじつまが合う。そこで、『米側はこっちの事前打ち合わせの内容などをすべて知っているな』と気づいたんです。だから私は、遅ればせながらも、部下に携帯電話などの使用は厳禁しました」 ところが、外務省の職員は能天気で、協議の最中、たびたび本省に電話を入れ続けたという。 携帯電話での通信・通話が傍受されうることは国際的には”常識”だ。携帯メール中毒のオバマ米大統領は、「国家機密が漏れる」と国防総省から警告され、会話や文書の内容を暗号化できる特注の携帯電話を使うようになったと報じられた。ただし、日本では、外務省職員ですら、携帯電話での通信にあまりに無頓着だったというのだ。 元幹部はあきれきった様子でこう続けたという。 「彼らは番号が広く知られている公用の携帯電話を使って、あろうことかペンタゴンの廊下で通話していました。かくして、現在進行形の情報もすべて米側に筒抜けとなったわけです。こうした情報も先に言った”つじつま合わせ”に一役買ったはず。外務省の危機感のなさは、もうお話になりませんよ」 別の防衛省元幹部は、こうした情報漏れに関連して、拉致問題に絡むエピソードを披露した。北朝鮮側と秘密交渉を重ねた外務省高官が日米の基地問題の交渉にもかかわっていたからだ。 「この高官も無防備に固定電話や携帯電話を使って北朝鮮側とやり取りしていたため、米国側は交渉の概要をほぼリアルタイムに把握していたはずです」 同盟国をも例外扱いしない――これが情報収集、安全保障の鉄則のようだ。 米田氏は語る。 「米国だけではない。主要国はみな、しかるべき情報機関を持ち、熾烈な諜報活動を行っています。その体制が貧弱なのは、日本だけです。目下、最も能力的にレベルが高いのは米国で、普天間基地移設問題の情報収集に当たったのも、やはりNSAでしょう」 NSAとは国防総省傘下にある巨大諜報組織、国家安全保障局のことだ。冒頭に記した米国防総省内のやり取りも、この機関の諜報活動の延長線上にあったとみられるのだが……。 「それどころじゃありません。NSAはいま現在も通信傍受を継続しています。鳩山民主党政権は昨年来、基地移設に関するこれまでの日米合意を見直し、沖縄県外への移設を模索してますが、そのやり取り、手の内も丸見えだと思います」 と、さる防衛省幹部は指摘したうえで、部外秘扱いだという「調査文書」を提示した。「主要国における情報機関の現状と課題について」と題された、米国やイギリス、フランス、イスラエル、韓国など各国の情報機関に関する100ページを超える詳細な報告書だ。作成は07年3月。防衛省から委託を受けた外郭団体が作った体裁をとるものの、実際は現役の情報将校らが深く関与しているという。 シギント機関にメールも丸見え この文書の中で、NSAは以下のように解説されていた。 【1952年に秘密裏に大統領令で発足した。人員は (米国)インテリジェンス・コミュニティ最大であるのは間違いない。本部に40000人程度、海外の傍受施設にも25000人(略)。通信傍受や暗号解読のみならず、情報保護(information assurance)も任務である。本部はメリーランド州のフォート・ミード。世界でもっとも多くのコンピュータを持つ組織といわれる。世界の数十か所に傍受施設を持つ】 【一時間に200万件のファックス・メール・電話等の通信を傍受する。(略)大手通信会社のAT&TなどにはNSA専用の秘密の部屋がある(略)】 前出の防衛省幹部は、「いわゆるシギント機関です」と言う。 「シギント」とは、シグナル・インテリジェンスの略で、電波のシグナルを収集、分析する諜報活動のひとつだ。諜報というと、人から情報を引き出す「ヒューミント(=ヒューマン・インテリジェンス)」を思いがちだが、インターネットをはじめ電波通信なしに成り立たなくなりつつあるこの時代、目を見張らんばかりの威力を発揮しているのが 「シギント」なのである。 防衛省のさる情報将校が語る。 「NSAによるシギントの恐ろしいところは、その使い勝手の良さにあります。時間軸やカバー領域がとにかく広い。