39. 2010年1月20日 16:01:45 極東ブログより 長いぞ小沢氏の民主党大会での説明は嘘だったか 今朝の産経新聞一面を読んで、久々に、「まいったな、これは」と思った。 小沢疑惑が騒がれているわりには、報道では年末年始ごろのリーク情報から進展しておらず、現状では普通に考えたら、弁護士でもある福島瑞穂社民党首の言うように「これが政治資金規正法の事件なのか、贈収賄事件までいくのか、今の報道だけではすべての証拠を見ているわけではないのでわからない」(参照)といったところで、であれば小沢議員逮捕という筋は、「まあ、ないだろう」というのが妥当な見方だ。 そもそもカネに色は付いてないのだから、小沢氏個人のカネであろうがマネロンのような銀行迂回でも収支が合っていたら、「計算上のミスやら、そういったものは、あったかもしれませんけれども、意図的に、法律に反するような行為はしていない」(参照)というので民主党内が小沢氏と一蓮托生となるのもむべなるかな、である。 が、いや、今朝の産経新聞記事「小沢氏説明の銀行出金は原資に足らない3億円 聴取応じる意向」(参照)の話が本当なら、収賄事件にならなくても、個人的には、小沢氏は終わったなと思った。というか、私の小沢氏観が変わる。言うまでもないが、私は長年小沢氏のシンパであるし、日本に政権交代を望んできたものだった。氏は毀誉褒貶はあったが、長年見ているならそれなりの筋を通してきた大政治家であるなと学んできたものだった。私が昨年の政権交代を是認できなかったのは、この経済危機の時期にまるでその認識もなく、しかも古色蒼然のマニフェストを強行するのは、やめとけという思いだった。ただ、世間の空気はもうどうすることもできず、フィナンシャルタイムズ紙もヤブレカブレの茶々を投げていたのを面白おかしく傍観するしかなかった。 今朝の一面の産経記事だが、そのネタは昨日のエントリ「小沢疑惑について各種マスコミの印象: 極東ブログ」(参照)でふれたNHKネタを今更出してきたかと、当初思えた。 民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる政治資金規正法違反事件で、小沢氏側が土地代金の原資4億円に充てたと説明した信託銀行の口座から引き出された金額は約3億円で原資に足りないことが18日、関係者への取材で分かった。 やっぱりな、NHKのほうが正確ではないかと。ところがこの先にこういう情報がついていて、唖然とした。
小沢氏は出金の翌年、妻名義で3億5千万円の融資を受けていたことも判明。多額の手持ち資金がありながら金利負担が生じる融資は不自然とみられる。東京地検特捜部は小沢氏に参考人聴取を再要請し、小沢氏も聴取に応じる意向を示していることが同日、明らかになった。
つまり、産経報道が正しければという留保がつくが、石川容疑者が語っていたこともまた事実であったようだ。つまり、疑惑の小沢マネーはここでも二重化されていたことになる。 民主党大会での小沢氏の話では、検察にも通知した口座から、平成10年にカネを下ろし、6年間箪笥に入れ、そして小沢ハウスの資金の4億円に当てたということだった。同記事はこう話をつなげていく。
ところが、小沢氏は翌11年8月、東京都世田谷区深沢の自宅隣地約567平方メートルを妻名義で購入していた。登記簿によると、土地を担保に都市銀行から約3億5千万円の融資を受け、19年3月に抵当権が解除されている。融資返済に伴う金利負担は年約700万円近くで、利子の総額は計5千万円余りに上る計算だ。 小沢氏側が主張する通りなら、自宅で保管している約3億円を使わず、わざわざ銀行から多額の金利負担が生じる融資を受けて妻名義で土地を購入するのは不自然といえる。 約3億円は土地購入原資の4億円に満たないことや出金から土地購入まで6年間も経過していることなどから、特捜部は、小沢氏側が主張する約3億円が16年の土地代金の原資となった可能性は低く、小沢氏が虚偽の説明をした疑いもあるとみている。
