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米帝・CIA・検察連合:ロッキード再現のための虚構: 検察を支配する「悪魔」 田原総一朗+田中森一(元特捜検事・弁護士)
http://www.asyura2.com/10/senkyo78/msg/712.html
投稿者 竹中半兵衛 日時 2010 年 1 月 26 日 14:46:50: 0iYhrg5rK5QpI
 


検察を支配する「悪魔」 田原総一朗+田中森一(元特捜検事・弁護士)

http://www.k4.dion.ne.jp/~yuko-k/adagio/hon30-kensastuwo.htm

田原総一朗(たはら・そういちろう)
1934年、滋賀県に生まれる。早稲田大学文学部を卒業後、岩波映画社、東京12チャン
ネル(現・テレビ東京)を経て、フリーのジャーナリストとして独立。政治、経済、検察、マスコミなど幅広い分野で時代の最先端を取材。活字と放送の両メディアにわたり
精力的な評論活動を続けている。著書には『正義の罠』(小学館)、『日本のカラクリ21』(朝日新聞社)、『僕はこうやってきた』(中経出版)、『戦後最大の宰相 田中角栄<上><下>』『日本の戦後<上><下>』(以上、講談社)などがある。

田中森一(たなか・もりかず)
1943年、長崎県に生まれる。岡山大学法文学部在学中に司法試験に合格。1971年、
検事任官。大阪地検特捜部などを経たあと、東京地検特捜部で、撚糸工連事件、
平和相互銀行不正融資事件、三菱重工CB事件などを担当。その辣腕ぶりが「伝説」
となり、名声を博す。1987年、弁護士に転身。2000年、石橋産業事件をめぐる詐欺容疑
で東京地検に逮捕、起訴され、上告中。著書にはベストセラーになった『反転 闇社会
の守護神と呼ばれて』(幻冬社)がある。


p1〜 まえがき---「法の番人」ではなく「真実の番人」であろうとしたために(田原総一朗)

 田中森一と長時間、向き合って話していて、ひとつ感じたことがある。田中は「法の番人」であろうとするより、「真実の番人」であろうとしたのではないか。
 田中は吐き捨てるように私に言った。
「被疑者の心のありようを映し出すのが検事の調書だ。取り調べもしていない上の人間が、被疑者の供述を無視して、自分たちの都合のよいストーリーに勝手に書き換えるなどということが許されてよいはずがない」(中略)
 言い換えれば、田中検事は、被疑者だけが知りうる真実を懸命に追究してきた。ならば、詐欺容疑で逮捕された許永中に連座し、甘んじて有罪判決を受けたのも理解できる。
 田中は、自分の裁判は、「永中の事件とは分離して臨めば、無罪を勝ち取れる可能性がもっと高かった」と言う。だが、あえて永中と共に闘った。永中は石橋産業に対して詐欺を働いていないと主張している。永中の心のなかにある真実を、田中は裏切れなかったのだ。
 佐藤優を思い出した。
「外務省の幹部たちが言ったように、佐藤さんも、『やりたくはなかった。だけど鈴木宗男が怖くてやりました』と、鈴木さんのせいにすれば、佐藤さんは無罪放免になったのではないですか」と私が問うと、佐藤は、「その通りです。だけど、鈴木宗男という政治家をロシアに紹介した日本の外交官に対する信用が落ちる。一切、今後、ロシア人は日本の外交官を信じなくなる。日本の外交官の信用のために僕は沈んでよいのだ、と覚悟を決めたのです」と答えた。
 田中と佐藤はどこか二重写しになるところがある。
 佐藤は検察と鈴木宗男を「きれいなタカ」と「汚いハト」になぞらえ、「汚いハトを駆逐して、きれいなタカの時代にする。これが国策捜査の大義名分なんですよ」と皮肉を込めて話した。
「闇社会の守護神」田中森一も、きれいなタカに狙われた汚いハトなのだろう。

p3〜
 検察は最強の捜査機関である。その気になれば、国策捜査の名の下に邪魔なハトをすべて駆逐し、自らが考える時代をつくりあげられるだけの強大な権力を有している。
 もしその暴走を抑止できる存在があるとすれば、それはメディアだろう。ところが、多くのメディアは、検察に操られ、むしろ、灰色のハトも白いハトも悪の権化にしたてあげる役割を買って出ている。新聞社は情報欲しさに検察におもねり、司法記者は一切批判的な記事は書かない。
 検察はリクルート事件でも、江副浩正らを拷問にも等しい取り調べにかけ、ありもしない罪を供述させている。私はその経緯を克明に取材し、『正義の罠』と題して出版し、書評に取り上げてくれるよう各新聞社の懇意にしている記者に渡した。しかし、私の著書をいつも取り上げてくれる新聞社でも、この本に関しては一切無視した。
 検察を戦前の特高警察にしてはならぬ。それは我々、メディアに棲む者の責務でもあるのだろ
う。

p22〜 検察が守ろうとしているのは自民党なのか---田原

 最近、検察批判を象徴する言葉、「国策捜査」が問題になっていますが、検察庁という組織はそもそも国の不利益になる犯罪を取り締まるべく設置された組織です。だから国策捜査にならざるを得ない。それはわかる。
 ただ、国益を守るといった場合、何を指すのか。曖昧模糊として非常にわかりにくい。具体的に検察が守ろうとしている対象が何なのか、見えてこない。
 国民の権利なのか、自民党なのか、総理なのか、あるいはもっと違う、時の権力なのか。それとも現在の社会構造そのものなのか。

p23〜
 しかし、捜査が自民党の大物代議士に及ぶとわかって、検察の上層部は弱腰になり、転換社債の割り当てを担当していた山一證券の成田芳穂副社長の自殺もあり、捜査は頓挫する。こういう話ですよね。

p23〜 現体制維持の安全装置---田中

 そもそも検察の方針の根底には国策がある。ありていに言えば、現体制との混乱を避け、その時の権力構造を維持するための捜査です。
 したがって、三菱重工CB事件のように、時の権力の中枢に及びそうな事件は中途半端に終わってしまう。徹底的にやってしまうと、自民党政権や日本のトップ企業のひとつが瓦解してしまう恐れがあるからです。これを検察は極端に嫌う。
 伊藤榮樹(しげき)検事総長は「巨悪は眠らせない」と豪語しましたが、検察は絶対正義の番人などではない。実態から言えば、現体制維持のための安全装置です。

p25〜
 そんな法外な利益を生み出す三菱重工が発行したCB1000億円のうち、100億円が政治家に渡っていた。しかも、利益供与をしているのが三菱重工だから、相手は防衛関係の大物政治家。
 その筆頭といえば、中曽根康弘元総理だ。
 噂もそうだったし、総会屋の口からも、最も高額の割り当てを受けた政治家として中曽根の名が何度もあがった。他にも20人もの政治家の名前が出て、そのなかには竹下登の名もありました。