メールや電話などに対する検索や追跡の能力はすさまじいばかりだ」 この将校の説明によると、たとえば、「普天間」というキーワードをあらかじめ設定しておくと、その言葉が使用されたメールやそのアドレス、会話の内容や電話番号が日本全国、場合によっては世界規模でピックアップされる。日本国民すべてが対象なのはもちろんのこと、世界まで視野に入れているということだ。 ピックアップされた情報はいくつかのキーワードが加えられ、また情報担当者による直接のチェックなどを経て、重要性の高い機密情報が絞り込まれていく。さらに、機密情報を扱った人物のメールはサーバーに残っている記録はもちろんすべて追跡される。その人物がアドレスを変えたとしても、それを追跡されるばかりか、そこに送信されるすべてのメールも追いかけられるというのだ。 「同様のことは携帯電話の通話などについても当てはまります。個人名による検索なども可能です。こうなると、もうすべて丸見えになってしまいます。普天問基地移設に関係する面々の情報はこうして収集されたものです。電子の目から逃れられた人、あるいは通信は、皆無といっていいでしょう。ペンタゴンで再生されたのはその一部でしょう」(前出の情報将校) ちなみに、これほどの実力を有するNSAはさらにその機能を充実させるべく、英国、オーストラリア、ニュージーランドなど英連邦国の諜報機関と連携もしているという。警察幹部のひとりがこう証言する。 「NSAは英国のGCHQ(政府通信本部)、オーストラリアやニュージーランドの政府通信保安局などとともに世界規模の通信傍受網を形成している。いわゆる 『エシュロン』といわれるものだ。日本国内にももちろんある。米軍基地にある通称『象のオリ』と呼ばれるレーダードームなどがそれ。エシュロンの一翼を担っている」 エシュロン網で日本は赤子扱い つまり、日本は国内にある米軍基地などによって世界規模で見張られているというわけだ。 「エシュロン網はしかも、手分けして効率よく日本の情報を収集している。大まかに言うと、ニュージーランドが日本の外交情報、オーストラリアが商社などを中心とした企業情報、英国がシンガポールなどを拠点に金融情報、そして米国が軍事情報。それらの情報を持ち寄っての定期協議も行われている。最重点項目は経済です。日米貿易摩擦以降の主流となっているが、ただし普天間基地の移設や軍事兵器・装備品の発注などといった巨額の費用を伴うものについてはしっかりと追跡されている」(前出の警察幹部) なんとも空恐ろしい状況だが、それが日本が置かれた現状であることは、防衛省の情報将校も把握していた。そして、こう警告する。 「手の内を承知の上で交渉するわけですから、日本など赤子の手をひねるようなものです。日本の国益は危機的に損なわれています。主要国でこうした対策を講じていないのは日本だけ。防御策の構築が急務です」 事実、エシュロンの存在を把握した際、英国を除いたヨーロッパ諸国は、「これはアングロサクソン同盟だ。われわれは排除されている」と激怒し、その後、対策を講じているという。 一方、米田氏は日米同盟の重要性を鑑み、 〈(日米)双方は、良く連携がとれた協力のためには共通の情勢認識が鍵であることを認識しつつ、部隊戦術レベルから国家戦略レベルに至るまで情報共有及び情報協力をあらゆる範囲で向上させる。双方は、関連当局の間でより幅広い情報共有が促進されるよう、共有された秘密情報を保護するために必要な追加的措置をとる〉 とあった。これを踏まえ米田氏は語る。 「まさに情報における同盟の対等化ということですが、日本が無防備のままでは、情報共有など米国も真剣に考えないでしょう。共有した情報が第三国にタレ流しになるのが目に見えていますからね。そのためにも、日本として主体的に情報管理・防御体制づくりを考えるべきときだと思います」 飛び交う電波は目に見えないが、それをめぐって熾烈な諜報戦がこの日本で展開されているようだ。その対策も急務だが、しかし、日本を襲う「諜報機関」の手はそれだけではない。 (以下次号)
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