ヘイトスピーチを許さない会が新宿で在特会のデモ行進に対抗行動 まるで在特会をかばう警察、レイシズムへの協力、あらわにhttp://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201001261154272 既報の通り、永住外国人地方参政権付与が現実味を帯びている今、これに反対する右翼グループや保守系団体が各所で抗議活動を展開している。「日本最大の保守系市民団体」を自称する「在日特権を許さない市民の会(以下、在特会)」も、1月24日に「外国人参政権断固反対」と題して、新宿で500人ほどが参加するデモ行進を行った。これに対して、在特会が行ってきたこの間の活動に反対している「ヘイトスピーチを許さない会」などは「レイシストを通すな!1.24緊急行動実行委員会(以下、行動実行委)」を立ち上げ、排外主義に反対する抗議活動を行った。(村上力) 「日本最大の保守系市民団体」を自称する在特会に対して街頭での対抗行動が行われたのは、昨年4月からである。在特会は、昨年1月からメディアの注目を浴びていた埼玉県内のフィリピン人一家が在留特別許可を求めていたことに反対し、一家の子どもが通う中学校へ「日本から追放しろ!」と絶叫するデモ行進を行った。これに対して「外国人排除デモに反対する会」が緊急的に抗議し、逮捕者を出す事態となった。この行動に端を発して、5月に名古屋、6月に京都、7月に大阪と、在特会の各所での行動に対抗行動が行われるようになっていた。 在特会の会員数は増え続けている。2007年の発足集会から三年間で、現在は8000を越え、勢いを増しているようだ。在特会は昨年中ごろから、民主党が推進する永住外国人への地方参政権付与の”危険性”を訴えるデモや集会などを各所で行ってきた。このほか、昨年12月には京都府内の在日朝鮮人の小中学生が通う朝鮮学校に対し、「朝鮮学校はスパイ養成機関」「日本から叩きだせぇ」と叫ぶ街宣活動などは、メディアに取り上げられ物議を醸していた。 今回、1月24日に在特会は、東京・新宿で「外国人参政権断固反対」を訴えるデモ行進を予定していた。これに対して、「ヘイトスピーチに反対する会」は「レイシストを通すな!1.24緊急行動実行委員会」を立ちあげ、抗議行動を呼びかけていた。 当日、行動実行委は午前11時に新宿駅南口に集合した。すでに集合場所付近には30名ほどの私服警官が参加者を監視し、付近には制服警官30名ほどが待機していた。 抗議行動参加者らは「生きることは犯罪じゃない」「すべての外国人に参政権を」「レイシストに日の丸はよく似合う」などの横断幕、プラカードを掲げ、在特会に象徴される排外主義に反対する街宣を行った。参加者らは、「人々を選別する社会に未来はないということに気づいてほしい」「在特会が掲げている日の丸は、人々を選別する彼らのシンボルマークだ」と通行人に訴えた。行動実行委の行動には、約40名ほどが参加した。 「犯罪左翼を日本から叩きだせぇ」というシュプレヒコールが耳に入った。行動実行委が街宣・ビラまきをしていた11時40分ごろ、在特会の一団が300mほどに接近していたのである。その瞬間、数分の間に警察車両7台程が沿路に隙間無く停車し、制服警官が抗議行動参加者を取り囲み周囲をテープで塞いだ。これにより、参加者からは在特会のデモ行進が殆ど隠され、参加者は警官と車両に挟まれる形となり、ほとんど身動きが取れなくなっていた。それでも、参加者は「差別をやめよう!」と、在特会に対して抗議の声をあげた。 こうして、行動実行委が警察に取り囲まれている間に、500人を超える在特会のデモは通り過ぎていった。彼らは、先頭に「千風の会(千葉県内の右翼団体)」の街宣車を走らせ、「反日極左を日本から叩きだせぇ!」「朝鮮人は拉致した日本人をかえせぇ!」「外国人参政権反対!」とシュプレヒコールをあげていた。 デモ隊の中には、在特会・関西、「救う会大阪」の会計である西村斉氏をはじめ、先述の朝鮮学校に対する街宣活動を行ったグループも複数参加していた。彼らは、上の街宣活動の件で、威力業務妨害などの罪で告発を受けていたはずである。 抗議行動の参加者は警察への憤りを露にした。「在特会のデモは行ってしまいましたが、それへの抗議を規制するのはおかしいと思います。ああいうひどい差別に反対するのは当然です」。 この日、在特会のデモ行進と、抗議行動の接触で、目だった混乱は生じなかった。しかし、一部報道によれば、在特会のデモ解散地点でデモ行進参加者と衝突した在日外国人少年を含むグループがスプレー、スタンガンなどを使用し、警官に現行犯逮捕される事態となったという。動画サイト「YouTube」などで配信された動画により、この少年らは以前に、この日のデモ主催者でもある西村修平氏(主権回復を目指す会)に「ウジムシ!ゴキブリシナ人!」「凶悪シナ人から日本を守るぞ!」と拡声器で罵られていたことが判明した(※注)。 警察は、この間の在特会をはじめとする右翼保守系団体の、少数者に対する人権侵害・蛮行―フィリピン人中学生、朝鮮学校に通う小中学生、そして今回の在日外国人少年などに対する恫喝、罵声―を、一切問うことなく、それに反対する者のみを逮捕してきた。これは、「市民の安全を守る」という名の下に、日本警察が歴史的に少数者に対する抑圧の協力者であったことを如実に物語っている。 ※注 http://www.youjotube.com/watch/arXiYW3Cs8o |