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阿修羅掲示板を久々に覗けば小沢擁護論が多いですな・・・
1月17日に【Ddogのプログレッシブな日々】で書いた記事で少々旧聞だが、小沢問題の本質は、儒教的倫理観と西欧的価値観によって成立したデモクラシーのギャップである点について書いた。そして日本をめぐる各国の思惑が交差するインテリジェンス活動の影を、この小沢問題に感じることを指摘したい。
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私は、政治家なんぞは禽獣のごとき存在で、悪魔か怪獣であり、政治家に聖人君主のような倫理を求めることは無知蒙昧な民のすることだと思っています。そして今件は、日本の政治を舞台に中国インテリジェンスVs米国インテリジェンスの代理戦争で、世論をどう操作し合うか知恵を絞る戦いだと感じています。
まず私の立場を明らかにしておきます。小沢一郎が自民党離党後、日本に二大政党制を作るという小沢の理想、国会の定数削減などについて共感し、私は支持し、小沢の党へ投票し続けてきました。
昨年の衆議院選挙には熟考したうえで民主党に投票をしませんでした。権力奪取後の小沢一郎の中国や半島国への媚び諂う態度については、とても支持できるものではなく、日米同盟を危機な状況にしてしまった事に対して、私は国益を損じる行為と考えています。故に、今回石川議員の逮捕され世論に迎合して小沢不支持に回ったのではありません。
マスコミや世論は、近代デモクラシーの論理(=政治家は禽獣と同じ)と、儒教的論理(=政治家は聖人君主)とを、混同しているし、その区別がつかない。
近代デモクラシーの論理が中国や半島日本のような儒教圏で定着できない理由は、儒教的倫理観を政治家や中国であれば共産党員に求めてしまうからであろう。
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子日、苟正其身矣、於從政乎、何有、不能正其身、如正人何(論語:子路第十三〜十三)
子日わく、苟(いやし)くも其の身を正しくせば、政に従うに於いてか何か有らん。其の身を正しくすること能(あた)わざれば、人を正しくすることを如何(いかん)せん。
わが身を正しく律することができるならば、国の政治を行うことなど、わけなくできるさ。わが身を正せないような者には、他人の教化などできっこないやね。
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以上論語の一節ではあるが、また孟子の一節に「人の禽獣と異なるゆえんのものは、人倫(道徳)あるにあり」とある。
「人と禽獣の異なるところは恥を知ることにある」とはまさに典型的な儒教的発想である。
しかし、このようには、絶対に考えないのが近代デモクラシーなのである。人間は本来エゴイスティックな生き物であるという西欧的考え方こそこれがデモクラシーの基本考え方出発点である。
君主論の中でマキャベリは、
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政治思想は徹底したリアリズムと目的合埋主義の立場に立ち,政治学を神学や倫理学から解放し,政治学の自立化と世俗化をはかった。アリストテレスに典型的に見られるように,それまでの政治学は,倫理的な徳についての考察や「如何にして善く生きるか」という問題,あるいは「理想的な政体はどのようなものか」といった問題の考察と不可分だったが,マキャヴェリは、『君主論』において、政治的な判断や行為を宗教や道徳の世界から切断し,現実主義的態度を表明した。「人間というものは恩知らずで、移り気で、陰険で、危険にあうと逃げ出し、そのくせ転んでもただは起きない。利益を与えれぱ味方するが、いざ犠牲を捧げる段になると、たちまち尻をまくって逃出すものだ」と言った。
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また近代政治学の基礎を築いたがホツプスは、
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人間は自分が望むことをすることができる自然の権利を有しており、その原初的な欲求は「自己保存」であり、その目的を達成するための必要なすべての手段をこうじることができると考えました。