p26〜 最高検検事からかかった圧力---田中

 その後は陳情の嵐です。「田中君、もう止めろよ」と、入れ替わり立ち代わり先輩がやってきて諭された。検事総長や検事長などの錚々たる先輩の意向を受けたと思われる大先輩の元検事も陳情に来た。

p27〜
 総会屋が実際につながりのあるのは三菱重工です。総務から、「あんたんところにはいくら割り当てるから」と言われる。しかし、現実に割り当て作業をしているのは山一證券だ。三菱重工から野村を経由して山一に指示が行く。その山一の責任者が成田芳穂副社長だった。
 政治家も総会屋も、みんな三菱重工の株付けをしてもらっているのだから、きれいに商法違反になる。野村、山一と三菱重工の総務部長くらいをぱくったら、政治家まで届くというのが僕の最初からの算段で、その手始めとして成田副社長に任意で出頭を願うことにした。

p28〜
 最高検の河上さんが否定的な見解を出す。さらには山一の担当者が自殺した。それで捜査を続けることはむずかしくなった。1番の支障となったのは成田さんの自殺だったけれど、総会屋から調書は取っているわけで、本気でやろうと思えば、総会屋と三菱の総務をやれる。
 ところが、検察の上層部が、それは許してくれませんでした。検察捜査の舞台裏では、いつもこんな駆け引きが行われているのです。

p31〜 行政組織の論理が働き始めるとき---田中
 
 まさに行政官庁と一緒ですよ。片方では検察庁は独立性の官庁と言われながらもね。検察独立の原則があるのは確かだが、いっぽうで「検察一体の原則」と矛盾する原則が同時並行して存在している。

p32〜
 内偵段階では、いくらでも個人が自由に動けますよ。しかし、それがものになりそうだとなって、捜査チームを組むところまでいくと、個人の考えでなく、行政組織としての検察の論理が優先する。
 そのときに上層部が考えることといえば、体制の維持、擁護です。
 なんぼきれいごとを言っても、検察も自分の組織を守らなければならないのです。自分で自分の首を絞めるようなマネはできない。そこで1検事としては、検察の内なる敵との戦いになるわけです。

p37〜 角栄をやり、中曾根をやらなかった理由---田原

 でも、ロッキード事件はできたじゃないですか。田中角栄は逮捕した。角栄は時の権力者ですよ。
 僕はかつて雑誌『諸君!』に「田中角栄 ロッキード事件無罪論」を連載した。ロッキード事件に関しては『日本の政治 田中角栄・角栄以後』で振り返りましたが、今でも、ロッキード事件の裁判での田中角栄の無罪を信じている。
 そもそもロッキード事件はアメリカから降って湧いたもので、今でもアメリカ謀略説が根強く囁かれている。
 僕は当時、“資源派財界人”と呼ばれていた中山素平(そへい)日本興業銀行相談役、松原宗一大同特殊鋼相談役、今里広記日本精工会長などから、「角栄はアメリカにやられた」という言葉を何度も聞かされた。
 中曾根康弘元総理や、亡くなった渡辺美智雄、後藤田正晴といった政治家からも、同様の見方を聞いた。
 角栄は1974年の石油危機を見て、資源自立の政策を進めようとする。これが、世界のエネルギーを牛耳っていたアメリカ政府とオイルメジャーの逆鱗に触れた。
 このアメリカ謀略説の真偽は別にしても、検察は当時の日米関係を考慮に入れて筋書きを立てている。結果、角栄は前総理であり、自民党の最大派閥を率いる権力者だったにもかかわらず検察に捕まった。
 かたや対照的なのは中曾根康弘元総理。三菱重工CB事件でも最も高額の割り当てがあったと噂されているし、リクルート事件でも多額の未公開株を譲り受けたとされた。
 彼は殖産住宅事件のときからずっと疑惑を取りざたされてきた。政界がらみの汚職事件の大半に名が挙がった、いわば疑獄事件の常連だ。しかし、中曽根元総理には結局、検察の手が及ばなかった。
 角栄は逮捕されて、中曽根は逮捕されない。角栄と中曾根のどこが違うのですか。冤罪の角栄をやれたのだから、中曾根だってやれるはずだ。
 それから亀井静香。許永中との黒い噂があれほど囁かれたのに無傷に終わった。なぜ、亀井には検察の手が伸びない?

p39〜 ロッキードほど簡単な事件はなかった---田中

 ロッキード事件に関わったわけではないので、詳しいことはわかりませんが、検察内部で先輩たちから聞くところによると、時の権力が全面的にバックアップしてくれたので、非常にやりやすかったそうです。
 主任検事だった吉永祐介あたりに言わせると、「あんな簡単でやりやすい事件はなかった」---。
 普通、大物政治家に絡む事件では、邪魔が入るものですが、それがないどころか、予算はふんだんにくれるわ、いろいろと便宜を図ってくれるわけです。三木武夫総理を筆頭に、政府が全面的に協力して、お膳立てしてくれた。
 ロッキード事件では超法規的な措置がいくつもある。
 アメリカに行って、贈賄側とされるロッキード社のコーチャン、クラッターから調書を取れた。相手はアメリカ人だから、法的な障害がたくさんある。裁判所だけでなく、外務省をはじめとする霞が関の官庁の協力が不可欠です。とりわけ、裁判所の助力がなくてはならない。
 政府が裁判所や霞ヶ関を動かし、最高裁が向うの調書を証拠価値、証拠能力があるとする主張を法律的に認めてくれたばかりが、コーチャン、クラッターが何を喋っても、日本としては罪に問わないという超法規的な措置まで講じてくれた。
 贈賄側はすべてカット。こんな例外措置は現在の法体制では考えられません。弁護人の立場から言えば、非常に疑問の多い裁判でもあった。
「贈」が言っていることを検証しないで、前提とするわけだから。贈賄側が死んでいれば反対尋問はできないけれど、本来は、原則として仮に時効にかかろうが、贈賄側を一度、法廷に呼び出して供述が本当なのか検証するチャンスがある。
 ところが、ロッキードではなし。それで真実が出るのかどうか、疑わしい限りです。しかも、贈賄側は一切処罰されないと保証されて、喋っている。その証言が果たして正しいか。大いに疑問がある。
 それぐらい問題のある特別措置を当時の三木政権がやってくれるわけです。つまり、逮捕されたときの田中角栄は、既に権力の中枢にいなかったということなのでしょう。