小沢氏側の理屈を想像すると、平成11年の3.5億円は妻名義で別途土地を買うために当てたもので、現下問題視されている4億円とは話が別で、こちらはあくまで箪笥預金の3億円だったということになるだろう、1億円の辻褄は合わないにせよ。 いや、その強弁は常識的に考えて無理でしょ。「特捜部は、小沢氏側が主張する約3億円が16年の土地代金の原資となった可能性は低」い、と疑念を持つのは不思議ではないし、私が、「まいったな、これは」と思ったのは、検察の疑念が妥当なら、小沢氏の民主党大会での説明は嘘だということになるからだ。 法に触れるかどうかはわからないが、同士に嘘をついちゃいかんだろ、と思った。いや、本当のところは、鳩山首相や輿石東参院議員会長には伝えてあるのかもしれないが、平信者には知らせず平信者はずっと教祖様は正しいと思っているというのは、阪神大震災と同年の事件の図柄によく似ている。 もちろん、こうした情報のリークの仕方に検察による巧妙な罠 --- 最初から小沢氏に妻名義の別融資があるのを知っていて小沢氏を追い込んだ ---- というのもあるかもしれないが、しかし、小沢氏がそのまま追い込まれて嘘かもしれないような話を言う必要などなかった。 私の政治資金規正法の理解は間違っているかもしれないが、資産の記載については話は別として、小沢氏の個人マネーが何に由来するかについてだけいうなら、法的には、平成10年の箪笥預金であろうが、平成11年の融資であろうが、別段問題はないだろうし、また「計算上のミスやら、そういったもの」という話にもなるのかもしれない。しかし、党大会での説明が嘘だったいうなら、同士を騙したということにはなる。それとも、民主党内では「あれはね、党外向けのお芝居なんですよ。党員はみんな了解しています」ということだろうか。まさか。そうなら、党一丸となって国民を騙していたことになってしまう。
今日付の読売新聞記事「小沢氏、東京地検の聴取応じる方向」(参照)によれば、小沢氏は「東京地検特捜部の参考人聴取に応じる方向で検討を始めた」とのことだ。何が事実であるかということは、検察と小沢氏の妥協のなかでこれから生まれてくるだろう。私は鳩山首相のように妥協が生まれる前から「小沢氏信頼」でかつ「検察信じる」(参照)という「二重思考」(参照)は苦手なので、その妥協から生まれた「事実」が党大会で小沢氏が述べた話と「計算上のミス」で整合が付くだろうかに関心がある。 昨日のエントリで、私は産経新聞について日刊ゲンダイ風のタブロイド紙のような印象を持つとした。確かに今日の記事「秘書を接待漬け “実弾”攻勢」(参照)などからはそういう印象を受ける。だが、一面トップの今回の記事はジャーナリズムに値するものだった。 2010.01.19 時事 | 固定リンク
« 小沢疑惑について各種マスコミの印象 | トップページ コメント >言うまでもないが、私は長年小沢氏のシンパであるし、日本に政権交代を望んできたものだった。氏は毀誉褒貶はあったが、長年見ているならそれなりの筋を通してきた大政治家であるなと学んできたものだった。 ↑ 新進党を結成した最初の総選挙で、消費税を5%から3%に引き下げると騒いだでたらめな人が大政治家ですか? ヤクザの親分に腹をツメさせた故金丸信氏の弟子だった人だから、北朝鮮とだって、なにか縁故を持っている人かもしれませんよ。この辺の終風先生の政治家観というのは、どうも理解できないところです。 >昨日のエントリで、私は産経新聞について日刊ゲンダイ風のタブロイド紙のような印象を持つとした。確かに今日の記事「秘書を接待漬け “実弾”攻勢」(参照)などからはそういう印象を受ける。だが、一面トップの今回の記事はジャーナリズムに値するものだった。
