日教組教研集会:「社会矛盾が教育格差」 北陸の高校教諭、貧困の実態報告 /石川 ◇食べ物なく、ガス止まる… ◇生徒・家庭悪くない 教員、悩み共有してhttp://mainichi.jp/area/ishikawa/news/20100126ddlk17100586000c.html 「ガスが止められ水のシャワーでしのいでいる」−−。山形県で25日まで3日間開催された日本教職員組合(日教組)の教育研究全国集会(教研集会)の分科会で、格差拡大などで生じた貧困家庭の子供の実態を北陸地方の県立高校の女性教諭(59)が報告した。「『低学力』や『問題行動』の原因の多くは、貧困などで家庭の生活基盤が崩れた社会矛盾の結果だ」と主張した。【林奈緒美】 女性教諭は「食べるものもお金もなく、小麦粉をこねてうどんにして晩ご飯に食べた」「夏服が買えない」などと紹介。弁当がなく、友達から残りをもらっている生徒もいた。勤務先の高校の保護者には、派遣や非正規の労働者が多く、08年秋のリーマン・ショック以降の深刻な不況による保護者の困窮が生徒の生活を直撃している現状を訴えた。 お金の都合がつかず修学旅行に行けなくなった生徒とはじっくり話し合い、家庭の現実を直面させた。生徒は「お母さんは派遣で一生懸命働いて頑張って倒れた。お金がないのはお母さんが悪いわけではない」と自身の言葉で気持ちを整理させたという。 また、授業で社会保障費の削減や所得格差の広がりなどを取り上げた際、1人の生徒が「生活保護を受けているから定額給付金がもらえない」と話した。これをきっかけにアルバイトで授業料を払ったり、家計を助けている生徒が多いという現実をみんなに話した。 一方で「公務員の先生に、民間の苦しい生活は分からない」と、貧困に苦しむ保護者から責められたり、家庭環境が原因で荒れる生徒に悩み精神疾患で休む教員が増えている現状も報告した。 参加者からは「私の地域も、骨折しても病院に行けない小学3年生や、靴がなく裸足で通学する女児がいる」などの意見が出た。 女性教諭は「貧困や貧困に伴う問題は、生徒自身や家庭が原因ではなく、社会の構造に問題があることを生徒に伝えたい。問題から逃げずに向き合い、おかしいと声を出せる大人になってほしい。教員も悩みを共有し、受け止めていくことが重要」と話した。 |