しかし、その自己保存の手段を個々人が自己中心的に行うと、それは、必然的に他者の権利を侵害することとなり、自己の権利獲得のための戦争と略奪の混乱が生じてしまう。人間は根元的には凶暴な動物である、とホップスは指摘します。
この混乱と破滅を裂けるために、互いに契約をして、ある程度、自分の自然的権利を放棄し、その契約を確実にするために、ひとりの支配者あるいは属している集団に権利を委譲する必要がある。
こうして社会が形成され、国家が形成され、個人の自己保存が図られるのだから、人は、権利を委譲した支配者に従わなければならない、と主張したのです。
そして、たとえ支配者が不正を行い、最悪の者であっても、支配者に権力が与えられる前の身勝手な戦争や略奪の状態に比べれば、それほど悪くはないと言います。
従って、彼にとっては、絶対王政は最善の政治形態でした。彼は唯物主義者でしたが、国王は地上における神の代理人であり、神は王を通してその意志を表明するのであり、国王の宗教が国民の宗教でなければならないし、宗教的自由の寛容は認められない、と語ります。
これは、国王のプロテスタントへの改宗によって生まれたイギリス国教会(聖公会)の姿勢ともなりましたが、絶対主義的な国家統一の観点の代表とも言えるように思われます。
ホップスは、人間の自然の権利としての生存権を認めましたが、その人間観が根本的に「性悪説」でしたので、何らかの強制的な制圧が必要だと考えたのです。
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ホップスが『人間は人間に対して狼である』といい、人間は本来エゴイスティツクなものだから、権力者を監視しなくてはならない。そこにデモクラシーの出発点があるのだ。
政治家とは、「無制限の悪と暴力とを行なうことが正しいとされる」動物なのである。少なくとも、かくのごとき強い求心力を内包している。このこと自体は、古今東西をっうじて変わらない。ただ、デモクラシーの特徴は、このことを明確に認識し、このことを前提としてすべての制度が組み立てられていることである。
政治家とは、もともと悪と暴力が正しいとされる動物である。小沢一郎も、この権力を得る為に自民党を飛び出し、権力を得るために一種の求道者に化けた。権力を獲得するためなら、政治家は、どんなことでもする。しかもそれが正当化され、当人も信念をもってこれを断行する。私はこの権力を得るために求道者であった小沢を支持した。しかし、権力を得た小沢は怪物へと躊躇無く変身した。いや本性を現したといえよう。
前近代社会においては、王(将軍)の大権は存在したが、例えば寺社領地や堺など自治領や大名など特権が存在し、絶対権力を握る事はできなかった。江戸幕府も絶対王政に近かったものの、薩摩などの大大名領は特権へは大権が及ばなかった。ところが近代国家はデモクラシー絶対主義国家である。デモクラシーにおいては、全員が平等であるので、権力者は、権力を妨げる特権は存在しなくなってしまった。
権力者という怪物を監視するために、まず考え出されたのが、モンテスキューいらいの三権分立の思想である。分断して統治する、この恐ろしい「近代権力」をまず三分する。そしてお互いに牽制させる。
誰でも気づくところであるが、権力は恐ろしい怪獣だから、これを引き裂いてしまわないことには何をしでかすか分かったものではない。どんな代償を支払っても、三権は分立させなけれぱならない。
そして三権は、チェックス・アンド・バランシズのメカニズムでお互いに牽制しあうだけでなく、そのそれぞれを市民が監視する。
ところが日本においては、議会は市民が選挙するが行政に関しては、地方の首長は選挙できるが、国家の行政府は市民のチェックが及ばない。そこで大切なのがジャーナリズムによる監視である。
デモクラシー国家におけるジャーナリズムの役目は、天下の木鐸などという生易しいしいものではなく、天下の護民官でなけれぱならない。権力の作動を市民の名において拒否する力をジャーナリズムが失ったら最後、デモクラシーの息の根が止まる。
ところが「権力の監視」しているはずの日本のジャーナリズムが、デモクラシーを理解しておらず政治家に儒教的倫理観を求めてしまう。それが故に、日本の政治が逆に機能しなくなってしまっているのも事実だ。バブル崩壊以降、日本は国家権力と国民が総力を挙げて国家を再建すべき時に、政治の些細な贈収賄をめぐり空転し、前政権にいたっては漢字の読み書きまで問題にして国家の大局を歪めさせてきた。
