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面白いことになってきた。民主党が党を挙げて検察との「全面対決」に動き出した。
小沢幹事長の土地購入をめぐる一連の報道に対し、民主党は18日、「捜査情報漏えい問題対策チーム」を設置、検察リークとしか思えない報道の情報源について調査を開始する。
この件に関し、平野官房長官は19日午後の記者会見で「あまりにも一方的に情報が媒体に出てくることで、ある意味で不公平感を感じるところはある」と言った。彼にしては珍しく、まっとうな意見だ。
いま問題視されている「東京地検特捜部の検事による大マスコミへのリーク」。これが事実なら、国家公務員法の守秘義務違反は明らか。徹底的に調査すべきだ。だいたい、参考人で呼ばれた秘書やゼネコン幹部の供述が翌日には報道されるなんて、未開発国並みの捜査手法だ。
大マスコミは、例によって「報道への政治介入だ」とか騒いでいるが、民主党議員が黙っていれば「モノ言わぬ党内」だの「自浄能力がない」だの叩くくせに、よく言うよ、である。そもそも、リーク情報がなければ記事が書けない大マスコミに、「介入」ウンヌンを言う資格があるのか。
民主党の反撃はこれだけじゃない。事情聴取に応じていた石川衆院議員がいきなり逮捕されたことに対しても、民主党の2回生有志が集まり、「石川代議士の逮捕を考える会」を立ち上げた。18日の初会合では、元検事の郷原信郎弁護士を招いて逮捕の妥当性について議論。「不当逮捕だ」という声も上がった。
「石川議員の身を案じる同期会のようなもの」(参加者)というが、“釈放要求”の発議も選択肢のひとつだ。
●これでムードはガラリと変わる
メンバーのひとりで、参院法務委員会の民主党側筆頭理事でもある石関貴史衆院議員は、憤りを隠さず、こう語る。
「石川氏は国会議員。しかも国会の開会直前で、逃亡の恐れは全くなかった。容疑もハッキリしないし、本当に逮捕する必要があったのか疑問です。それに、石川氏の逮捕直後から、当事者しか知り得ない情報が、新聞紙面を飾っている。
検察当局は『リークはしていない』というが、じゃあ、誰が情報を漏らしているのか。漏洩元を突き止められないとすれば、捜査能力に問題があると言わざるを得ません。検察当局は、自分たちの組織すら取り締まれなくて、どうして適正な捜査ができるでしょうか」
また、民主党の松木謙公国対副委員長と樋高剛副幹事長は19日、石川議員の元秘書だった金沢敬氏に対し、法的措置を検討していることを明らかにした。自民党の勉強会に呼ばれた金沢氏がうれしそうにペラペラしゃべっていた内容は、虚偽が含まれていて、「名誉毀損だ」という認識だ。金沢氏は、地検のネタ元ともいわれている。
小沢幹事長と検察との「全面戦争」を党として支える態勢が整いつつあるのだ。
善良な国民の中には、検察は独立した機関で、悪いヤツに天誅を下す「正義の味方」と信じている人も多いだろう。残念ながら、それは幻想だ。脱官僚・政治主導を掲げる民主党を潰そうと、1年前から“変容”したのは間違いない。
言ってみれば、有権者が選んだ新政権を一行政組織が倒そうとするクーデターのようなもの。新政権がその監視とチェックに動き出すのは当然のことだ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
●先進国にはない検察のブッタマゲるような捜査方法
石川議員をパクった時、佐久間特捜部長は何と言ったか。
「裏か表かというと、裏の政治資金規正法違反になる」と言い、悪質性を強調したものだ。
ところが、裏の証拠が出てこない。水谷建設の元幹部は5000万円を2回、計1億円を小沢の秘書に渡したと供述、これは元請けの金だと言いたいらしいが、石川や大久保はもとより、元請けの大手ゼネコンも全面否定。で、今頃、水谷以外(宮本組や山崎建設など)の中堅ゼネコンにも捜査を広げて、裏献金の証拠探しを始めたわけだ。
ジャーナリストの須田慎一郎氏は呆れて、こう言う。
