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ハトマンダー(危険な戯れ)
August 01, 2009
「ハトマンダー」という言葉がある。おそらくある年配以上の方はそういえばというくらいには記憶しているかも知れない。1956年に当時の鳩山内閣が変則的な小選挙区制を導入して、憲法改正に必要な3分の2の議席を獲得しようとして公職選挙法を変えようとしたものである。衆議院は強行採決で通過したが参議院で廃案になった。
「ハトマンダー」という言葉は、1812年アメリカ合衆国マサチューセッツ州の当時の知事エルブリッジ・ゲリーが自分に有利なように選挙区を変えようとしたところその形がサラマンダーに似ていたので、ゲリーとサラマンダーを合わせて「ゲリマンダー」と呼んだことに始まり、鳩山首相のこのやり方をそう揶揄したのである。
その後、田中角栄が小選挙区制を導入しようとした時には「カクマンダー」と呼ばれることになり実施されることはなかった。得票数とかけ離れた議席を獲得する選挙法を○○マンダーと呼ぶようになったのである。小選挙区制は死票が多く、わずか1票の差でもその積み重ねで圧倒的多数の議席を獲得出来き、区割りを工夫することで自分に有利にすることに極めて有効な制度である。
先の都議選は中選挙区制で行われたので獲得票数ほどには与野党の議席に大きな変化が現れなかったが、もしこれが区市郡を単位に小選挙区制で行われたと仮定すると自民党はわずか2区(2議席)でのみでしか議席を獲得出来ないことになる。残りはみな民主党・民主党系である。民主党は都議選で40%の得票だから、それで95%以上の議席を獲得し、自民党は25%も得票しながら、議席は5%以下ということになる。残り25%の意志の反映である他の党はもちろん議席0である。
その結果、40%の得票を得た政党が100%の決定権を持ち、60%の意志は全く顧みられなくなってしまう。
これが小選挙区制の怖さである。現在の自民党と民主党は根っこのところで共通するところが多いので(これは福田首相と小沢代表の間で「大連立」が画策されたことで明らかである)大きく観ればたった一つの政党が支配し続けることになると言っていい。
国政選挙でこのような小選挙区制の問題をかろうじて補い、多くの国民の考えを反映させる命綱となっているのが、「比例代表制」である。比例代表制は大選挙区制でもあるわけだから、プラスマイナスで「中選挙区制」の良さを保っていると言ってもよい。
ところが自民党や民主党はそのマニフェストで議員数の削減という「錦の御旗」の名の下に「比例区議員」の大幅削減を図ろうとしていることが見えてきた。ニュース等ではこの問題にほとんど触れないが、これは日本の民主主義の根幹に関わる大問題である。
もし選挙制度を改悪し自党の議席確保に奔走するとするならばそれは「マゴマンダー」である。
http://tuberose.cocolog-nifty.com/tawamure/2009/08/post-695c.html