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http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100124/stt1001240304001-n1.htm
政権与党の最高実力者が国会の会期中に、任意とはいえ検察当局の事情聴取に自ら応じざるを得ないというきわめて異常な事態を迎えた。
小沢一郎民主党幹事長はその責任の重大さを認識しているのか。東京地検特捜部の聴取の目的は、小沢氏の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる政治資金規正法違反事件への関与の解明だ。
この事件では、現職議員を含む側近3人が逮捕された。聴取により自身もその当事者となった小沢氏の政治的・道義的責任は、より明白になった。
小沢氏は聴取後の記者会見で、土地購入には自己資産4億円を貸し付けたと主張し、事件への関与を否定したが、なんら潔白の証明にはなっていない。
特捜部は疑惑解明に向けて、小沢氏本人にとどまらず関係者から事情を聴取すべきだ。これからが正念場である。小沢氏も国会での参考人招致に応じ、自ら疑惑解明の努力を行うことが政治家としての責務である。
今回の聴取は、東京都内の市民団体が提出した小沢氏に対する規正法違反罪(虚偽記載)の告発状を特捜部が受理したことから、黙秘権を告げた上で行う「被告発人聴取」だった。
≪「実務はすべて秘書」≫
問題の平成16年の土地購入では、購入直後に4億円の銀行融資が行われた。規正法違反(虚偽記載)で逮捕された石川知裕衆院議員は、原資を隠す偽装工作だったことを認めているようだ。
特捜部は、小沢氏が銀行融資の書類に署名したことが事件への関与を示すものととらえている。小沢氏は会見時の説明資料で、以前に陸山会が不動産を購入した際にも、個人での借入の形をとるため、担当秘書から求められて書類に署名したと主張した。
銀行口座への入金、土地代金の支払いなどは「すべて担当秘書が行い、具体的な処理は分からない」と述べた。16年の土地購入の所有権移転日を17年とした点も関知していないとした。
実務はすべて秘書の判断で行われ、複雑な資金操作などにかかわっていないことを強調したものだが、手持ち資金があって必要のない融資を受けるなど強い疑念が残っている。
特捜部は購入原資がゼネコンからの裏献金だったとの疑いを強めているが、小沢氏はゼネコンからの裏献金は一切ないと否定した。だが、岩手県の胆沢ダム建設をめぐり、重機土木大手「水谷建設」の元幹部が資金提供について具体的な証言をしている。
西松建設の違法献金事件の公判では、小沢氏の公設第1秘書、大久保隆規被告が小沢氏の影響力を背景に、公共工事をめぐり「天の声」を発するなど政治と業界の癒着の実態が指摘された。
≪裏献金を完全否定≫
国民の税金で行われている公共工事を受注しようとゼネコンが裏献金を行えば、工事費などに上乗せされ、結果的に国民につけが回る。政治家の加担は国民への背信行為であり、それを断つためにも事件は解明されねばならない。
検察当局は過去、数々の政治家の資金問題に切り込んできた。自民党時代に小沢氏が師事した田中角栄元首相はロッキード事件で逮捕され、金丸信元副総裁の巨額脱税事件では検察と国税当局が協力して不正蓄財を摘発した。旧田中派の流れをくみながら「不正な資金はない」と言い切る小沢氏に対し、特捜部は土地購入疑惑を契機に政治とカネをめぐる違法行為にメスを入れたのだ。
首相が検察捜査に介入するような発言を繰り返し、政権内でも情報漏洩(ろうえい)の可能性を強調して検察やマスコミを牽制(けんせい)する動きが続いている。こうしたことは厳正中立な捜査を妨害し、疑惑解明を遠のかせている。
小沢氏に幹事長を続投させた鳩山由紀夫首相は「潔白だと言っていたから信じたい」と述べた。国民の信を失っている状況にどう対処するかが問われる。小沢氏は今後も捜査に協力する姿勢を示したが、国会や国民へのさらなる説明責任を果たしてほしい。
昭和60年に衆参両院でつくられた「政治倫理綱領」は、国会議員が「疑惑をもたれた場合にはみずから真摯(しんし)な態度をもって疑惑を解明」することや政治不信を招く公私混交を断つことを定めている。衆院議院運営委員長として制定した小沢氏は、綱領の目的である「国会の権威と名誉」を率先して守るべきだろう。