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小沢氏による、土地代金の原資説明は「二転三転している」と評する人が居ます。
マスコミの論調も、だいたいそんな感じです。
今朝のスーパーモーニングもそんな感じでしたね。
いわく「最初は『政治資金(献金)』だと言い、次には『融資を受けた金』だと言い、最後は自分達が積み立ててきた『自己資金』だと言う。」…ってぐあい。
陸山会が不動産を取得してきた経緯について、あまり良く知らない人は「そのとおりだ。コロコロ変わっている。信用できない!」と言うでしょう。
しかしこの説明、実は全部「正解」なんです。
土地取得の原資は「政治資金」であり「融資の金」であり「自己資金」なんですよ。
「そんなバカな!」と思われますか?
では、少し説明しましょう。
陸山会は集めた政治献金の一部を不動産として保有しておきたい…と考えました。
しかし、陸山会は法人格を持たない任意団体ですから、陸山会名義では不動産の登記ができません。
そこで、代表の小沢一郎氏が不動産を購入し、小沢一郎氏の名義で登記されたものを、陸山会が政治目的に使用して、それ以外、小沢氏の私的な用途には使わない旨の取り決めがなされました。
(このシステムには様々な批判があるのですが、今は本題とずれるので割愛します)
ともあれ、上の仕組みを実現するためには、不動産購入代金として「形式上/小沢氏のお金で、実質上/陸山会のお金」を作らなければなりません。
そこで、陸山会の定期預金を担保に小沢氏が銀行から融資を受ければ、そのような性格のお金が作れるのです。
この金は、陸山会が管理する政治資金を担保にしたものですから、事実上の原資は「政治資金」です。
しかしこの金は、小沢氏が政治資金を直接貰い受けたり、借入れたものじゃなく、それを担保として銀行から借りたお金ですので、名目上「融資を受けた金」になります。
そして、融資を受けた名義人が小沢氏個人ですから、形の上では「自己資金」だと言うことになります。
2005年の世田谷区の土地取得の際は、正真正銘の「自己資金」4億円が原資となったことになっていますが、それ以前の不動産取得でも、形の上では「自己資金」、実質上は「政治資金」が支払いに充てられていますので、これを「自己資金」だとする説明も「融資の金」だとする説明も間違いじゃありません。
2005年の物件も、それ以前の物件も、その代金は形式上どちらも「小沢氏の自己資金」なのです。
しかし、上記システム上、2005年に陸山会が取得した土地代金の原資が、正真正銘、小沢氏の「自己資金」であれば、これは実質上、小沢氏から陸山会に寄贈されたものとなってしまいます。
そこで政治資金収支報告書上では「借入金:小澤一郎:4億円」と記載すべきだったのです。
ところが陸山会では、上記システムに基づいて「定期預金を担保に銀行から借りる」という方法が「慣習」になっていたために、代金支払い後、4億円の定期預金を組んで、小澤一郎名義で4億円の融資を受ける…という、従来の手続きをとってしまいました。
石川氏の供述とされている「融資は必要なかった」や「ミスでした」は、おそらくこの意味でしょう。
ただ、そこには複雑な事情がありそうです。
今回、小沢氏が記者会見を開き、説明文を配布しましたが、その説明文を読むと、この間の事情の一端が垣間みれます。
【説明文より引用】
(前略)当時陸山会の経理を担当していた秘書から各政治団体の資金をかき集めればなんとかなるが、そうすると各政治団体の活動費がほとんどなくなってしまうので、私に何とか資金調達できないかと言ってきました。(後略)
【引用おわり】
土地の取得が決定され、陸山会では土地および建物の費用と目される、約4億円の定期預金を組むため、各政治団体から資金をかき集めた(1億8000万円の資金移動がこれでしょう)けれど、4億円に届かないか、届いたとしても金庫がカラッポになってしまうので困る…と言ったわけです。
そこで小沢氏が自己資金で4億円のキャッシュを用意しました。
陸山会は、それをそのまま支払いに充てれば良かったのですが、まずは金庫がカラッポになった各政治団体への補填金として、各政治団体の口座に分散して振込みました。
これが通帳に「住」のメモを付けた資金移動だと思います。(蛇足ですが、この総額はおそらく1億8000万円でしょう)
そして陸山会の口座にも、キャッシュから5000万円が入金されました。(その日付が10月18日だと思います)
陸山会では、小沢氏から出されたキャッシュの4億円で土地代金を支払うのではなく、あくまで定期預金を組んで、小沢氏個人が融資を受け、その金で土地代金を支払う…という手続きをとるつもりでいたのだと思います。
そのため、活動費が枯渇した各政治団体と陸山会自身への補填金に、このキャッシュ4億円を充てたわけです。
こうやって4億円の定期預金は組めましたが、融資が下りる前に土地の支払い期日が来てしまい、陸山会は急遽、各政治団体の口座と陸山会自身の口座から補填金を回収、土地の支払いに充てました。
「(キャッシュを)一旦、複数の口座に分散して入金後、再び出金して支払った」のは、そうした事情があったのだと考えられます。
