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検察審再議決 市民感覚が開けた『扉』 http://www.asyura2.com/10/senkyo78/msg/934.html
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2010012902000068.html 【社説】 兵庫県明石市の歩道橋事故で、検察審査会が明石署の元副署長を再び「起訴すべきだ」と議決した。検察ではなく民意による初の起訴となる。この意味を全国の検察官らは受け止めてほしい。 花火大会近くの歩道橋に見物客が殺到して倒れ、十一人が死亡したのは二〇〇一年のことだ。 神戸地検は業務上過失致死傷罪で明石署の元地域官ら五人を起訴したが、当時の責任者だった署長(その後死亡)と副署長は不起訴にした。 遺族らによる地元検察審査会への申し立ては三度目で、いずれも「起訴相当」の議決だった。それでも、地検は動かなかった。 重い扉が開いたのは、昨年五月の改正法の施行だ。裁判員制度導入とともに「司法に市民感覚を」との狙いで、無作為で審査会に選ばれた市民十一人のうち八人以上が「起訴」との議決が二度続けば、必ず起訴されることになったからだ。 今回、法改正後の二度目の「起訴」議決で、適用第一号となった。検察の判断を民意が覆したことは、市民感覚が通じる司法へ一歩進んだことになる。 審査会は元副署長らに危険が予見できたとしたが、厳密な立証となると難しい。「有罪の確信が持てねば起訴すべきでない」との原則から難捜査だったのは分かる。 しかし「公開の法廷で、事実と責任の所在を明らかにしてほしい。わが子の死が無駄にならぬよう事故の再発防止につなげて」との遺族の思いは、どう届いていたのか。元地域官らを有罪とした控訴審判決は「被告らのみが処罰されることは、公平の観点から正義に反する」と指摘していた。裁判はもちろん被告以外は裁けない。 法改正後、東京地検は、自民党二階派の政治団体をめぐる違法献金事件で起訴猶予にした西松建設の元社長を、審査会から「起訴相当」と一回議決を受けた段階で起訴するなど新たな姿勢も見える。 むろん、遺族感情に流されてはいけないし、冤罪(えんざい)を生まぬよう捜査は慎重であるべきだ。園児が死亡した甲山事件で、検察審査会の議決を受けて起訴したものの、無罪が確定した例もある。 今後は、神戸地裁が指定する弁護士が検察官役を果たし、公判が始まる。補充の捜査も不可欠だ。地検や県警の協力は欠かせない。 有罪、無罪どちらであれ、裁判という公開の場で、真実を明らかにしてほしい。これこそ、私たちが司法に求めることである。
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