p41〜 風見鶏だから生き残った---田中

 角栄は、総理に上り詰めるまでに、「角幅戦争」とか「三角大福」とか、熾烈な政争を繰り広げてきた。えげつない現ナマのばら撒きで、相当、強引な裏工作もやっている。そのため、角栄を恨んでいる政敵が多かったということも逮捕につながった大きな原因だと思います。三木にも、角栄に対する根深い恨みがあったのではないですか。
 かたや中曾根元総理は、ついにやられると何度も囁かれたにもかかわらず、最後までやられずに無事、政界を引退した。
 決定的証拠も出てこなかったのでしょうが、「風見鶏」だから大丈夫だったのですよ。若いときから時の権力者にはうまく歩調を合わせていたから、彼を恨んでいる政敵がほとんどいなかった。角栄と違って、歴代の権力者には、中曾根を沈めてやりたいと憎んでいた人間がいなかったのでしょう。
 中曾根はマスコミにもウケがいいので、マスコミから何かをほじくり出されることも少なかった。
 亀井静香の場合は、秘書が有能だからでしょうね。竹下登や加藤六月も秘書がしっかりしていたから、やられなかった。秘書の力は大きいですよ。同じようにカネをもらっていても、処理の仕方によって、事件として問えるか否かが変わってきますから。

p43〜 政治家によって潰された事件は一握り

 特捜の現場で捜査にあたっている検事に直接、指示をしてくるのは特捜部長です。じゃあ、特捜部長に誰が指示しているのかと言えば、現場は接することがないさらに上だとしか言いようがない。
検事総長、次長検事、検事長といったクラスでしょう。
 こういった首脳まで出世するエリートは、法務省勤務が長い「赤レンガ派」と呼ばれる人たちが主流です。
 彼らは法務省で、法案づくりを担当していて、日常的に政権与党の政治家と接触している。僕ら「現場捜査派」が、毎日、被疑者と顔を合わせているように・・・。
 こうして毎日のように会って話をしていると気心も知れるし、考え方も似てくる。そして、どうしても時の権力寄りの見方になってくる。
 だから、彼らが検事総長、次長検事になって、「国策としてこれはどう扱うべきか」となったときに判断すると、結果的に時の権力と同じ視点になりやすい。
 外から見ると、政治家の圧力によって潰れたように見える事件でも、検察首脳部が下した決断がたまたま権力の中枢の考え方と合致していたに過ぎないケースがほとんどだと思いますよ。つまり多くの場合、検察内部の判断であって、政治家によって潰された事件はあったにせよ、ほんの一握り。マスコミの思っているほど多くはありませんよ。

p44〜 暴走をし始めた検察

 僕はそこが一番の問題じゃないかと思う。検察内部の独善で国策捜査のあり方が決まっていきかねないところが----。
 政治家が検察をコントロールする手段としては、指揮権がある。法務大臣を通じて検察庁のトップ、検事総長のみを指揮できる。しかし、現実には指揮権なんてあってなきがごとしで、発動できるもの
じゃない。下手にそんなものを振り回すと世間から袋叩きに遭う。
 現に、1954年に吉田内閣で、犬養健(たける)法務大臣が、造船疑獄に際して時の自由党幹事長佐藤栄作の逮捕をしないよう指揮して以降、発動されたことは一度もありませんからね。
 言い換えれば、事実上、検察を誰もコントロールできない。最近とみに検察ファッショだという非難
が高まっていますね。これは、国策捜査と称して、検察が自分たちの独善を通したのでは、と思える冤罪事件が増えてきたからですよ。
 僕はいまやすっかり時の人となった佐藤優にインタビューしたことがある。外交官だった佐藤は、2002年5月、検察に背任で逮捕された。彼は、取り調べのはじめの段階で、担当の西村尚芳検事から、「君は勝てっこない。なぜならばこれは『国策捜査』なのだから」と宣告されたそうです。
 彼らの言う国策とは鈴木宗男の政治生命を潰すことだった。疑惑のデパート、鈴木を悪の権化に仕立て上げて。
「鈴木は外務省の表と裏をあまりにも知りすぎた男なので狙われたのだ」と佐藤はきっぱり言っていましたよ。その道連れにされたのが自分だと。
 外務省きっての論客だった佐藤は、連日、西村検事に論戦をしかけた。そのときに西村が何度も言ったのが、「時代のけじめをつけるため」という言葉だった。
 僕は、この言葉が、今の検察の驕りを象徴しているように感じる。今の検察は、「俺たちが時代をつくるんだ」と言い放つほど思いあがっている。
 選挙で国民の信を受けた政治家でもない検察が、与えられた強大な権力を背景に時代をリードしようとする---この検察の暴走を誰も止められないのが恐ろしいと思います。

関連;特集「死刑100年と裁判員制度」

拡大する検察権力

岩井 安田さん、今の件についてはどうですか。
安田 お聞きして、なるほどなとすごく納得していたんですけど、戦後の歴史を見ると、ロッキード事件、そしてこれに続く金丸事件で、政府あるいは国会が検察に全く刃向かうことができなくなってしまった。その結果、日本の国家権力で一番強いのが検察になってしまったと思います。
そして、その内実は、徹底した保守主義なんですね。
 僕なんかは、検察官に将来なっていく人たちと司法研修所で一緒だったわけですけど、そういう人たちの多くは政治的なんですね。検察官という職業に対して、政治的な意味づけをしている。
腐敗した政治や行きすぎた経済を正さなければならない。それができるのは自分たちだけだという感覚を持っている人がわりあい多くて、もっと言ってしまえば、実に小児的であったんです。
 たとえば、ある特捜部長は、就任の際、検察は額に汗をかく人たちのために働かなければならないという趣旨の発言をするんですね。青年将校なのか、風紀委員なのか、実に幼いんです。
こういう青年将校的な発想しか持ち合わせない寄せ集めが、今の検察の実態ではないかと思うんです。
 しかもそれがすごく大きな権力を持っているものですから、これは警察と一体となって行っているのですが、対処療法的に次々と治安立法を作り上げていく、たとえばオウム以降、破防法がだめだったら即、団体規制法を作る。あるいはサリン防止法を作る。あるいはその後に少年法を変えていく、内閣に犯罪防止閣僚会議というようなものを作って、刑罰を1、5倍に重刑化して、刑法全体の底上げをやるわけですね。
 彼らは、社会の実態をほとんど知らない、犯罪の原因も知らない、あるいは相対的な価値観や複眼的な視点もない、というのが正しいんでしょうけど、どんどん風紀委員的に対応するんです
ね。

  第三章 絶対有罪が作られる場所

p80〜 ロッキード事件の金銭授受は不自然---田原

 ここからは、ロッキード事件の話をしたい。
 ロッキード事件で田中角栄は、トライスター機を日本が購入するにあたって、ロッキード社から4回にわたって、丸紅を通じて計5億円の賄賂を受けと取ったとして、1983年10月に受託収賄罪で懲役四年、追徴金5億円の判決を受けましたね。