また、今回の問題は検察=米インテリジェンスVs民主党=中国インテリジェンスの構図で見るべきだと思う。
第二次世界大戦敗戦後、大手マスコミはGHQの検閲下の構造より脱却しておらず、依然米国の言論統制下にある。また、ネットジャーナリズムにおける小市民達の反応は、まちまちというか混乱しているようにも見える。反小沢的意見・親小沢的意見ともに米中のインテリジェンス活動の影が見える。
大きく大別すると反小沢=嫌中派、親小沢=反米派の傾向にあり、石原都知事のように反中反米路線のブロガーにとっては立ち位置が難しい。私もようやく反小沢側に立ち位置を置く決意をした。
だが、誤解しないで欲しい、たかだか4億円程度の金(小生にとっては1万円は大金である)で国家の体系を揺るがす騒ぎは喜劇でありどうでもいいことだ。日本の立ち位置を太平洋寄りとするか、東シナ海寄りに置くかが重要なのだ。私は、あくまでも東シナ海寄り(親中路線)に反対である。ゆえに小沢を応援することを止めたのである。
また、たかが4億円だろうと、個人資金でコツコツ積み立てたとの小沢氏の金銭感覚には違和感を感じる。小沢氏は実業家出身ではないのだから、個人資金が潤沢に積み立てられること自体異常だという感覚が無いらしい。仮に3億円が相続した資金であったとしても、そんな金は1.2回の選挙で消えてなくなるものである。秘書の給料や事務所経費を払って蓄財できた事自体不自然だと思っていないのであろうか?
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【Ddogのプログレッシブな日々】
http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/31015873.html
5000字の制限があり、書き足せなかったので若干補足する。
鳩山首相はじめ他の民主党員の発言、そしてこの掲示板で散見される小沢擁護論の多くはデモクラシーにとって危険思想以外の何者でもない。
近代国家においては、政治家が権力を握った瞬間にどんなに理想がたかくとも怪獣へと変化するものである。
三権分立は、デモクラシーそして市民をを怪獣から守る知恵なのである。その三権分立についての意識も無く安易に東京地検を批判するのはデモクラシーへの冒涜である。
また、日本における戦後のインテリジェンス活動について下記本は詳しい。参考に引用しておく。
「戦後秘史インテリジェンス」佐藤優・黒井文太郎著(だいわ文庫)762+税円
P176〜189 CIAは日本で何をやっているのか
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在日CIA要員は一時六〇人ほどに激減
冷戦が終わり、今では中国や北朝鮮関連の情報工作に主軸を移したCIA(中央情報局)東京支局。その知られざる実像を、ClAの活動に詳しい元共同通信特別編集委員春名幹男・名古屋大学大学院教授が解説する。
---在日CIA支局の規模や役割とはどんなもの意のですか?
「まずは冷戦時代を振り返ると、CIA東京支局は世界各地のCIA支局のなかでもドイツのボン、メキシコシティと並んで最大規模の陣容になっていました。ケースオフィサー(工作管理官)といわれるキャリア局員は最盛期で二〇〇人くらい、その後も八○年代初め頃までは一〇〇人以上がいたようです。
というのも、日本は米軍の主要拠点の一つでしたから、ソ連の情報機関であるKGB(国家保安委員会)やGRU(軍参謀本部情報総局)などの活動を監視する必要があったのですね。それに、日本からはアジアの他の国へのアクセスも容易だったから、アジア地域でのCIAのセンターとしても便利な位置にありました。
また、日本国内には北朝鮮の出先機関ともいうべき朝鮮総連(在日本朝鮮人総連合会)
という組織があり、そこから漏れ出てくる情報は非常に価値の高いものでしたし、あるいは当時はあまりアメリカ企業が入っていけなかった中国にも日本の商社やメーカーは深く入り込んでいたから、そうした企業からの情報も貴重なものでした」
-日本そのものを情報工作の対象とするより、日本を拠点としてソ連や中国、北朝鮮と
いった共産圏の情報をとるということですね?
