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日本の財政構造の特殊性について(経済コラムマガジン)-日本のマスコミは大衆を騙すためにあるのか?
http://www.asyura2.com/10/senkyo78/msg/534.html
投稿者 JAXVN 日時 2010 年 1 月 24 日 15:15:02: fSuEJ1ZfVg3Og
 

「経済コラムマガジン10/1/25(600号)

・日本の財政構造

・純債務残高の名目GDP比率
人々は日本の財政が危機と簡単に決めつけている。専門家と呼ばれる人々も同じ発言を繰返している。しかし筆者に言わせれば、この根拠が極めて薄弱である。これまで根拠にされているのは主に以下の二つである。

一つは単純に政府の債務残高が大きいということである。もう一つはちょっと科学的で、名目GDPに比べ日本政府の債務残高が大きいということである。最近ではこの比率が188%(07年IMF算出)にも達しているとマスコミは警告している。先進各国の比率が100%前後なのに対して、日本の比率が突出して大きいことを問題にしているのである。

しかし本誌は、ずっと04/12/13(第371号)「第一回財政研交流会」http://www.adpweb.com/eco/eco371.html などで指摘してきたように、国の債務を問題にするなら単純な債務残高の合計ではなく、純債務残高を用いることを主張してきた。純債務残高は総債務残高から政府が持っている金融資産などを差引いたものである。特にOECDの基準では、純債務残高を金融資産に加え社会保障の基金も差引いて算出している。GDP比率もこの純債務残高で算出すべきであり、国際比較にもこれを用いるべきである。

これは当然の話である。借金があっても、一方に預金などの金融資産があれば、本当の財政状態を見るには借金から金融資産を差引くのが当たり前のことである。ところが日本における財政論議は、ほとんどの場合、純債務残高ではなく総債務残高で行われてきた。なぜか日本のマスコミなどは常に大衆を騙そうとしているみたいである。

筆者が純債務残高にこだわる理由は、先進国の中で日本の金融資産と社会保障の基金(以下、両者の合計を金融資産等と表現する)が突出して大きいからである。この膨大な金融資産等を総債務残高から差引いて債務残高のGDP比率を算出すれば、数値は先進各国にぐっと近付く。しかし財政再建狂信者と、人々を脅かすことを商売の種にしているマスコミはこれまでなかなかこの数字を使おうとしなかった。

ここまでの話を具体的な数字で示す。日本政府の総債務残高には864兆円(09年11月財務省公表)という数字が今日よく使われている。一方、日本政府の持っている代表的な金融資産は外貨準備である。09年12月末の外貨準備高は、10,494億ドルであるから1ドル91円で計算すると95兆円になる。

社会保障の基金の代表は、公的年金の積立金である。08年3月末の公的年金の積立金は188兆円である(よく120兆円という数字が使われるがこれは厚生年金だけ)。したがって総債務残高864兆円から両者(金融資産等)の合計を差引くと585兆円になる。これを08年度の名目GDP493兆円で割返すと119%となり他の先進各国にかなり近付く。

しかし119%という数字は外貨準備と公的年金の積立金だけを差引いて算出したものである。他にも政府の金融資産や社会保障の基金があり、これらも差引いて純債務残高は算出される。ちなみに日経新聞の1月22日付の記事では、日本の純債務残高の名目GDP比率を104.6%としている。

この記事によれば、他の先進各国の純債務残高の名目GDP比率は65%程度(米・英・独・仏)である。ただイタリアが少し悪くほぼ日本と同程度である。しかしその程度なのにどうして日本だけが政府の債務残高を過去30年の間、大問題にされてきたのか不思議なくらいである。なにか新型インフルエンザでカラ騒ぎをしている国が、日本だけという話に通じている。

・オオカミ少年の言葉
問題にすべき日本の債務残高の名目GDP比率が、188%ではなく104.6%であることを前段で説明した。しかし日本の財政状況をさらに正確に見るにはこれだけでは十分ではない。それほど日本の財務構造が特殊なのである。

それは中央銀行である日銀が日本国債を大量に保有しているからである。本誌で何回も説明したように、日銀が保有する日本国債の69兆円(09年12月30日付日経新聞)は実質的に国の借金にならない。ちなみに中央銀行が自国の国債を大量に保有しているのは日本と米国くらいである(発行額の15〜16%)。ドイツとフランスはほとんどゼロであり、英国が5.5%(英国は昨年、中央銀行による国債の買取りを久々に再開したためこの数字は少し大きくなっていると思われる)程度である。

日銀が日本国債を買えば、日本政府が日銀に国債の利息を払うことになる。しかし日銀の収益は最終的に国庫、つまり国に納付される。要するに国が日銀に支払った利息は国に戻ってくるのである(準備金を除いて)。

連結決算で見れば、国が親会社とすれば日銀は子会社である。日銀の保有する国債は、親会社(国)の子会社(日銀)に対する債務であり、子会社(日銀)から見れば親会社(国)に対する債権になる。両者の決算を連結する場合、両者の債権・債務は相殺される。また日銀が持っている準備金も国のものである(まさに認可法人である日銀が持っている埋蔵金である)。