 この4回あったとされる現金の受け渡し場所からしても、常識から考えておかしい。1回目は1973年8月10日午後2時20分頃で、丸紅の伊藤宏専務が松岡克浩の運転する車に乗り、英国大使館裏の道路で、田中の秘書、榎本敏夫に1億円入りの段ボール箱を渡した。2回目は同年10月12日午後2時30分頃、自宅に近い公衆電話ボックス前で、榎本に1億5000万円入りの段ボール箱を。

3回目は翌年の1月21日午後4時30分頃、1億2500万円入りの段ボール箱がホテルオークラの
駐車場で、伊藤から榎本に渡された。そして、同年3月1日午前8時頃、伊藤の自宅を訪れた榎本が、1億2500万円が入った段ボール箱を受け取ったとされている。
 最後の伊藤の自宅での受け渡しはともかく、他の3回は、誰が見ても大金の受け渡し場所としては不自然です。とくに3回目のホテルオークラは、検察のでっちあげ虚構としか思えない。
 伊藤の運転手だった松岡にインタビューしたところ、検察によって3回も受け渡し場所を変更させられたと言う。もともと松岡は、受け渡しに対して記憶はまったくなかったのですが、検事から伊藤の調書を見せられ、そんなこともあったかもしれないと、曖昧なまま検察の指示に従った。
 検事が、最初、3回目の授受の場所として指定してきたのは、ホテルオークラの正面玄関です。
松岡は検事の命令に添って、正面玄関前に止まっている2台の車の図を描いた。
 でも考えてみれば、こんなところで1億2500万円入りの段ボール箱の積み下ろしなどするわけがない。正面玄関には、制服を着たボーイもいれば、客の出入りも激しい。おまけに、車寄せに2台車を止めて段ボール箱を運び込んだら、嫌でも人の目につく。
 検察も実際にホテルオークラに行ってみて、それに気が付いたんでしょう。体調を崩して大蔵病院に入院していた松岡の元に検察事務官が訪ねてきて、「ホテルオークラの玄関前には、右側と左側に駐車場がある。あなたが言っていた場所は左側だ」と訂正を求めた。
 それでも、まだ不自然だと考えたのでしょう。しばらくしたら、また検察事務官がやってきて、今度は5階の正面玄関ではなく、1階の入り口の駐車場に変えさせられたと言います。
 それだけならまだしも、おかしなことに、伊藤が描いた受け渡し場所も変更されていた。最初の検事調書では、伊藤も松岡とほぼ同じ絵を描いている。松岡の調書が5階の正面玄関から1階の宴会場前の駐車場に変更後、伊藤の検事調書も同様に変わっていた。
 打ち合わせもまったくなく、両者が授受の場所を間違え、後で揃って同じ場所に訂正するなんてことが、あり得るわけがない。検事が強引に変えさせたと判断するしかありません。百歩譲って、そのような偶然が起りえたとしても、この日の受け渡し場所の状況を考えると、検事のでっち上げ
としか考えられない。
 この日、ホテルオークラの宴会場では、法務大臣や衆議院議長などを歴任した前尾繁三郎を激励する会が開かれていて、調書の授受の時刻には、数多くの政財界人、マスコミの人間がいたと思われる。顔見知りに会いかねない場所に、伊藤や田中の秘書、榎本が出かけていってカネをやり取りするのは、あまりにも不自然です。
 しかも、この日の東京は記録的な大雪。調書が事実だとすれば、伊藤と田中の秘書が雪の降りしきる屋外駐車場で、30分以上立ち話をしていたことになる。しかし、誰の口からも、雪という言葉が一切出ていません。
 万事がこんな調子で、榎本にインタビューしても、4回目の授受は検察がつくりあげたストーリーだと明言していました。
 もっとも、丸紅から5億円受け取ったことに関して彼は否定しなかった。伊藤の自宅で、5億円を受け取ったと。それは、あくまでも丸紅からの政治献金、田中角栄が総理に就任した祝い金だと。
だから、伊藤は、せいぜい罪に問われても、政治資金規正法だと踏んだ。そして、検察から責め立てられ、受けとったのは事実だから、場所はどこでも五十歩百歩と考えるようになり、検察のでたらめにも応じたのだと答えた。
 つまり、検察は政治資金規正法ではなく、何があっても罪の重い受託収賄罪で田中角栄を起訴したかった。そのためにも、無理やりにでも授受の場所を仕立てる必要があったというわけでしょう。

p83〜 法務省に事前に送られる筋書き---田中

 ロッキード事件のカネの受け渡し場所は、普通に考えておかしい。またそれを認めた裁判所も裁判所ですよ。ロッキード事件以来、ある意味、検察の正義はいびつになってしまった。
 政界をバックにした大きな事件に発展しそうな場合、最初に、検察によってストーリーがつくられる。被疑者を調べずに周りだけ調べて、後は推測で筋を立てる。この時点では、ほとんど真実は把握できていないので、単なる推測に過ぎない。
 でも、初めに組み立てた推測による筋書きが、検察の正義になってしまうのです。なぜ、そんなおかしなことになるかと言えば、政界や官界に波及する可能性がある事件の捜査については、法務省の刑事課長から刑事局長に、場合によっては、内閣の法務大臣にまであげて了解をもらわなければ着手できない決まりになっているからです。とくに特捜で扱う事件は、そのほとんどが国会の質問事項になるため、事前に法務省にその筋書きを送る。
 いったん上にあげて、了承してもらったストーリー展開が狂ったら、どうなりますか?検察の組織自体が否定されますよ。事件を内偵していた特捜の検事がクビになるだけでなく、検察に対する国民の信頼もなくなる。
 本当は長い目で見たら、途中で間違っていましたと認めるほうが国民の信頼につながる。それは理屈として特捜もわかっているけれど、検察という組織の保身のためには、ごり押しせざるを得ないのが現実です。
 特捜の部長や上層部がなんぼ偉いといっても、一番事件の真相を知っているのは被疑者ですよ。その言い分をぜんぜん聞かず、ストーリーをどんどん組み立てる。確かに外部に秘密がまれたり、いろいろあるから、その方法が一番いいのかもしれないが、だったら途中で修正しなければいけない。
 ところが、大きい事件はまず軌道修正しない。いや大きい事件になるほど修正できない。だから、特捜に捕まった人はみんな、後で検察のストーリー通りになり、冤罪をきせられたと不服を洩らす。
僕を筆頭として、リクルート事件の江副浩正、KSD事件の村上正邦、鈴木宗男議員と連座した外務省の佐藤優、村上ファンドの村上世彰(よしあき)、ライブドア事件の堀江貴文・・・全員、不満たらたらで検察のやり方を非難している。
 これを特捜が謙虚に反省すればいいのですが、特捜はそんなことはまったく頭にない。「あのバカども、何を言っていやがるんだ」という驕りがあり、最初にストーリーありきの捜査法は一向に改善されません。