「もちろん日本の政治に関する情報収集や分析もやっていましたよ。政治家や官僚などをエージェントにリクルートしたりしていましたしね。けれども共産圏、とくにソ連との情報戦というのが冷戦時代のCIA全体の最大任務であり、東京はまさにその最前線の一つだったわけです。」
-冷戦終結でどう変わりましたか?
「まず人数が減りました。九〇年代に六〇人程度にまで減ったようです」
-徐々に減っていったということですか?
「クリントン政権の時代に急激に削減されました。というのも、アメリカでは冷戦が終わって”平和の配当”というようなことが言われましたよね。それで国防予算がかなり削減され、米軍の大幅なリストラが進められました。するとアメリカの場合、情報活動の予算は基本的に国防予算の一〇%ということになっているので、当然ながら情報予算も大幅に削減されることになったのです。全体の予算が削減されれば、活動費も削減されるし、人も減らさざるを得ないということになりますよね。東京支局も例外ではなかったわけです。
もっとも、2001年の9・11テロ後はまたCIAの活動が強化されていますから、それにともない在日の要員も少しは増強されているようです。北朝鮮の核間題もますます深刻化してきていますから、東京支局でもそれに対応した要員増強が図られている可能性が高いでしょう。」
軍人に偽装した在日CIA要員
-CIA東京支局というのはアメリカ大使館内にあるわけですよね。大使館以外には在日ClA要員はどこにいるのですか?
「大阪の総領事館にもいますし、横田、横須賀、沖縄などの米軍基地にも多く配置されています」
-外交官だけでなく、軍人に偽装しているということですね?
「実際のところ、外交官に偽装しているのは、支局長である大使館の参事官を含めて数人だけです。その他のほとんどの要員は、軍人に偽装しています。
仮に在日CIA要員が全部で六〇人とすると、おそらくそのうちの五〇人くらいは軍人カバーだと思いますね。活動拠点として米軍基地内はもっとも安全ですし、国外への出入りも簡単ですしね。軍人カバーではとくに、空軍の軍人に偽装しているケースが多いと思われます」
-アメリカの大企業や団体、研究所の東京事務所などに偽装の身分を得て活動するNOCと通称される非公式の民問偽装要員もいるのではないですか?
「数は多くないですよ。冷戦時代に十数人、冷戦終結後は五・六人に減ったといわれています。最近になって少し増えたという話も聞いたことはありますが、それでもおそらくは七人とか八人とかがせいぜいでしょうね。いずれにせよ少人数です。在日CIA要員は圧倒的に軍人カバーが多いことに変わりはありません」
-無意識の協力者も含めて、エージェントはどうなのでしょう?結構まだ何百人もいるのでしょうか?
「それはいるでしょう。仮にケースオフィサーが六〇人か七〇人くらいだとしても、各人がそれぞれ五人か六人の工-ジェントを持っていれば、それだけでも単純計算なら三〇〇人とか四〇〇人とかになりますからね。まあ、そのうちどれだけほんとうに情報をもたらすエージェントがいるのかどうかは疑問が残るところですが-…」
-どういうことですか?
「名前だけの工ージェントも結構いるのじゃないかと思うんです。つまり、ケースオフィサーが『自分は仕事をちゃんとやっているんだぞ』ということをアピールするために、名前だけ登録しておくというようなことですね」
--お役人的発想ですね。
「実態はわかりませんが・そういうこともありえると思いますよ。CIAといつても官僚機構ですから」
大使と支局長の微妙な関係
-ところで、在日CIA要員統括者は東京支局長ということになるわけですね?
「そうです。東京支局長の地位はCIA内でもかなり高いものです。元局員から聞いたところでは、東アジア部門のトップあるいはナンバー2ぐらいと同格ではないかとのことで
した」
-在日CIA要員のなかで、東京支局長だけが身分を公表していると聞いたことがありますが……。
「公式には外交官カバーです。先ほども触れましたが、大使館の参事官ですね。ただ、この人物だけは日本側との接触も多いから、半ば公然の秘密といった感じになっています。その他の要員は基本的には秘密になっていますね」
-支局長は大使館の指揮系統とは別個の存在として、独自に活動しているのですか?
