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小沢の土地購入疑惑をめぐって検察による「違法な情報リーク」が問題となっている。というよりも阿修羅サイト内での投稿やコメントを見る限り、「違法な情報リーク」を行なっている「検察を批判」する意見はほとんど見られず、大概が検察関係者からのリーク情報を報道する「報道機関を批判」するものだ。その際によく使われる言葉が「マスゴミ」というレッテル言葉である。報道機関全体に対して「マスゴミ」いうとレッテル張りを行なって批判することには強い違和感を感じるがその問題はここでは扱わない。 検察からの違法なリーク情報は、その情報が誰からもたらされたものであるかが報道機関の手によって分からないようにされている。もしも情報提供元が特定できてしまうと、その個人は違法な情報リークを行なった者として刑事責任が問われる。そのような事態となれば、誰も報道機関に情報リークを行なうものはいなくなるだろう。この問題は小沢の土地購入をめぐる疑惑に限定できるものではない。 報道機関が特定の個人への聞き込みによって得られた情報を、個人が特定されない形で報道することは事件報道では一般的である。情報提供元の個人が特定できない形で報道するのは、仮に個人が特定できてしまった場合に、その個人に不利益が及ぶことが予想されるケースである。報道機関が情報提供元を明らかにして報道するとなれば、誰も報道機関に内部告発や当人しか知りえない情報提供を行なう者はいなくなる。それは報道機関としての自殺行為である。それゆえ報道機関は情報提供者が特定されないようにすることはよくあることだ。TV報道で取材相手の顔をぼかしたり、音声を加工したりすることで個人が特定できないようにしているケースもこれに該当する。このこと事態は格別批判されることではないということを確認しておきたい。むしろ、「一般論」としてはこうした報道の仕方は、通常の方法では不可能な事件の真相に迫る報道として歓迎すべきことである。 話題を小沢の土地購入疑惑をめぐって行なわれている検察による「違法な情報リーク」に移す。この事案では、検察関係者が公務員の守秘義務に違反して報道機関に情報提供を行なっている点に特徴がある。検察は盛んに「違法な情報リーク」を行なってきた。一方、国民の側は土地購入疑惑に強い関心を持ち、その関心に応える形で提供される検察リーク情報に注目しているという構図がある。報道機関は情報提供元が刑事責任を問われないように「関係者によると」といった形で情報提供元をあいまいにしている。検察の違法な情報リークにもとづく疑惑報道により、小沢に対して国民の厳しい目が向けられるようになった。このことで非難すべきは、検察の違法な情報リークにもとづく疑惑報道を行なっている報道機関の側だろうか。検察が違法行為を行なっている現状を踏まえれば、非難すべきは検察の側である。報道機関はこれまで行なってきたのと同様に刑事責任を問われかねない情報提供元の個人を特定できない形での報道を続けているに過ぎない。そのことが結果として小沢の側に疑惑が集まることになったとしてもである。なお一部報道機関はことさらに小沢の側に非があるような報道をしていることは承知しているが、そのことについてはここでは取り上げない。 検察が被疑者から自分たちの描いたストーリーに合うような供述を引き出すために「虚偽のリーク情報」を流す可能性は常にある。実際、20日に検察は虚偽のリーク情報を流した。「逮捕された石川知裕衆院議員(36)(民主)が東京地検特捜部の調べに、土地購入前の2004年10月下旬頃、土地代金に充てる現金4億円を同会の同年分の政治資金収支報告書に記載しない方針を小沢氏に報告し、了承を得ていたと供述していることが、関係者の話で分かった。」という記事がそれである。この情報が虚偽であることは、同日、石川容疑者の弁護人が報道を否定する声明を報道各社に出したことで明らかになった。このような虚偽の情報があたかも真実であるかのように報道されることを防ぐために、報道機関は検察からのリーク情報をそのまま流す前に、容疑者側の弁護人の主張も併記する形で報道すべきであった。この件でそれがなされなかったことは報道機関の責任として批判されなければならない。 報道機関に情報の出所を明らかにせよと迫っても、「取材源の秘匿」の大原則を盾に拒否されるのは明白である。報道機関にとってはたとえ記者が逮捕されようとも取材源の秘匿は最優先すべき大原則なのである。前に述べたように取材源の秘密を明かすことは報道機関にとっての自殺行為であるからだ。報道機関に対して「検察のリーク情報を流すな」と要求しても、逆に報道機関側から「取材源が検察であるとは何を根拠にしているのか」と反論されることは目に見えている。そう反論されれば具体的証拠をつかんでいる訳ではないのだから何も言えなくなるということが現実である。報道機関に対しては、検察よりの情報だけでなく、被疑者側の反論も取材し両論併記せよと働きかけるのが筋である。また容疑がかけられている小沢側も折りに触れて説明の機会を設け、報道機関を通して真実を告げるように努める姿勢が求められる。 公務員の守秘義務違反という違法行為を行なっているのは検察組織そのものである。最も批判されるべき相手は検察組織の側であるということを確認しておきたい。検察に対して「違法な情報リーク」を止めよとの一大キャンペーンを行なう必要がある。インターネットを手段として各ブログで一斉に広めていくこともよいだろう。検察は虚偽のリーク情報を流すこともあるということを実例を挙げて説明することだ。国民各層に報道機関が発表する「関係者によると」といった報道は取材源が不明であり、根拠が明らかでないことを分かりやすく説くことが必要だ。ここでのキーポイントは報道機関に対して「検察からのリーク情報を報道するな」といった「意味のない」要求をすることではないということだ。それよりもこうした一大キャンペーンを通して国民の、報道機関からの疑惑報道に対する受け止め方(メディア・リテラシー)を健全なものに変えていくようにすることが遠回りのようであっても最善の道である。 |