★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK77 > 726.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」による土地購入にからむ疑惑で、東京地検が民主党衆院議員の石川知裕容疑者らを逮捕した。
逮捕されたのは石川容疑者のほか、小沢氏の元私設秘書池田光智容疑者と、公設第1秘書の大久保隆規容疑者の合わせて3人。大久保容疑者は西松建設の違法献金事件で逮捕、起訴され、被告席に立つ身でもある。
石川容疑者はかつて小沢氏の秘書を務めていた。巨大与党の実力者の秘書、元秘書がそろって、カネの問題で訴追される−。異常な事態である。
小沢氏の責任は重い。事務所でカネをどう扱ってきたのか、国への報告はきちんとしてきたのか、自分自身はどうかかわったのか、そもそも陸山会に土地がなぜ必要なのか。国民に分かるように説明するよう小沢氏に求める。
納得のいく説明ができなければ、幹事長ポストだけでなく、議員辞職を求める声が国民から上がるのは避けられないだろう。
<裏献金の疑いも>
問題とされるのは2004年の土地購入にからむ資金移動だ。購入に充てられた費用の収入と購入代金の支出を、国に提出する報告書に載せなかった−。これが逮捕容疑である。
この限りでは、問われるのは報告書への不記載にとどまる。政治資金規正法に違反するのは事実としても、与党幹部の一部がかつて述べた「形式犯」との見方が成り立つ余地がある。報告書の修正で事は収められるかもしれない。
問題は、土地購入のために用意した4億円をどうやって調達したか、小沢氏側が説明できていないことだ。仮に企業などからの裏献金だったら、事態は重大な様相を帯びることになる。
「ゼネコンに工事受注の『天の声』を出して選挙応援や献金を求めていた」。公設第1秘書の公判で検察側は、こう述べている。陸山会が土地を買ったころ、岩手県内のダム工事にからんで小沢氏側に建設会社から五千万円が渡された、との証言もある。
<説明が足りない>
検察が3人の逮捕に踏み切ったのは、政治資金規正法違反の容疑を超えて、疑惑の“本丸”に攻め込む狙いからだろう。捜査の行方から目が離せない。
問題が表面化してからの小沢氏の対応は、首をかしげさせることばかりだ。国民に向け説明し、分かってもらおうとする姿勢がほとんどみられない。
先日の記者会見では「国民に迷惑、心配をかけていること」について陳謝したものの、疑惑の中身にかかわる質問にはいっさい答えなかった。きのうの党大会では、捜査当局と「断固として闘っていく決意」を披歴し、幹事長を続ける考えを述べている。
こんな対応を続けていては、国民の理解を得るのは不可能だ。
週明け18日から通常国会が始まる。2009年度補正予算と2010年度当初予算が論戦の主なテーマになる。
景気が危なっかしい足取りを続けている。雇用環境は引き続き厳しい。世界経済の先行きも不透明だ。当面の景気対策とともに、日本経済をどうやって成長軌道に乗せていくか、中長期的な視点からの論議も深めなければならないときである。
<ぬぐえるか金権体質>
このままでは国会は、小沢氏のカネの問題をめぐって与野党がぶつかる展開になりかねない。予算審議を実りあるものにするためにも、小沢氏は国民に向け丁寧に説明すべきだ。
鳩山由紀夫首相の姿勢も問われている。この問題が浮上して以降、事実を解明して国民の理解を得ようとする姿勢は首相にも感じられない。
きのうの党大会で首相は「臆(おく)することなく身の潔白を証明し、職務を遂行するよう要請する」と述べた。これではまるで検察に対する宣戦布告である。首相の言葉とは思えない。
小沢氏の経歴をさかのぼると自民党の旧田中派に行き着く。故田中角栄元首相を「政治の師」と仰いできた政治家である。
小沢氏は古い自民党の体質を民主党に持ち込んだのではないか−。そんな目でこの問題を見る人もいるだろう。
昨年の総選挙で国民が民主党を政権の座に押し上げた背景には、政治のクリーン度が高まることへの期待があった。民主党がこの問題できちんとした取り組みができなかったときの、国民の反応が心配になる。
政権交代が実現しても、政治の体質はあまり変わらなかった−。こうした見方が頭をもたげてくるだろう。その先に待ち構えるのは深刻な政治不信である。
「今の日本の政治をなんとかしてくれないと困る、という国民の声がこの政権交代をもたらした」。昨年秋の所信表明演説で首相が述べた言葉である。国民の期待に背くことは許されない。
http://www.shinmai.co.jp/news/20100117/KT100116ETI090006000022.htm