「タテマエとしては、大使に報告することになっています。けれども、実際にはそうではないと思いますね。日本でもそうなんですよ。財務省や経済産業省から在外公館に公使を出したりしていますが、彼らはすべてを大使に報告したりはしていません。自宅のファックスで本省に報告したりするのですね。これはアメリカでも同じで、まあ支局長の意向次第ですが、いちいち大使に報告しないで勝手にやっていることは少なくないと思います」
-問題にならないのですか?
「それも支局長と大使の関係次第のところがあります。たとえば、七七年から八八年に駐日大使を務めたマイク・マンスフィールドは上院議員の頃からCIAの活動に批判的で、
大使在任中にCIAの活動を自分の指揮下に管理しようとして内部で深刻な摩擦を引き起
こしたといわれています」
-東京支局長の地位は、アメリカ大使館のヒエラルキーでいえばどのあたりになるのですか?
「大使館のトップはもちろん大使ですね。駐日大使というのは米政界でもかなりの名誉職で、大物の政治家が任命されるケースがほとんどでした。前述したマンスフィールドは元民主党上院院内総務でしたし、ウォルター・モンデールは元副大統領、トーマス・フォーリーは元下院議長、ハワード・べーカーは元共和党上院院内総務と、そうそうたる顔ぶれです。
大使館員は約三〇〇人で、各省から派遣されていますが、その中心はなんといっても国務省で、ナンバー2の総括公使は国務省の日本部長クラス以上の人物が任命されます。CIA東京支局長は、ランクでいえばこの総括公使と同じくらいといわれています」
CIA東京支局のしくみ
-CIA東京支局の任務ですが、冷戦終結後はどうなったのでしょう?もうロシア情報部員の監視などはやめてしまったわけですか?
「そうではありません。KGBは解体されて対外情報部門がSVRという組織になりましたが、CIA東京支局のカウンター・インテリジェンス(防諜)の担当者はその監視業務
を続けているはずです。
もっとも、かつてのKGBに比べてSVRの活動はかなり縮小されていますから、以前ほど緊迫したものではないことは明らかです。それよりむしろ、九〇年代の前半には、KGBを辞める人がたくさんいましたから、CIA東京支局でもそういう人物をリクルートする工作をずいぶんやったようです。
それと、九〇年代以降はやはりなんといっても中国と北朝鮮ですね。とくに九八年頃からは北朝鮮の弾道ミサイル開発に対する警戒感が非常に強まりましたから、CIAの東アジア部門は北朝鮮の情報収集に非常に力を入れるようになっています。冷戦終結で仕事がなくなったということではなくて、新しい任務にシフトしたということですね」
-対北朝鮮の情報活動となれば、たとえばソウル支局や北京支局などとの協力も必要になってくるかもしれませんが、こうした近隣国の支局というのは、CIA本部の内部機構でいうと、東アジア・セクションということでセットになっているのですか?
「いちおう別になっていますね。国務省も別になっています。通商代表部はジャパン…チャイナということでくくられています。官庁によって違うのですね」
-各支局が現場レベルで協力し合うこともあるのでしょうか?
「それはあるでしょうが、基本的にはそれぞれが自分の領域で北朝鮮の情報をしっかり収集するということだと思います。それらが本部の分析部門に集められて統合的に分析されるということですね」
--ケースオフィサーというのは、それぞれが本国の担当部局とつながっているのですか?それとも在日CIA要員はすべて支局長に統括されていて、情報は東京支局で一括してとりまとめているのでしょうか?
「原則としては、おそらく支局長が統括しているのでしょう。東京支局長は先ほども言ったように、CIAのなかでもかなり高い地位になりますからね。そこはやはり日本でのC
IAの責任者ということになります」
-東京支局の内部はどういう組織編成に意っていると思われますか?
