自立支援法 和解勧告 「こんなに早くとは・・・」http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/wakayama/news/20100122-OYT8T01325.htm 全国14地裁で提訴された障害者自立支援法の違憲訴訟は22日、初めての和解勧告が和歌山訴訟で出され、解決への道筋が示された。すでに政府とは基本合意に達しているものの、原告の和歌山市北出島、大谷真之さん(35)は「こんなに早く和解という話になるとは夢にも思わなかった」と喜ぶ。和解期日は4月9日、大谷さんが同訴訟の2次提訴に加わってから約1年で、裁判は終結の見通しとなった。(上野綾香) 脳性小児まひから、両足などに障害を抱える大谷さんは、同法の施行後、ガイドヘルパーなどのサービスに、月3万7200円が必要となった。その後、9300円に軽減されたが、施行前の4500円と比べ、大きな負担増。昨年4月に提訴し、福祉サービスの利用に原則1割の自己負担を求めた同法は、憲法が保障する生存権の侵害だと訴えてきた。 その後、同法の廃止を掲げた鳩山内閣が発足。今月7日には、全国から集まった原告と厚生労働省との間に基本合意文書【クリップ】がかわされた。調印式に同席した大谷さんは、「長妻さんは、一人ひとりと握手してくれ、やってくれると感じた」と涙を流したという。 この日の弁論では、原告側が合意に至るまでの経緯を説明し、「やっと願いの一つがかなえられた。でも、スタートに過ぎず、いい新法を作っていきたい」と意見陳述した。これを受けて被告側が和解による解決の姿勢を示し、大西嘉彦裁判長が和解勧告、原告側も受け入れた。 弁論後の報告集会で、大谷さんは支援者を前に、昨年10月から何度も東京に通い、合意文書の作成にもかかわってきたことなどを振り返り、「これからは、国がわれわれの声を聞いてくれる」と、合意に応じた理由を話し、「まだ力は抜けない」と決意を新たにした。 山崎和友弁護士も「(新法)制定まで国を監視していくことが大事。力を合わせてがんばりましょう」と呼びかけた。集会では、障害を持つ支援者から、「自ら立ち上がるべきところを、大谷さんが抱え、戦ってくれた」と、原告に感謝する声が上がった。 一方、今後の集団訴訟でも、原告、被告双方が和解を進める方針とみられる。厚生労働省障害福祉課は「各自治体と協議しながら、訴訟終結に必要な手続きを進めたい」と話し、国とともに被告となった和歌山市の大橋建一市長は「和解に向け、国と協議しながら取り組んでいきたい」とコメントした。 【クリップ】基本合意文書 〈1〉同法廃止を確約し、2013年8月までに新法を制定〈2〉国は反省の意を表明〈3〉新法制定には障害者が参加〈4〉当面は低所得の障害者の利用負担を無料――などの内容が盛り込まれた。 (2010年1月23日 読売新聞) |