土地代金の支払いを終えて、陸山会には定期預金4億円と、それを担保に借りた4億円、さらにキャッシュ4億円から土地代金の3億5000万円を引いた5000万円の、計8億5000万円が手元に残りました。
融資分の4億円は、個人としての小沢氏に返却しても良かったのですが、建物の建築費用や各政治団体の活動費支出に備えるため、そのまま手元に残し、収支報告書に「借入金:小澤一郎:4億円」と記載しました。(これが通帳に「先生」のメモを付した預金でしょう)
建物の建築費や活動費に4億円もの備蓄は必要ありませんので、これは本来「万一、足りなくなった時に借り入れられるよう、手元に置いておく『預かり金』」としておくのが妥当でした。
しかし、陸山会では例の「慣習」がありましたので、この融資金が土地代金の原資であると勘違いし「借入金」の処理をしてしまったのです。
そこで、最初に借入れられた、キャッシュ4億円が「不記載」ということになったわけです。
一方、陸山会の認識としては、キャッシュ4億円が「一時立て替え金」という扱いになり、報告書への記載は「必要ない」という判断だったのでしょう。
しかしたとえ、その判断が小沢氏に報告されていたとしても、小沢氏は疑念を抱かなかったはずです。
「土地代金は先生名義で融資を受けた4億円を使いました。4億円の融資金から3億5000万円の土地代金を支払い、5000万円の備蓄ができたので、先生からのキャッシュ4億円は手をつけなくても、資金繰りは、なんとかなりそうです。ですからこれは、念のためしばらくお預かりした後、簿外で返金します。政治資金収支報告書には記載しません」
「そうか、わかった」
…てなものです。
もっとも、そこまで細かい報告をしたかどうかは、今のところ確認のしようがないんですけどね。
仮に小沢(陸山会)代表が、そのような報告を受けていたとしても、そこに「不備」があるとは気付かなかったでしょう。
経理担当秘書も、これが「不記載」にあたるとは夢々思わなかったでしょうし、細かな金の動きを報告して「これは記載した方が良いのでしょうか?」などと相談したはずもありません。
石川氏は「故意の不記載」を認めていると報じられています。
これは「不記載ではあるが違法ではない」との判断から出た供述だと考えられます。
その判断が正しいのか間違っているのかは、裁判の結論を待たなければ分りません。
したがって、小沢氏が公の場で、石川氏の判断を明かし(知っていたとしての話ですが)それを弁護すれば、ここで「共犯」容疑が成立します。
小沢氏が記者会見で「虚偽記載への関与」を否定したのは、小沢氏が裁判の当事者になってしまうことを避けるためであり、文字通り小沢氏が「何も知らなかった」ことを示すものではないと考えます。
「オレは事情の報告を受けている。けど、これのどこが違法なんだ?」と反論すれば、その「事情」が石川氏の供述と微妙に食い違うところを突かれて自爆してしまいます。
検察側は分断した容疑者を個別に攻撃できますが、小沢氏が容疑者になれば、それぞれの「事情」「解釈」を確認し合ったり、口裏を合わせたりすることもできず、圧倒的に不利な立場となります。
小沢氏が報告を受けて「ある程度」の事情を知っていたとしても、検察が元秘書らを「虚偽記載」で起訴する可能性がある(それは即ち裁判闘争になるということ)以上、口にできないのは当然であり、「深く関与していない」とするコメントは賢明な選択です。
小沢氏サイドは、元秘書らの「虚偽記載」容疑が、まったくの「無理筋」であることを知っているでしょう。
それはつまり、事情を詳しく知っている…ということです。
しかし、「無理筋」であっても、検察側が起訴に踏み切る可能性があるなら、それを「知っている」とは口が裂けても言えません。
「無理筋」容疑の「共犯者」にされて、泥沼の法廷闘争に引きずりこまれてしまうからです。
「無理筋」裁判の法廷論争は、起訴された元秘書らと、その弁護団に委ね、自分は闘争の外部に身を置いて、「証人」「参考人」の立場から援護射撃する…小沢氏サイドは、そのような作戦を立てていると考えられます。
以上の事情推測が正しければ、私なりの法解釈で「虚偽記載は不成立」です。
たとえ成立したとしても、報告書の修正だけで終わる案件でしょう。
ヤミ献金の線は、おそらく立証不能であるだけでなく、起訴に持ち込むことすら困難だと考えます。
とすればもはや、検察の敗北は決定的で、あとは如何にしてダメージを最小限に抑えるか…と考える段階でしょう。
石川氏の手帳記述に関する怪しげなリークは、疑惑の世論を出来る限り引っ張って、小沢氏サイドと少しでも有利な取引きをしようという「足掻き」に見えます。
しかし、小沢氏側はこの取引きに応じない可能性もあります。
検察を後戻りできないところまで引き込んでおいて、マスコミともども包囲殲滅する作戦だったのかも知れません。
というのは、政府も民主党も、そして小沢氏自身までもが「検察は公平な捜査をしていると信じる」旨のコメントを出しており、「指揮権発動」は論外だと言わんばかりだからです。
一方、引くに引けなくなった検察は、どこかで「名誉ある撤退」をすることが出来るでしょうか?
それとも、このまま暴走を続け、「検察の正義」を地に貶めてまで、名誉なき玉砕を選択するのか…今後の経緯を見守りたいと思います。