↑ 産経新聞は、アメリカよりだから、アメリカと距離を作って中国に近づこうとしている民主党政権の足を引っ張るのに熱心なだけだろうと思います。産経新聞に対しては、先生の買いかぶりすぎですよ。 今回のエントリーは、正直、あまり、「剣戟の冴え」みたいなものが感じられないなあ。 コアラもユーカリの葉で食中毒を起こすこともある?サルが木から落ちたほどではないけれど、流鏑馬(やぶさめ)で、矢が的に当たらなかったようなかっこ悪さを感じたエントリーですね。 投稿: enneagram | 2010.01.19 13:53 嗚呼、私は小沢さんのあの演説、何度も同じところをNHKが流しているのを聞いているので、あれが大芝居だとしても、正当化される余地はないのですね。 私も小沢さんに対しては、筋を通す政治家の一人だと思い続けてきたのですが、秘書の逮捕に至った時の判断は、既に私の思う小沢さんらしくない判断だったと思っていました。何かが狂ってしまったのか。 さっき各紙の情報を見たら、NIKKEI NETで「大手が穴埋め約束」というスッパ抜き記事がありましたけど。知ってますよね。 投稿: godmother | 2010.01.19 13:55
小沢さんの図太い首は三条河原の晒しものになりゃ見栄えもするんじゃないかなあ(投げやり) ところで弁当さんは『「改造計画」のほとんどは大蔵官僚が書いたもので、小沢氏が書いたのは有名な序文の「グランドキャニオンの柵」の話とイギリスの議会の部分だけ』ってご存知だったんですか? 自分はこれ聞いてかなりガッカリしたんですけど。 投稿: 240k | 2010.01.19 15:22 240kさんへ。その噂は聞いたことがありますよ。今月の文藝春秋、東谷暁「「改革」を掲げた政治学者盛衰20年史」のような評価が妥当だろうと思います。 投稿: finalvent | 2010.01.19 16:05 小沢氏は裏の資金と表の資金の二重の流れの中で資金を浄化していたということでしょう。これも一回限りでなく常態化しているのではないでしょうか。 検察は資金の流れを操作していますが露になればなるほど裏資金が出てくるはずです。 政治資金規正法違反ばかりでなく巨額な脱税でも立件可能になってくるでしょう。 だいたい、私設秘書やスタッフ等20名の事務所スタッフを表の資金だけで養えるはずありません。 また、土地に変えているというのが悪質です。これは個人資産として 見なすのが妥当であり、非課税のままというのは法律がおかしいのであってこの抜け道を悪用している。 それにしても政権与党民主党が小沢一郎氏を政治権力でもって守ろうとしているのは恐ろし時代がきたもんです。 またテレビ朝日など小沢氏を擁護迄する始末。危険な時代の足音を感じます。 投稿: 北風 | 2010.01.19 17:46 田中角栄は逮捕されたその日のうちに党を出て,個人的戦いに切り替えたと聞いています(間違いかも)。 小沢さんの場合もその改革の意志を貫き通す道は残されていると考えます。 これは国民ひとりひとりが一人のカリスマに頼ることなく、官僚制、金権政治、軍産複合に立ち向かうためのきっかけとなすべき事件でなないでしょうか? 投稿: yoji | 2010.01.19 17:59 産経って、まだ倒産していなかったんですね。 産經新聞はどこで売ってるんですか? 東京限定? 投稿: 田舎から | 2010.01.19 21:46 印象ではあるが、小沢(小澤)氏にはむしろ積極的に個人資産勘定と政治資金/資産勘定を分別しようとする意志が感じられる。 お金に色はないので書類上の分別管理(Physical Segregationに対してBook Segregationと言われますが、至極まっとうな方法と認められます)となるのは現行制度上他に仕様がない。 不動産については、政治目的であっても自家用であっても個人所有としておいて、政治分については(時には自家用についても)事務所費として政治資金から個人所得を得るのが通常とすれば、政治団体の報告書に資産を記載するのは公私混同を避ける明確なやり方に思える。