p85〜 尋問せずに事実関係に勝手に手を入れる---田中
 
 とくに東京の特捜では、まずストーリーありきの捜査しかしない。被害者を加害者に仕立て上げてしまった平和相銀事件がいい例ですよ。
 東京に来て驚いたのは、調書ひとつをとっても、上が介入する。調書作成段階で、副部長や主任の手が入ることも多く、筋書きと大幅に異なったり、筋書きを否定するような供述があると、ボツにされる。だから、検事たちも、尋問をするときから、検察の上層部が描いた筋書きに添う供述を、テクニックを弄して取っていく。
 僕も手練手管を弄して自分の描いた筋書きに被疑者を誘導することはありましたよ。しかし、それは、あくまでも現場で捜査に携わっている人間だから許されることだと思う。捜査をしている現場の検事は、こりゃあ違うなと感じれば、軌道修正する。被疑者のナマの声を聞いて判断するので、自分の想定したストーリーが明らかに事実と違えば、それ以上はごり押しできない。人間、誰しも良心がありますから。
 しかし東京では、尋問もしていない上役が事実関係に手を入れる。彼らは被疑者と接していないので容赦ない。被疑者が、これは検事の作文だよとよく非難しますが、故のないことではないと思った。恐ろしいと思いましたよ。冤罪をでっち上げることにもなりかねないので。
 だから、僕は東京のやり方には従わなかった。大阪流で押し通した。上がなんぼ「俺の言う通りに直せ」といっても、「実際に尋問もしていない人の言うことなんか聞けるか」で、はねのけた。

p86〜 大物検事も認めた稚拙なつくりごと---田原

 4回目の授受の場所を特定したのは誰か---ロッキード事件に関わった東京地検特捜部のある検事にこの質問をしたところ、彼は匿名を条件に「誰にも話したことはないが」と前置きして、次のように当時の心境を語っていた。
「ストーリーは検事が作ったのではなく、精神的にも肉体的にも追いつめられた被告の誰かが・・・カネを受け取ったことは自供するけれども・・・あとでお前はなぜ喋ったんだといわれたときのエクスキューズとして、日時と場所は嘘を言ったのじゃないか。
 そして、それに検事が乗ってしまったのじゃないか、と思ったことはある。田中、榎本弁護団が、それで攻めてきたら危ないと、ものすごく怖かった」
 この元検事の証言を、事件が発覚したときに渡米し、資料の入手やロッキード社のコーチャン、クラッターの嘱託尋問実現に奔走した堀田力元検事にぶつけると、
「受け渡しはもともと不自然で子どもっぽいというか、素人っぽいというか。恐らく大金の授受などしたことがない人たちが考えたとしか思えない」
 と語っていました。
 堀田さんは取り調べには直接タッチしていない。だからこそ言える、正直な感想なんでしょうけれど、どう考えても、あの受け渡し場所は稚拙なつくりごとだと認めていましたよ。

p88〜 検事は良心を捨てぬと出世せず---田中

 検事なら誰だって田原さんが指摘したことは、わかっている。その通りですよ。田原さんがお書きになったロッキード事件やリクルート事件の不自然さは、担当検事だって捜査の段階から認識している。
 ところが引くに引けない。引いたら検察庁を辞めなければいけなくなるから。だから、たとえ明白なでっち上げだと思われる“事実”についてマスコミが検察に質しても、それは違うと言う。検事ひとりひとりは事実とは異なるかもしれないと思っていても、検察という組織の一員としては、そう言わざるを得ないんですよね。上になればなるほど、本当のことは言えない。そういう意味では法務省大臣官房長まで務めた堀田さんの発言は非常に重い。
 特捜に来るまでは、検察の正義と検察官の正義の間にある矛盾に遭遇することは、ほとんどありません。地検の場合、扱うのは警察がつくっている事件だからです。警察の事件は、国の威信をかけてやる事件なんてまずない。いわゆる国策捜査は、みんな東京の特捜か大阪の特捜の担当です。
 特捜に入って初めて検察の正義と検察官の正義は違うとひしひしと感じる。僕も東京地検特捜部に配属されて、特捜の怖さをつくづく知りました。
 検察の正義はつくられた正義で、本当の正義ではない。リクルート事件然り、他の事件然り。
検察は大義名分を立て、組織として押し通すだけです。
 それは、ややもすれば、検察官の正義と相入れません。現場の検事は、最初は良心があるので事実を曲げてまで検察の筋書きに忠実であろうとする自分に良心の呵責を覚える。
 しかし、波風を立てて検察の批判をする検事はほとんどいない。というのも、特捜に配属される検事はエリート。将来を嘱望されている。しかも、特捜にいるのは、2年、3年という短期間。その間辛抱すれば、次のポストに移って偉くなれる。
 そこの切り替えですよ。良心を捨てて、我慢して出世するか。人としての正義に従い、人生を棒に振るか。たいていの検事は前者を選ぶ。2年、3年のことだから我慢できないことはないので。ただそれができないと僕のように嫌気がさして、辞めていくはめになるのです。

p95〜 調書にサインすれば終わり---田中

 暴行うんぬんより、もっと重要なのは、弁護側が言うように、検事は調書を思惑通りにつくれるという点です。日本の司法は調書裁判で、調書の内容ほど裁判の行方を左右するものはない。
 裁判所での被疑者の陳述と、検事調書の内容が違ったとします。その場合、とくに調書のほうが信用できることを検事が証明したら、検事調書の内容が真実として採用されることになっている。
 どのような内容を裁判官が信用するのか、過去の判例を調べると、次の2点に集約される。具体性が合って、論理が明快。そんなの検事は先刻承知だから、具体的な理路整然とした調書に仕立て上げる。検事の調書は筋がしっかりしていて論理的なので、裁判官も抵抗なく頭に入る。だから調書の内容が全部生きる。
 かたや、被告の主張は、いくら真実であっても、記憶が曖昧だったり、どこか支離滅裂な部分があるので、圧倒的に検事調書の心証がよい。
 普通の人は、連日、検事から責められて辛い思いをすると、事実とは違っていても認めてしまう。
しかし、裁判で事実を明らかにすれば覆ると思っているので、裁判に望みを託す。
 日本の場合は人質司法で、罪を認めなければ保釈されないので、なおさらこの罠にはまりやすい。何日も自由を拘束されて、厳しい取調べで肉体的にも精神的にも苦痛を受け続けると、一刻も早く家に帰りたいと思うようになる。
 事実であろうが、なかろうが、罪を認めれば、帰れる可能性が出てくる。そして、その場から逃れたい一心で、検事の言うがままになる。だが、これは、非常に甘い考えです。
 と言うのも、一度、調書がつくられて、それにサインしてしまえば、それが事実ではなくても、裁判でも通ってしまうからです。客観的なアリバイなど、よほど明白な証拠でもない限り、弁護士でも検事調書の内容をひっくり返すのはむずかしい。