つまり日銀が保有する国債は、実質的に国の債務にならない。日銀の国債保有額69兆円を名目GDPの493兆円で割り返すと14.0%になる。つまり日銀の保有する国債を除いた、実質的な純債務残高の名目GDP比率は90.6%(104.6%−14.0%)となり欧米諸国と遜色ないものになる。

たしかに日本には巨額の金融資産や社会保障の基金があり、さらに日銀が大量に国債を購入していると言った特殊な事情があり、財政の状況が分かりにくいのは事実である。しかしこのように段取りを追って説明すれば、少なくとも最近までは日本の財政は問題はなかったことをご理解できるであろう。また金利が世界一低い水準で推移していることを見れば、日本の財政だけが問題にされるのはおかしな話である。

筆者は、当初は色々な思惑があって(消費税の導入など)、財政当局が日本のマスコミを唆し(そそのかし)、日本の財政が悪いことを喧伝させたと見ている。これをきっかけにとにかく大衆を脅かすことで注目を浴びたい日本のマスコミは、何も考えず30年近く間違った情報を流し続けて今日に到ったのである。

ところが日本のマスコミは暴走を始めており、今さら日本の財政に問題はなかったのだとは言えなくなっている。マスコミを利用して軍国主義を煽った軍部が、マスコミに煽動された国民を抑えきれなくなり、戦争に突入せざるを得なくなった日本の戦前の状況と似て来た。このようにマスコミを利用することはリスクも高いのである。この結果、長年に渡る間違った情報(日本の財政が悪い)に基づく誤った経済政策のため、むしろ日本経済本体の方がガタガタになった。

筆者は、日本の名目GDPが伸びないというより減少していることを危惧する。雇用者所得だけでなく税収も大きく減少するステージに入ったのである。これでは財政を用いた経済政策がますます難しくなる。

「日本の財政が危機」というオオカミ少年の言葉が繰返され、これが本当の日本経済の危機を招き、さらにこのことによって本物の財政危機を招く可能性が出てきたのである。しかしこのような困難な状況を打破する処方箋は残っていると筆者は考える。それには今週述べた日本の財政の特殊な構造を理解することが必要であろう。

来週は、今週取上げた日本の財政構造を踏まえ日本の財政が危機という話がいかにいい加減であったかを説明する。 」
 

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コメント
 
01. JAXVN 2010年1月24日 16:13:35: fSuEJ1ZfVg3Og
URLを忘れました。申し訳ありませんでした。
http://www.adpweb.com/eco/eco600.html

02. 2010年1月24日 17:15:07
地検特捜部も自民党も米国も、日本国民を「絞れば永遠にカネが滴り落ちる魔法の金庫」と勘違いしているようだ。
事実は違う。
我々はこれ以上、我慢できない。

03. 2010年1月24日 17:18:11
まったくその通り!

04. 2010年1月24日 20:17:13
「政府の持っている資産は俺たちの物なのさ」by官僚

政治資金収支報告書の間違い(程度の犯罪)を立証するための捜査にいったいいくらの税金が投入されたのだろう?


05. 2010年1月24日 21:43:09
古くはハリウッド映画が世論誘導のために作られたように(昔の西部劇は「正義の味方」カウボウイ(欧州からの移民)が「悪者」インディアン(アメリカ原住民)をやっつける インディアンが悪者であるという印象を作るというプロパガンダのためにあったと私は思っている)今の日本のテレビも陰の権力者(マスゴミ・検察 および そのバック)による世論誘導の道具と化してしまっている。

一般の人たちが皆マスゴミに騙されないような叡智を持つことを期待する。


06. 2010年1月25日 14:43:14
税金の無駄使いについて提案したい。役に立たないもの、箱だけ作っても生かせないもの、役人の高すぎる給料、天下り等々あるが、最も無駄は、不急の所に金を
回し貯めこむことだ。税金を集める目的は、役人の給料と箱物を作るためだけに
集めるのではない。我が国経済の血液として税を集め、それを、いろいろな事業を通じて、国民に還元させ、国家が活性化し、社会インフラになったり、安全、安心の社会作りに役立てなければならない。税金は、停滞させてはいけない。
独法や特殊法人で国債を購入したり、使途のない土地を購入することは、税を有効に使えてない悪い例で犯罪的行為だ。企業で多くの社内留保金があると聞くがとんでもない話だ。税は、余剰分を、国民から集めて、それを還元させることにより、国が栄えるという先人の叡智だ。うまく循環させないで停滞すれば国の力はなくなる。
自公政治は、税の停滞があるだけでなく、社会の不安を取り除かなったため、国民の貯蓄性向も高めてしまった。兎に角、金の回転をよくしないと国は栄えない。
貯金通帳やバランスシートだけ眺めていても国民は、幸せにならない。

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