政治団体に資産計上するのは相続等に向けて個人資産ではない旨の積極的表明とさえ思える。 借入/貸付金についても、恣意的ではない銀行の提示する客観的な金利を政治に負担させるため、一般には不要と思われる又貸しのための個人借入をあえてすることが分別管理の発想にはかなう。 あえて邪推すれば、本来は、@検察?の指摘するように2重に計8億円を貸し付けとその返済を政治団体の収支報告に載せるか、あるいはA個人勘定かつ名義(一部報道では陸山会代表のタイトル付き名義らしい)で定期預金を作成し、それを担保として借入れ(個人経由又貸しであれ政治団体直接であれ)するつもりが、つい名義に陸山会タイトルをを入れてしまい(第1のミス)、かつその名義の混乱から現金や普通預金と異なり議員の資産報告書に記載すべき定期を報告から漏らしてしまった(第2のミス、いずれも経理のベテランでなければ充分あり得る単純ミス)のではないでしょうか。 結局問題は「記載の方法」ではなく、「裏金の有無」だと思います。そしていくら記載方法を論議しても、それが実質的に裏金解明につながるとは到底思えない。印象操作だけがその効果でしょう。 投稿: 元監査法人勤務 | 2010.01.19 22:55
10年くらい前、なぜか砂防会館の前でタクシーが止まりオザワンが降りてきました。続いて乗ろうとした見ず知らずの私にさっと頭を下げ、乗った運転手さんもあれほど礼儀正しい有名人を乗せたのは始めてで今後一族信者になると感動してました。繊細さと大胆と、もしかすると犯罪人?大物は小人には理解しがたいです。 投稿: | 2010.01.19 23:20 お札に色やタグは付いていないけれど、深沢銀行の利用に関しては、 オザワンなりの一定のルールが決めてあるのではないでしょうか? 同じ不動産を扱うにしても、プライベート用には、 出自が献金であるカネは使わないとか、 逆に仕事用の出費に自腹は一切切らないとかw 投稿: | 2010.01.20 03:27 昔のマケドニア国王フィリッポス二世は、戦わずして もっぱら賄賂・・・を巧みに交わしたあの当時の政治家 ・・・ 小沢氏に、そんなイメージを持っている私。 政治に疎い、底辺に潜んでいる無職の主婦から観れば、 大為政者には見えず、大偽政治家?・・・に映ります。 昨日の国会中継は、・・・どこの国の中継かなと 違和感を持って観ていました。 やはり 政治は、こんな疎いおばさんにも 透明性の説明が、しないことには現政権に対して これで本当にいいのか??? と、不安になります。 そして、マスコミも・・・ 以前の政権下の批判していたエネルギーが無いのは 何故でしょうか それだけが気になり 度の局を信じれば 結局・・・NHKのニュースを鵜呑みにせざる得ないのです。・・・・ いろんなブログも 小沢氏を批判するのは無く・・・ それって、政治に関心がある一部の人しか マスコミ・・・ ブログ・・・・ も無関心ということなのかしら このまま・・・終わってしまうのでしょうね たぶん 投稿: 杉田 明子 | 2010.01.20 07:08 enneagramさんはよっぽどきれいな政治家が好きなんですね。 小沢さんにとっては消費税が3%か5%か、10%かはどうでもいいことでしょう。そこで勝負してる人じゃないでしょう。そういう視点がない人は政治の分析に向いてないです。 投稿: ボブ | 2010.01.20 08:56 検察批判の声がマスコミに徒食している連中から上がり始めたようですね。つまり検察の情報リークが世論の誘導だという批判です。 そういう彼らが世論を誘導してきたのは紛れもない事実なのですが… それに検察は捜査機関であり、石川被疑者らの逮捕状請求を司法当局に行っているわけだから、検察の暴走などは(法の観点からして)ありえない
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