p101〜 調書の訂正箇所に隠された罠---田中

 調書の体裁で言うと、わざと訂正箇所をつくっておく。事件の本筋とは関係ない些細なことで。
 たとえば田中森一と調書に書く場合、わざと「森」の字を「守」に間違えておく。そして被疑者にでき上がった調書を読ませる。すると間違いに気づいて「田中森一の『もり』は『守』でなく『森』ですよ」と必ず言うので、「ああ、そうか悪い。直すわ」とかなんとか言いながら訂正する。事件に関する肝心な訂正箇所は他にあるんですが・・・。
 ここまでやられると、被疑者が裁判所で、「検事に脅されて調書に無理矢理署名させられたんですよ。私の言ったこととは違う」と、なんぼ主張したところで通らない。「あんた、そういうけど、田中森一の『もり』まで訂正しているじゃないか。違うというんだったら、他のところも直しているはずでしょう」と検事に反論されて終わり。裁判所はどうしたって検事を信用しますよ。

p104〜 検事の捜査日誌は二重帳簿---田中

 調書は提出しなくていいわけではないけれど、弁護側がすべてを検察に出させるのは、事実上、不可能です。
 弁護士が要求すると、裁判所はいつの調書か特定してくれと来る。被疑者本人でさえ、調書の日付なんか覚えていないのに、日付を特定しろと言われてもできない。したがって、検察はいくらでも自分たちに都合の悪い調書は隠せる。

p105〜
 そのかわり自分たちに有利に働くものは法廷で積極的に出してくる。大規模な事件になると、任意で検事の証人尋問が行われる。検事は必ず応じます。
 そのときに小道具として持参するのが、捜査メモ。検事は日々、捜査日誌をつける。取り調べの様子を書いた覚え書きです。
 しかし、実はこの捜査に関するメモは、表と裏がある。事実をしたためた表の捜査日誌と、裏帳簿のように嘘を書いた捜査メモとの二重帳簿なのです。
 言うまでもなく、裏の虚偽のメモは、裁判での証人尋問を想定して書かれている。実際には、土下座をさせたのは検事であっても、メモでは「本人が土下座して、涙を流しながら喋った」となっているわけです。
 裁判官には、それが事実を綴ったメモなのか、虚構なのか判別はできない。毎日、検事が調べが終わった後につけているメモだから、その内容は信用できる、となるんです。
 特捜の検事なら、こういった高等戦術は誰でも駆使できる。敏腕弁護士がついても、被疑者は太刀打ちできない。

p107〜 ビデオ監視をしても無駄---田中

 極端なことを言うと、調書を読み聞かせるときに、飛ばし読みだってできるわけです。被疑者が抵抗するであろうと思われる部分は抜かして。しかし、被疑者はろくろく確かめもしないで調書に署名してしまう。署名さえさせてしまえば、こちらの勝ちです。

 特捜の検事にとってとって自分の意図だけを反映した調書をつくるのは、いとも簡単な技術です。
被疑者を丸め込むなんて、初歩の初歩。誰でもできる。
 検察に、こうした捻じ曲がった調書を作らせないために、ビデオで取り調べの様子を撮って監視するという案もありますが、そんなことをしても無駄でしょう。都合の悪いときは、ビデオカメラのスイッチを切ってしまえばいいのだから。むしろ、検察に好都合なところだけを撮影されて、悪用される恐れのほうが強い。
 このように、調書裁判というシステムが変わらない限り、検察は何でもできるのですよ。

p144〜 忙しくて調書は精査できない---田中

 裁判所が目に触れる検事の調書で事実かどうか判断するように、検事も警察のつくってきた調書上で筋が通っていれば、あったとしか判断しようがない。
 警察から上がってきた調書は、我々にも嘘か誠か、にわかには判別できないので、信用するしかない。最初から検察が関わった事件なら、ああはならなかったでしょうけど。
 もっとも、選挙がらみの事件は、検事が必ず調書を取る決まりになっているので、本当は、検察がその際、じっくり吟味すればいいのだけれど、鹿児島あたりの地検で、それをやるのは現実的に、無理なんですよ。
 地方の県の地検に配属されている検事の数は少ない。せいぜい3、4人です。その人数で次々と警察から上がってくる事件を処理しなければならない。

p145〜
 日々、取り調べに追いまくられている。地検の検事はたいへんな仕事量をこなしている。だから、志布志のような冤罪事件をなくそうと思えば、検事の数を増やすしかないのかもしれません。

p153〜 マスコミは検察の言いなり---田中

 大マスコミは検察の言いなりやからね。
 現場で見ていても、新聞やテレビといった大マスコミは、検察に上手にコントロールされているという感じがする。大マスコミによる検察批判なんて考えられませんね。
 特捜の扱う事件は、下手に情報が漏れると、事件が潰れかねない。だからマスコミへのガードは非常に堅く、記者が接触できるのは、たとえば東京地検の場合、特捜部長と副部長に限定されていて、第一線の現場の検事への接触は禁じられている。もし、これを破ったら、検察への出入りは禁止です。接触した検事も異動させられる。

p155〜
 一方、取材する側の司法記者から見れば、特捜が手掛けるのは社会的な影響の大きい事件なので、スクープできれば手柄になる。裏を返せば、他社に抜かれるとクビが危ない。そこで夜討ち朝駆けで、特捜部長や副部長から情報を聞き出そうとするわけだけれど、覚えがめでたくないと、喋ってもらえない。
 検察に不利益なことを少しでも書く記者には、部長も副部長も一切、情報を教えません。だから、どうしても検察側の代弁に終始してしまう。
 仮に、これに疑問を感じて、独自の取材を展開し、すっぱ抜いて報道したら、「てめえ。事件を潰す気か」と、検察側の怒りに触れる。記事を書いた記者だけでなく、その社の人間は、出入り禁止。
情報がまったく入ってこなくなる。マスコミにとっては致命的な状況に置かれるわけです。
 検察とマスコミでは上下関係ができていて、マスコミは検察に対しては無抵抗状態というのが現実です。
 2005年の年初、東京地検特捜部長の井内顕策が、「マスコミはやくざ者より始末におえない悪辣な存在です」と書いた文書を、司法記者クラブに配布するという事件があった。しかし、そこまで誹謗されても記者たちは何の抵抗もなしです。どこの新聞社も記事にもできなかった。