「東京支局といっても、日本のあちこちに散っている少なくとも六〇人以上の正規の局員を抱えているわけです。それだけ大きい布陣ですから、作戦担当者だけでなく、分析官もいます。会計担当や総務担当などもいると思います。
ただですね、こと情報収集に関しては、その担当分野をきっちりと分けているとも限ら
ないのではないかと私は思っています。もちろん北朝鮮間題の専門家、あるいは技術的な大量破壊兵器問題の専門家、ミサイル問題の専門家といった人は必ずいるとは思いますが、そうかといって組織として北朝鮮担当班とか中国情報担当班などと完全に分けた編成になっているのかどうかはわかりません。
というのも、個々のケースオフィサーはそれぞれさまざまなチャンスを駆使して自分の
情報源を広く開拓するわけで、そこから北朝鮮情報も中国惰報もその他の日本の政治や経済に関する情報も、貧欲に収集していると思うのですね」
-なるほど。ケースオフィサーというのはそれぞれが半ば個人営業みたいなものだとすれば、そのほうがたしかに効率的かもしれません。その報告を受ける分析部門がテーマご
とに分かれていればいいということですね。
「しかし、たとえば”上”から課題が指示されたとしますよね。『次の六ヵ国協議までに北朝鮮の出方を探れ」とか「北朝鮮の核施設の情報を集めよ」とかですね。ホワイトハウスなり国務省なり国防総省なりのクライアントからインテリジェンスの要求が出されたということになるわけですが、そうするとCIAはそれに応えなければならない。そういうときには支局長が要員を采配して作戦を指示したり、支局でチームを編成して取り組んだりというケースも当然あると思います」
日本語のできない東京支局員たち
-ところで、先ほど9.11テロ以降、再ぴCIA東京支局の人数が増強されているようだとのお話がありましたが、それはつまり、本部の別の部署に異動になっていた人が、また呼び戻されたということなのでしょうか?
「そういうケースが多いと思います。もっとも、CIAはもともと異動が激しい組織なので、こうした異動はCIAではごく普通のことです」
-勤務地の変更もよくあることなのですね?
「CIAのケースオフィサーは、担当地域も頻繁に異動します。東アジアを担当していた人間が次に中南米担当に配属されるなどということも少なくありません。スペシャリストよりジエネラリストを育成する組織なんですね」
-しかし、それではほんとうの専門家は育たないということになりませんか?
「そこが問題なんです。たとえば、イラクの大量破壊兵器問題に際してC1Aは分析を誤ったと批判されていますが、じつは国務省の情報機関であるINR(情報調査局)では比較的正しい分析ができていました。なぜかというと、INRにはそれぞれの専門分野を長年にわたって担当してきたベテラン分析官がそろっていたからです。
分析というのは各人がかなり長い期問、専門的に携わってこそできるのですね。そうし
た体制になっていることが、現実に分析がうまくいった最大の理由だろうと、INRの局
長が自ら言っていました」
-日本に派遣されるCIAのケースオフィサーには、たとえば若い頃に日本に留学していたりして、日本語に堪能な、いわば"日本専門家〃が選ばれるということでもないのですか?
「そういう人もいますが、多くはそうではありません。CIA東京支局員の日本語能力はかなり落ちてきているのが現実です。日本語を学習し、日本を専門分野にする要員は、C
IAのなかではかなり減ったと思います。
それに比べると、中国語をやる人は増えていますね。結局、今の国際情勢では、日本はCIAにあまり重視されていないということなのです」
アメリカ留学中の若手キャリア官僚をリクルート
ーCIA東京支局がかつてのソ連から、今では北朝鮮や中国の情報収集・分析にシフトを移しているという話がありましたが、たとえば北朝鮮情報でいえば、従来は日本では朝鮮総連が非常に強い力を持っていて、北朝鮮中枢の情報がそこから入手できる可能性があ
りました。ところが、今では在日商工人の北朝鮮への影響力もかなり弱体化していて、政権中枢の情報がなかなか総連に入ってこなくなっているともいわれています。政治的にも経済的にも中国の影響力が圧倒的に強くなっていますから、中朝国境あたりのほうが情報収集拠点としては重要になっているようですし、核やミサイルなどに関しては、これはもう偵察衛星をはじめとする軍事的なインテリジェンスが主流になっていますね。
一方、中国に関しても、今ではアメリカ人もほぼ自由に入国できるようになっています
から、アメリカが直接、中国本土で情報活動をすることもかなり容易になってきているとみていいでしょう。こうしたことを考えると、北朝鮮や中国の情報といっても、日本べースでできることはもうそんなにないのではないでしょうか?
