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2010.1.18(その4) 森田実の言わねばならぬ【48】
平和・自立・調和の日本をつくるために[48]
《新・森田実政治日誌》政権交代の政治学/次の時代への模索
[以下は、『電機ジャーナル』2009年1月20日号に掲載された私の小論です/森田実]
「脱皮できない蛇は滅びる」(ニーチェ)
2009年、日本は行き詰まった。日本は脱皮しなければ滅亡する危機のさなかに立たされていた。国民の気持ちは麻生自公連立政権から離れてしまっていた。このとき、総選挙が行われ、政権は交代した。歴史の必然である。
だが、政権交代は、脱皮への第一歩にすぎない。真の脱皮は新しい政権(鳩山内閣)の課題である。新政権が、日本の脱皮を正しく進めることができるか否かに、日本の未来がかかっている。
鳩山政権誕生後の政治情況の特徴を整理してみる。五つある。
第一。新自由主義・新保守主義は行き詰まり、米国と日本において政権交代が起き、脱皮への第一歩を踏み出したが、しかし、新たな政治システム、社会経済システムは固まっていない。いまは模索の時期である。
第二。政権は交代したが、日本国民も政界も、確固たる新たな目標を固めていない。目標喪失状況は、政権交代後も続いている。新政権も試行錯誤の中にいる。
第三。民主党は衆議院において圧倒的多数の議席をとったが、国民的には、政治的に安定しているとはいえない。10月25日の神奈川県と静岡県における参議院議員補欠選挙に民主党は勝利したが、同時期に行われた地方選挙においては苦戦した。その後も苦戦を続けている。国民レベルでは政治的不安定が続いている。
第四。経済状況は改善していないどころか、不況と失業は深刻化している。ごく近い将来、経済的破綻が発生する危険性が高い。
第五。社会的経済的格差は拡大し続けているだけでなく、階級、階層の固定化が進行している。日本社会は階級社会に転化しつつある。
現代は目標喪失の時代である。この特徴は五つある。
第一。無思想、無理想、ニヒリズムが蔓延している。とくに若者たちの間に絶望感が広がっている。だが、大人の社会は、若者たちに次の時代に向かっての理想、思想を示すことはできていない。多くの若者がアウトサイダー化しつつある。
第二。指導層の崩壊。今日までの指導層である政治家、経営者、官僚、学者、ジャーナリストは国民の信頼を失っている。新たな国民に信頼される指導層はいまだ登場していない。民主党は政権を握り、国民の強い期待を受けているとはいえ、いまだ真に信頼されているとは言えない。国民は、民主党政権の実績を注意深く観察している。
第三。下剋上の風潮が拡大している。この風潮が蔓延すると指導層は安定しない。民主党政権はできたが、一歩誤れば、期待は一瞬にして絶望に転化するおそれがある。
第四。犯罪が増加し、自殺者が増える傾向が高まってきている。これは社会の自己崩壊現象である。社会の崩壊現象を甘くみてはならない。
第五。日本の政界、経済界、官界などの指導層だけでなく、国民社会全体が、当分の間、試行錯誤を続けることになろう。指導理念と指導層のめまぐるしいほどの交代、転換が繰り返される可能性がある。国民の政治意識が激しく揺れ動いている。
「試行錯誤」の時代を超えて、新たな安定社会に移行するためには、次の五課題を乗り越える必要がある。
第一。「新自由主義」の克服と「民主主義的資本主義」の確立。
第二。「対米従属の政治」から「自主独立の政治」への転換。
第三。「米英型思考と社会システム」からの脱却と「日本的・東洋的思考とシステム」の形成。
第四。中央集権体制からの脱皮と地方自治の確立。
第五。「対立・紛争・戦争の時代」を超えて「調和・平和の時代」を築くこと。
この五課題の実現こそ「平和・民主・自立」勢力の課題である。
以上五課題の実行は、鳩山民主・社民・国民新三党連立内閣の課題であり、責任である。だが、三党連立は危機を迎えている。民主党一党体制への移行は不可避であろう。遅くとも2010年夏の参議院議員選挙の時期には政権の枠組みは変わるであろう。民主党の責任は重い。