p156〜 大衆迎合メディアが検察の暴走を許す---田原

 マスコミを踊らすなんて、検察にとっては朝飯前なんですよね。
 
 情報操作によって世論を喚起した事件として思い出すのは、沖縄返還協定を巡って1972年に毎日新聞政治部記者、西山太吉と外務省の女性事務官が逮捕された外務省機密漏洩事件です。
 西山記者が逮捕されたとき、「言論の弾圧だ」「知る権利の侵害だ」という非難が国民の間で上がった。
 そこで、検察は起訴状に「西山は蓮見(女性事務官)とひそかに情を通じこれを利用し」という文言を盛り込み、批判をかわそうとした。この文言を入れたのは、のちに民主党の参議院議員になる佐藤道夫。
 検察のこの目論見はまんまと成功、西山記者と女性事務官の不倫関係が表に出て、ふたりの関係に好奇の目が注がれ、西山記者は女を利用して国家機密を盗んだ悪い奴にされてしまった。
 本来、あの事件は知る権利、報道の自由といった問題を徹底的に争う、いい機会だったのに、検察が起訴状に通常は触れることを避ける情状面をあえて入れて、男女問題にすり替えたために、世間の目が逸らされたわけです。
 西山擁護を掲げ、あくまでも言論の自由のために戦うと決意していた毎日新聞には、西山記者の取材のやり方に抗議の電話が殺到、毎日新聞の不買運動も起きた。そのため、毎日は腰砕けになって、反論もできなかった。

p158〜
 西山事件のようにワイドショー的なスキャンダルをクローズアップして事件の本質を覆い隠す手法を、最近とみに検察は使う。

p159〜
 興味本位のスキャンダルは流しても、事の本質については取り上げようとしないメディアも悪い。
いや、大衆迎合のメディアこそ、検察に暴走を許している張本人だといえるかもしれませんね。

 

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コメント
 
01. 2010年1月26日 16:19:48
この頃の一連の検察の動きをみて、法律の不備を感じる。
昭和22年に制定された裁判所法・検察庁法に記されているが、
検事・判事の交流移動が決められている。年に数十人が
検事→判事、判事→検事の移動がある。これではまるで法務省
一家である。三権分立が怪しいものになっている。
また、逮捕状は検察(警察)が裁判所に請求して、裁判所が発行
するが、検察と裁判所が一体なので、逮捕状を発行する時点で
ほぼ、有罪が決まる。
検察が逮捕状を請求するところを、裁判所ではなく第三者機関
(検察の権限がおよばないところ)を設置することで公正を期すべきである。
今、検察は裁判所の裏金問題を掴んでいて、このネタで裁判所を
脅迫して、検察の思うとおりにしている。

02. 2010年1月26日 17:57:31
人民解放軍野戦指揮官が独裁する前に叩いて当然でしょう。
検察のレジスタンス活動には、頭が下がる


03. 2010年1月26日 17:58:19
コンビニで週刊朝日が売れてると聞いた。
ある本屋では数ある週刊誌で週刊朝日だけ平積みで置いてあった。

04. 2010年1月26日 18:08:33
今、ちょうど、読み始めた所です。(ブックオフで105円)

05. 2010年1月26日 18:43:11
>人民解放軍野戦指揮官

アメリカ占領体制からの解放、ということだ。

占領軍の手先=検察の反レジスタンス活動には反吐が出る


06. 2010年1月26日 23:00:04
ごちゃごちゃ書いているが、検察からマスコミへズブズブに情報が漏れていることは明白。自分はずっと以前から検察、大マスコミは全く信用していない。01の意見に賛同する。この国は3権分立からして機能していない。検察、裁判所を含む官僚の利権がありその権限(恣意的な運用が可能)が大きいことが問題。

07. 2010年1月26日 23:00:28
駅売店でも夕刊フジが大量に売れ残っているのに対して、日刊ゲンダイの捌け方がすごいような印象がある。もともとの発行部数が日刊ゲンダイのほうが少ないのかもしれないがね。

08. 2010年1月26日 23:28:40
ゲンダイは売れてますよ。
多くの大衆が、もう大マスゴミなんか当てにしないということでしょう。

09. 2010年1月26日 23:41:43
田中森一氏や三井環氏が暴露した、事実をねじ曲げ犯罪をでっち上げても断罪されない立場を利用した検察の法匪(法を利用して悪事を働くこと)に合法的に対抗するのは、現状の権力配分制度のもとでは不可能である。

しかしたかが120人程度の「こわっぱ役人」共に日本の政治体制の筋道を付けるお目付役などと偉そうなことをのたまわらせ、正義面した犯罪行動を野放しにしておく訳には絶対いかない。このような悪徳検察には天誅を下さなければならない。

法的対抗手段が封じられている現状制度のもとで、このような悪徳検察に天誅を下すには正攻法などは役立たない。一つの方法は検事総長も含めた個々の検察官の素行を徹底的に追跡し、それらの私生活上の犯罪的行為やスキャンダラスな行為を暴き、検察組織を悪の巣窟のイメージに仕立てあげ自滅に導くことだ。

検察は度重なる非難も無視し権力独占の立場を利用して日常的に悪行を働いている事実は、田中氏や三井氏など検察内部者の告発でも明らかである。それに対する理性的・合法的対抗策が封じられている現状では卑劣な手段も使わざる得ない。むしろ現在の状況が続く限りそれしか手段は無いと言える。権力を利用した悪辣相手に優等生的対応をしていても始まらないのは歴史が証明している。悪辣な合法ヤクザには「目には目を歯には歯を」だ。

現在の警察・検察・司法はそのくらい深刻な状況になっていることを我々市民は認識しなければならない。


10. 2010年1月27日 00:09:24
過去、数えきれない人々が冤罪で獄に繋がれ、職を奪われ、社会的地位や人生さえも奪われてきた。
そして今、この国は、警察・検察とその意思を体現するマスコミによって、暗雲に
覆われた時代に突入しようとしていると思える。
私たちは、過去の歴史的教訓に学び、その教訓を自らのものとし、何が真実なのか
はっきり見抜かねばならない。自らの頭脳で判断できる「自立した個人」へと自らを不断に高めていくことが大切ではないか。
民主主義を守り発展させるか、それとも検察・官僚・CIAが支配する暗黒の社会へと後戻りさせるのか、この国は大きな岐路に立っている。
検察の暴走を許さないためには、検察官僚組織の手術が必要であろう。同時に「取り調べの全面可視化」が必要だ。
そして何より、一人ひとりが声を上げるべきだ。

11. 2010年1月27日 00:42:17
取り調べの全面録音可視化、クロスオーナーシップ規制、検事判事の交流法廃止、それから特捜の解体。これらを、表現の自由介入、司法介入との妨害に抗して、人権優位のもとに断行する。してほしい。

