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北海道新聞
社説
「政治とカネ」断ってこそ 民主党大会(1月17日)
小沢一郎幹事長の政治資金をめぐる東京地検の捜査が現職国会議員の逮捕へと発展するなかで、注目の民主党大会が開かれた。
政権交代後初の大会だが、晴れやかなお祭りムードは吹き飛んだ。事態は鳩山由紀夫政権を大きく揺るがすまでに立ち至っている。
あすは通常国会が召集される。「政治とカネ」の問題は当面の焦点に浮上した。徹底的にメスを入れてほしい。同時に、デフレ対応や雇用不安の解消など、国民生活の底上げにつながる論議も欠かせない。
政治の混迷を乗り越え、時代を切り開く指針−。そのことが今、民主党をはじめ各党に問われている。
*小沢氏は責任免れぬ
まず指摘したいのは小沢氏の政治的、道義的な責任だ。
逮捕された3人は、いずれも側近と呼ぶべき公設秘書や元秘書だ。とりわけ石川知裕衆院議員(道11区)の逮捕は、帯広・十勝をはじめ道民の間に衝撃を広げた。
小沢氏は党大会で「何ら不正なお金を使っていない」と中堅ゼネコンからの裏献金疑惑を否定し、「毅然(きぜん)として信念を通し戦っていく」と検察との全面対決を宣言した。
「潔白」を主張するのであれば意を尽くして説明する必要がある。
だが土地購入に充てる資金がありながら、なぜわざわざ金融機関から金利のかかる融資を受けたのか。4億円もの巨額な資金の原資は何か。
きのうも、こうした疑問について十分納得できる説明はなかった。
検察側との対決姿勢を強調するだけでは、多くの国民の理解を得ることは難しいのではないか。
小沢氏は大会で幹事長職の続投を表明した。参院選で単独過半数を獲得し、民主党政権を盤石にすることで政権交代の実を上げていく−。そうした決意なのだろう。
だが小沢氏が長年追求してきた「政治主導」とは、何よりも「国民主導」の政治であるはずだ。それには世論の支持が欠かせない。
あらためて詳細に説明する一方、検察の聴取に応じ、国会でも質問に答えるべきだ。そうした努力を行っても疑問がなお消えないなら、国民の支持は失われる。その時は自ら進退を決するほかあるまい。
鳩山首相は大会で「小沢氏を信じている」と続投支持を明言した。
選挙対策や国会運営でますます依存を強める小沢氏と一蓮托生(いちれんたくしょう)の道を選んだと言えよう。
だが忘れてはなるまい。首相が基盤とすべきは昨年の衆院選で民主党に300を超える議席を与えた国民の意思である。その期待を裏切れば首相自身の責任も厳しく問われる。
*政治の自浄求めたい
民主党を沈黙が支配している。不可解と言うほかはない。
大会に先立つ地方代議員会議では小沢氏のあいさつの直前に取材陣を会場から閉め出した。国民目線を掲げる「開かれた党」のあるべき姿とは、あまりにかけ離れている。
肝心の大会では居並ぶ国会議員から質問も意見もなく、議論が聞かれなかった。小沢氏の資金問題では支持者の間にも疑問や反発の声がある。それをすくい上げ、大会の場で代弁するのは国会議員の役割だ。
そうした姿勢がなかったのは残念だった。これで自浄能力が発揮できるのだろうか。
かつて国会で廃案となった「企業・団体献金廃止法案」がある。これを土台に現行の政治資金規正法を厳格に改め、民主党が率先して資金問題の真相解明に乗り出す。
与党として政治刷新の先頭に立ってほしい。その意気込みが示せないようでは、野党時代に批判した自民党の「古い政治」と何も変わらないではないか。
「新しい政治」の実現を訴えてきた責任の重さを、いま一度肝に銘じてもらいたい。
*国会で真相の究明を
週明けから始まる国会は波乱含みの展開となるに違いない。
論じ合うべきテーマは山積している。第一に鳩山首相の偽装献金事件を含め、一連の政治資金問題の徹底究明を求めたい。
自民党は集中審議や党首討論の開催、さらには小沢氏や首相の元秘書らの参考人招致などを要求している。与党側も積極的に応じ、与野党挙げて具体的な再発防止策の立案につなげていくことが必要だ。
もとより「政治とカネ」の問題は重要だが、国会対策の駆け引きだけに利用するのであれば筋違いだ。
失業率は5%台で高止まりし、生活保護世帯は昨年、過去最高の120万世帯を突破した。自殺者は12年連続で3万人を超えた。
生活不安が人々を覆っている。雇用など暮らしに直結する問題を掘り下げて論じることが大事だ。
党利党略を優先し、2009年度第2次補正予算案や10年度予算案の審議がしわ寄せを受けるようでは、政治全体の信頼を損なう。
与野党は社会保障や雇用創出を柱に日本社会のビジョンを描き、活発な政策論を戦わせてほしい。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/210609.html