「土地購入の原資を解明できなければ、特捜部の負けです。3億円は小沢氏のタンス預金だったとして、残り1億円が分からない。5000万円は水谷建設が渡した1回目の分だとして、まだ5000万円が足りない。そこで、中堅ゼネコンにも捜査対象を広げたのでしょうが、今頃、こんな捜査をやっているなんて、信じられません。まさか、証拠もないまま、石川議員を引っ張り、小沢幹事長を聴取するつもりだったのでしょうか。ふつう、こうした捜査では政治家を追い詰める隠し玉を用意しているものです。しかし、今回はないのではないか。相当、焦っていると思いますね」
原資が分からないくせによくもまあ、「裏だ」「悪質だ」と決めつけたものだ。こんなオソマツで、そのくせ、横暴な司法当局は見たことがない。
証拠もないのに国会議員を逮捕し、洪水のようなリーク情報で世論誘導。小沢と秘書たちを極悪人に仕立てて、その間、慌てて証拠探しとはブッタマゲるような展開ではないか。どこぞの独裁国家じゃあるまいし、先進国では考えれない捜査手法だ。
●北朝鮮のような東京地検の閉鎖性と言論弾圧
しかし、これがわが国の検察の実態なのである。検察はいまだに記者会見にテレビカメラを入れない。取材は記者クラブ限定で、気に入らない記事を書いた記者は出入り禁止にしてしまう。このご時世に北朝鮮のような言論弾圧が、大手を振ってまかり通っている。
ニューヨーク・タイムズの東京支局長、マーティン・ファクラー氏は昨年の西松事件の際、東京地検に取材を申し込んだが拒否された。ファクラー氏は、こうした異常事態の犠牲者は「日本の民主主義と日本国民だ」と、雑誌SAPIO(サピオ)で語っていた。
こんな検察だから、捜査だって、ムチャクチャだ。証拠の裏づけなんて、朝飯前。密室の取調べで何が行なわれているか、分かったもんじゃない。
●密室の取調べではやりたい放題?
“経験者”である鈴木宗男衆院議員はこう言う。
「私を逮捕したときもそうでしたが、検察は最初から狙いを定めてやってくる。
今回も小沢・鳩山潰しですよ。石川議員は今月の13、14日と事情聴取されたんです。14日は午後2時から11時までですよ。体調を崩したので15日の聴取を勘弁してもらって16日の午後1時から再度聴取に応じることになった。そうしたら、15日にいきなり逮捕されたのです。
検察は13日に石川議員の事務所などを洗いざらいガサ入れしている。いまさら証拠隠滅や逃亡の恐れはないでしょう。それなのに逮捕したのは、締め上げて、検察の思うような調書を取りたいのでしょう。逮捕前の取調べの様子も聞きましたが、『こら石川、小沢はおまえを守らんぞ』と、こんな調子だったといいます。
行政官が国会議員を呼び捨てです。こんな調子でやられたら、民間人は持たない。何でも検察の言う通りにしゃべってしまう。だからこそ、取調べの可視化が必要なんです。検察はそれが嫌だから、小沢民主党を潰す。そういう構図なんですよ」
おそらく、この見立ては当たっている。だから、政治資金収支報告書の記載漏れという微罪が、大疑獄の様相を帯びてきたのだ。これは検察のシナリオなのである。
●膨大な検察リーク情報が国民を変えてしまう
どう見ても焦りが隠せない検察。ところが、そうした検察を批判するどころか、出入り禁止を恐れて地検のリーク情報をそのまま流す大マスコミ。さすがに民主党も情報漏洩についてチェックを始めたが、それでも検察はイケイケドンドンで暴走している。メディアも追随して、小沢叩きはエスカレートする一方だ。
(略)
ジャーナリストの上杉隆氏は「これは検察による洗脳だ」と言う。
「検察が権力のそのものであるのは、どこの国も同じ。権力者はやりたい放題やるものです。それをチェックするのがジャーナリズムなのに、こと検察に限っては、検事の言いなりだから、おかしくなる。このままメディアが検察情報を垂れ流し続ければ、国民は検察情報に洗脳されてしまいます」
検察が幅を利かせ、マインドコントロールする世の中なんて、考えただけでもゾッとするが、このままでは民主党政権は持たなくなる。官僚支配打破、国民主導の理想は挫折し、あろうことか十手を持った「お上」が政治を動かすことになる息苦しい国になる。
(日刊ゲンダイ 2010/01/20掲載)