12. 2010年1月27日 02:04:57
田中森一氏は安直な取り調べ可視化は効果無いし、それどころか検察に都合のいいところだけを映し出し悪用される可能性するあると言っている。
確かにその可能性は今の悪徳検察のやり口を見ていればやりかねない。

とすれば、検察審査会の権限拡大やそれに準ずる第三者機関を設置して、取り調べスケジュールの事前報告を義務づけその日時に合わせて審査会や第三者機関がカメラや録音の操作を行うシステムにするなどして、検察に可視化操作をさせない方法を検討すべきだ。

また沖縄米軍犯罪の時の米軍の言いぐさではないが、取り調べにおける弁護士立ち会い制度も検討すべきだ。ただし日本の弁護士は検察や司法と馴れ合いの検事出身の弁護士や商売であって正義感が無い者も多く、弁護士立ち会いには過大な期待は禁物だろう。

ちなみに亀井金融大臣は可視化に関して聞かれ、可視化に反対する訳ではないがと断ったうえで、警察出身者の経験上、カメラの衆人監視をいいことに、ここぞとばかりウソをついて逃げ追うす可能性も増大し、犯罪者を世に野放しにしかねない面を懸念していた。

しかしウソで簡単に逃すような証拠立ての捜査レベルではまずそのほうが問題だし、それより様々な取り調べ体験者の声からも、脅されでっち上げ調書で犯罪者扱いされかねないケースのほうが圧倒的に多く問題である。それによる取り返しつかない人生被害の重大さを考えれば、犯罪者を取り逃すマイナス面を差し置いても可視化は不可欠である。


13. 2010年1月27日 04:05:27
きれいなタカなどいるはずもない
奴等の犯罪行為は裏の権力によって隠蔽されてるだけだ

14. 2010年1月27日 08:46:19
本当に悪い奴は金を持っていて表に出ないからね(笑)

15. 2010年1月27日 10:21:09
佐藤栄作を捕まえれなかったのはなぜか?
こいつを捕まえれなかったところに、今日の支配体制が出来上がったというところじゃない。

清和会は捕まえないとはっきり言えよ。


16. 2010年1月27日 10:36:03
阿修羅では、よく田原氏への非難めいた内容を目にする。 彼は時に唐突な物言いをするので、苦手な方もいるのかもしれない。 私は以前より、ジャーナリストとして彼の発言には耳を傾けてきた。 先週の朝日TVのサンプロでの内容にしても、田原氏の司会者としての意図を感じるものであり、同局の報道番組にも昨今疑問を感じ、懐疑的になっていたので、他社とは違う取り組み方に少しの光を見た気がした。 又、彼がすでに雑誌に今回の検察の小沢氏への取り組みを否定的、つまり冤罪であると書いている事をしり、是非、そちらの彼の手記も近日中に読んでみるつもりでいる。 田原氏には、今後もジャーナリストとして他の記者が書く事のできない勇気ある真実を我々国民に伝えて頂きたい。 今後の活躍を大いに期待するものである。

17. 2010年1月27日 11:12:06
恐ろしい、国民は皆騙されていると言ううことですか

これでは今度の参議院選で検察の支配が決定的になる!


18. 2010年1月27日 18:03:09
検察を支配しているモノ、それが問題。
そいつらは人間じゃない。
比喩ではなく、文字どおりの意味で。

19. いいだ 2014年7月04日 13:58:09 : IYcaqnJx7XKuo : y02hKWarGM
田中森一の評価を間違っている人が世の中にいる事が不思議だ。田中は、根っからの金の亡者で詐欺師。出所後、同じような手口で、出資金詐欺をやろうとして、相手からあやしまれ逃げられた。今、がん再発、転移の中、運のせいにしている姿が目に浮かぶ。抗がん剤の副作用で、髪は抜け落ち皮膚は黄色くなり、まるで80越えの爺さんのようだ。田中の冥土みやげは、打出の小づちか。笑

20. 2014年11月27日 15:46:06 : gxHIpFTD8o
Yahooニュース

元特捜検事 田中森一氏が死去
2014年11月22日(土) 13時15分掲載 .
http://news.yahoo.co.jp/pickup/6139539

<訃報>田中森一さん71歳=元特捜部検事、元弁護士

 東京、大阪両地検の元特捜部検事で、巨額詐欺事件で実刑判決を受けた元弁護士の田中森一(たなか・もりかず)さんが22日、東京都内の病院で死去した。71歳。関係者によると胃がんを患っていた。(毎日新聞)

\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\

田中森一
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%B0%E4%B8%AD%E6%A3%AE%E4%B8%80

\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\

2ちゃんねる
「闇社会の守護神」田中森一氏が死去 [転載禁止]©2ch.net [989464548]
http://fox.2ch.net/test/read.cgi/poverty/1416629210/

2 :番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です:2014/11/22(土) 13:09:00.19 ID:I1d/hM3m0許永中の犬
亀井静香と兄弟分

12 :番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です:2014/11/22(土) 14:02:41.70 ID:pVeHqdZh0結局警察になっても正義もクソもねえってこったなあ
人脈いかして裏社会の方の味方してるんだもの

14 :番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です:2014/11/22(土) 15:31:16.06 ID:U965Wz6c0特捜ってヤメ検禁止にして法曹界追放にしてもいいくらいダーティだよなw

16 :番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です:2014/11/22(土) 15:43:39.89 ID:Yjp2iSA10こういう人が捜査情報漏らしてんだよな

17 :番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です:2014/11/22(土) 16:28:45.98 ID:GaH9TAgm0容疑者の自供を引き出す「割り屋」と呼ばれ、ロッキード事件以来の政界汚職となった撚糸工連事件を担当した。


ここから全部真っ黒やん

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ブログはじめました
2013年12月22日

イトマン事件の許永中
http://camomilla.seesaa.net/article/383279939.html

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片岡都美
http://www39.atwiki.jp/memomemo7/m/pages/15.html?guid=on

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日本のお姉さん
2009-02-17 17:06:26
北朝鮮は、どこにある?(ネットゲリラ)
http://ameblo.jp/nyaonnyaon/entry-10210087307.html

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貴方の知らない日本

安倍晋三氏 逮捕された「山口組の金庫番」と一緒の写真発覚
2012.10.15 07:00
http://50064686.at.webry.info/201210/article_17.html

山口組の金庫番、大物金融ブローカー永本壹桂こと孫壹桂容疑者逮捕で芸能界との密接交際が暴かれる!?

<< 作成日時 : 2012/03/15 20:17
http://50064686.at.webry.info/201203/article_16.html

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アウトロー列伝 闇社会
2014年1月22日水曜日

チャンネル桜の親会社「トランスデジタル」が、増資発行の株を指定暴力団・山口組に渡していた
http://urashakai.blogspot.jp/2014/01/blog-post_22.html

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