「相対的にいえばそういう傾向はありますが、まだそれなりにやつていますよ。朝鮮総連ルートに対するオペレーションもまだやっていますし、警察庁や公安調査庁など、日本のカウンターパートとの情報交換もやっています。
たとえば近年、軍事用無人偵察ヘリに使えるヤマハの小型ヘリコプターの中国への輸出が問題になりました。これはつまり、中国人民解放軍の兵器調達の組織が日本国内で動いていることを意味します。それなりに監視すべき対象はあるのですね」
-では、日本の政治・経済を対象とする情報収集・分析はどうでしょうか?
「いろいろありますが、日本の政治ということでは、まずは対中政策がどうなるかということでしょう。米中日の関係がどうなっていくかということは、それこそアメリカにとっても非常に重要です。もちろん国務省も全力でそれはフォローしているはずですが、CIAも独自に探っているはずですね。
また、たとえばBSE(牛海綿状脳症)の問題が発生したような場合にも、これもアメリカ政府の大きな関心事ですから、日本がどう動くのか……あるいはアメリカ側は日本に対してどういう対処をすべきなのか…:こうしたことをCIAも分析しているはずです」
秘密の情報工作とはちょっと違う印象ですね。むしろ農務省や国務省などの領域ではないのですか?
「たとえばBSE問題は農務省マターですが、農務省には日本側の動向を探る術がありません。国務省はもちろん調査するでしょうけれども、情報機関にもそれは求められます。それに、どこの国でも役所同士にはそれなりのしがらみがあります。アメリカの場合も国務省と農務省はいい関係とはいえないのです。農務省とすれば、必要な情報収集・分析を国務省に依頼するより、CIAのほうがずっと頼みやすいのですね。国務省はなんとい
うか、敷居が高いのです」
-日本の外務省に似ていますね。
「そのとおりです。日本でも外務省と農水省、あるいは外務省と経済産業省の関係はあまりよくないですからね」
-CIAの側も、農務省に頼まれれば『ここぞ自分たちの出番だ!』ということになるわけですか?
「そうです。たとえば、かつての日米貿易交渉の際にアメリカ側では通商代表部が担当だったわけですが、その情報収集に動いたのは主に国務省ではなくてCIAでした。通商代
表部なんて全部でもわずか二〇〇人くらいの組織ですから、自前では情報収集などできません。しかし、政府内で格上の国務省に頼むということもなかなかできないから、それでCIAに情報収集を依頼したのです。
そういう依頼があると、CIA自身もかなり張り切ります、たとえぱ八○年代の牛肉・オレンジ自由化交渉では日本の農水省内部の情報提供者から日本側の最終譲歩リストを事前に入手していましたし、九五年の日米自動車交渉では日本側交渉団の盗聴までしていました。電気通信交渉に関連して、NTTや当時の郵政省(現・総務省)、通産省(現・経産省)から内部情報を得たという話もあるようです」
-ずいぶん深いところに工ージェントを浸透させているんですね。
「CIAは日本政府職員に対するリクルートを以前からやっています。たとえば、日本の
若手キャリア官僚がアメリカのアイビーリーグの大学に公費留学することがよくありますが、そこでリクルートするという話を、私もCIA関係筋から聞いたことがあります」
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CIAを過大に評価するのも危険だが、日本国内で米国の国益の為に活動している事実も忘れてはならない。
もちろん中国公安当局が日本国内でインテリジェンス活動を行い、民主党・自民党、大手マスコミ・(大手ではないが週刊現代などのマスゴミに至るまで・・・)大学・研究機関、それぞれに深く入り込んでいると考えるのが自然でしょう。
小沢一郎問題を論ずる時、その裏側に何があるかの考察はすべきである。