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2010年1月26日(火) 鈴木宗男
http://www.muneo.gr.jp/html/diary201001.html
大宅壮一賞作家の佐藤優さんが、様々な分野で健筆をふるっている。私の所にもFAXを入れてくれる。
その中に検察と石川代議士のやり取りについて書かれていたので一部、読者の皆さんに紹介したい。
●月刊『創』3月号「ナショナリズムという病理・石川知裕衆議院議員の逮捕 取り調べの可視化を急げ」
〈翌14日の取り調べについての話は、15日に聞いた。「熾烈だった」と石川氏は言っていた。午後1時半に銀座某所で検察側と待ち合わせ、そこから検察側が用意した車に乗せられ、検察庁で取り調べを受けた。取り調べでは、「僕を小沢先生から切り離そうとして、さまざまな揺さぶりをかけてきた」と石川氏は述べた。検察官は、「君は小沢先生に忠誠を誓っているが、小沢先生の方はどうかな。小沢側は君を切っているぞ。君は小沢事務所では冷や飯を食わされていたんだね。人生をやり直した方がいいよ。政治家をやめるんだ」とまで言ったそうだ。取り調べは午後2時前から10時頃まで行われたという。以下、取り調べに関する石川氏と筆者のやりとりの一部を再現する。
石川「佐藤さん、頭が朦朧として、時間の感覚もなくなってしまいました。もう政治家をやめてもいいと口走ってしまいました」(泣きながらの発言)
佐藤「国会議員に当選するのもたいへんなんだよ。あなたは、十勝(北海道11区)の有権者の代表として国会に送り出されたんだ。その責任があるよ。検察官が国会議員をやめさせることはできない。これは民主主義の根本原理だよ」
石川「理屈ではわかっているんです。しかし、取調室のあの空間では、検事に引きずられてしまうんですよ」
佐藤「わかるよ。僕自身、特捜に逮捕され、取り調べ受けた経験があるからよくわかる。検察官は悪い奴らじゃない」
石川「そうなんです。怒鳴られた後、やさしい言葉をかけられると、この人はいい人だと思ってしまうんです」
佐藤「取調室の中は、人間と人間の真剣勝負の場だ。検察官は彼らの立場から、石川さんの将来を真面目に考えている。特に担当の検察官は、検察庁の内部では、石川さんの罪の負担が軽くなるように、あなたを守るべく本気で頑張っている。しかし、それはあなたを釜ゆで、ノコギリ引きにはしないで、絞首刑で楽にさせてあげるということが大前提なんだよ。政治家としての石川知裕を『殺す』ことが検察官の仕事なんだ」
石川「わかっています」
佐藤「検察官に引きずられて、自分がやっていないことを認めたらダメだよ。その後、一生後悔することになる」
石川「わかっています。わかっています。しかし、優さんはわかっているでしょう。あの取調室にいくとどういうふうになるか。××検事に引きずられちゃうんですよ。でも、僕は小沢先生を裏切ることはできません」(再び泣く)
佐藤「どんな状況になっても自分がやっていないことを認めたらダメだよ。一生後悔することになる」
特捜事件では、物証よりも供述が中心となる。どのような取り調べの結果、調書が作成されるかについてを録画、録音する可視化を急ぐべきだ。
被疑者が娑婆にいるうちは、事実に基づいた反論が可能だ。しかし、特捜によって逮捕、勾留された被疑者は、通常、接見等禁止措置(接禁)が付される。接禁になると弁護人以外とは、家族を含め、面会はもとより文通もできない。新聞購読も認められない。取り調べ期間中、弁護士面会は、原則1日1回30分に制限される。これに対して、検察官の取り調べは10時間を超えることもある。ちなみに筆者の場合、検察官が思い通りの供述を取ることができないと思っていたせいか、取り調べは午後6時から7時の間に始まり2〜4時間程度だった。土日も取り調べがあった。外界の情報、人間から遮断され、唯一の話し相手が検察官になると通常の人には、検察官が味方のように思えてくるのである。
接禁を付された被疑者が、報道から隔離されている間に検察はリークで、被疑者があたかも「落ちた(全面自供した)」印象をつくりだそうとする。〉
私も佐藤さんと同じ考えである。取調べを録音・録画する全面可視化をしないと、検察のシナリオ・ストーリーに乗ってしまい、人生が終わってしまう。
8年前の私の時も、検察官は将来参考人、証人として法廷に立つ人達から調書を取った。後で関係者に直接聞くと、検察官は「鈴木の復活はもうない」「あなたの会社は談合していますね。それをやると会社は潰れ、役所、団体、業界にも迷惑をかけますね。こちらの狙いは鈴木だけです。あなたは何を言っても罪になりません」と言ったそうだ。世の中、神様、仏様の人はいないのであるから、この発言で一般の人は検察の側についてしまう。
調書主義の日本で、現実にこうした手法によって調書が作られていく。読者の皆さんも、どちらが公平、公正か、冷静に判断して戴きたい。
元大阪高等検察庁公安部長の三井環氏は、検察内部には「風を吹かす」という言葉があり、情報をリークして世論を味方に付けることもあると話している。自分自身の現職時代の経験、対応から、リークをしていると発言している。何が真実か、公の場所で聞きたいものである。
石川知裕代議士に面会した弁護士が、石川代議士の勾留延長に対し、「被疑者をしてもっぱら虚偽自白をさせようとしている。毎日長時間の取り調べで『小沢は虚偽の収支報告をすることを知っていただろう』、『水谷建設からお金を受けとっただろう』と激しく追及され続け、また『嘘をつくな』などと激しく罵倒され続け、肉体的にも精神的にも完全に疲弊させられており、筆舌に尽くしがたい苦痛を受けている」と、東京地方裁判所に準抗告申立をしている。
このことからしても、取調べの全面可視化が必要である。検察のストーリー・シナリオが冤罪を作り出すのである。読者の皆さんも良くおわかり戴きたい。
全面可視化は小沢問題で出てきた話ではない。参議院では既に過去2度、法案が可決されているのである。冤罪を防ぐために何年も議論してきたことを、検察牽制と受け止める一部マスコミは間違っている。
(転載ここまで)