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日刊ゲンダイ 2010年1月27日(26日発行)
小沢「陸山会」世田谷土地取引疑惑は的外れ
定期預金、登記遅れは業界の常識だった
金持ちには通常の商取引
大マスコミが問題視している小沢幹事長の資管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる疑惑は2つだ。東京・世田谷区深沢の土地の「購入日」と「登記の日付」が違うこと。そして土地を買うだけの資金があったのに、「なぜ銀行からわざわざカネを借りたのか」という点だ。
テレビ番組のキャスターが「一般人の常識では とうてい考えられない」と声を大にして、ゲストに同意を求める姿がタレ流されている。こんな話ばかり聞かされている国民は、小沢は怪しいとか、悪いヤツだと思うだろう。
実は、マスコミが当たり前としていることが"非常識”なのだ。
大手不動産関係者がこう指摘する。
「マイホームローンを組む場合は別ですが、陸山会のように現金で土地を買ったケースは、所有権の移転登記が、土地の購入日と同じである必要はありません。購人日が04年10月で、登記の日付が05年1月というのは不自然でも疑惑でもない。中には1年くらい延ばす人もいる。ただ、印鑑証明が発行日から3ヵ月で切れてしまうと、再度、売主の印鑑証明をもらわなければならず面倒なので、早めに登記する人が多いというだけです」
もう1点、マスコミは「4億円の定期預金があるのに、なぜ小沢事務所は4億円借りたのか」を問題にしている。だが、これも商売をやっている人からみれば、常識だという。
「定期預金担保」は銀行側の事情が
「商売人はいつも運転資金を手元に残しておきたい。4億円の財産をいっぺんに使ってしまい、手持ち資金がゼロになることはしない。だから小沢事務所の説明はよく分かります。銀行からわざわざ借り入れすると、金利が高くなるから変だとマスコミは報じているけど、すぐに返せるアテがあれば、金利なんてタカが知れていますよ」(前出の大手不動産関係者)
小沢事務所が定期預金を担保にしたのには、銀行側の事情もある。
支店長経験のあるメガバンク幹部がこう打ち明ける。
「定期預金を解約して欲しくないと進言するのは、まず銀行です。ましてや小沢氏の預金は億単位にのぼるので、預金残高を維持したい銀行は絶対取り崩したくない。銀行は、預金を担保に資金を貸すように話を持っていく。どの銀行でもやっています。普通の人が定期預金をそのままにしてローンを借りて車を買うのと同じことです」
陸山会が都内に不動産を買うのは、04年が初めてではない。それ以前の取引で銀行側からこの方法を教わり、それを踏襲していたとしても全然おかしくない。マスコミがいう2つの疑惑は、せいぜいこの程度の話なのだ。あえていえば、金持ちには金持ちの常識があるのに、マスコミは庶民の目線でマイホーム購入と同じ感覚で小沢バッシングをしているから話が平行線なのだ。