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【記事転載元海鳴りの島から〜沖縄・ヤンバルより…目取真俊:http://blog.goo.ne.jp/awamori777/e/f51ce1f7178ec9bb27233db96f2a121b】
今日17日、名護市長選挙が告示された。新人で前教育長の稲嶺進氏(64)=無所属、社民、共産、民主、社大、そうぞう、国民新推薦と、現職の島袋吉和氏(63)=無所属、自民、公明支持の二人が立候補し、一騎打ちとなった。名護市の2010年1月16日現在の選挙人名簿登録者数は4万5521人。24日に投票、即日開票が行われる。
朝8時半から行われた稲嶺進氏の出発式に参加してきた。沖縄島北部の一地方自治体の首長選挙に、全国のメディアが取材に押しかける。市民投票以後4回の市長選挙でくり返されてきた光景だ。
19日には日米安保条約改定50年を迎えるのだが、日米安保体制の負担を沖縄に集中させてきた現実を、ヤマトゥの日本人はどれだけ直視しているか。沖縄に米軍基地を集中させることによって、日米安保が本来重い軍事的負担を伴うものであることを、岩国や厚木、横須賀、三沢などの地域を除く大多数の日本人は忘却してきた。そうして70年安保闘争を最後に、安保が大きな政治的争点となることを回避してきたのだ。名護に取材に来ているヤマトゥの大手メディアの記者たちは、そのことをどれだけ自覚し、考えているだろうか。
名護・沖縄で反対運動を取り組んでいる者にとっては、選挙の結果がどうあろうと、建設計画が白紙撤回されるまでは運動を続けるしかない。それでも辺野古・大浦湾に新しい基地を造らせない姿勢を明確にする市長が誕生することは大きな意味を持つ。出発式のあとは地域で法定ビラを配ってきた。一市民としてやれることは限られているが、できる限りのことはやって稲嶺氏を応援したいと思う。
今日で阪神・淡路大震災から15年になる。当時、コザ高校に勤めていて、職員室で授業から戻るごとに地震の被害が明らかになっていくのを聞いた。1995年という年は第2次世界大戦終結から50年の節目の年であり、3月には地下鉄サリン事件が起こり、9月には3名の米兵による少女暴行事件が起こった年でもあった。
普天間基地の「移設」問題を考えるときに、その発端に少女暴行事件があったことを忘れることはできない。事件が起こった北部の地に新基地ができたら、被害者の少女や家族はどのような気持ちになるか。そのことを想像し続けることを原点にして、自分なりに反基地運動に取り組んできた。
この15年の間、事件のことを忘れたふりして、基地問題を経済問題にすり替え、振興策を引き出すことあくせくしてきたウチナンチューの姿があった。事件の被害者や家族は、この15年の沖縄をどのような思いで見てきただろうか。今回の市長選挙では一人でも多くの名護市民に、15年前に何があったかを思い出して投票してほしい。
今日はまた、午後から名護市内で右翼グループが集会を開き、デモ行進を行っていた。ネット上では全国動員の呼びかけが昨年末から行われていたが、沖縄でヤマトゥンチューが日の丸を掲げて行進すれば、住民がどのような感情を抱くか想像する能力もないのだろう。現職の島袋陣営はさぞかし有り難迷惑だったはずだ。
デモの参加者は日の丸と星条旗の小旗を振って安保改定50年を祝っていた。沖縄の犠牲を省みず、アメリカの「属国」と化していることを恥じない日本の右翼・保守派の姿は見るに耐えない。