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【櫻井よしこ 鳩山首相に申す】国益への悪影響考えよ
2010.1.14 03:07
このニュースのトピックス:政治資金・政治献金
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100114/plc1001140308001-n1.htm
50年前の1月19日、日米安保改定条約が調印された。その記念日に、日米両首脳がそれぞれ声明を発表する方向で調整中だと、北沢俊美防衛相が9日、明らかにした。一方、岡田克也外相は、13日、ハワイでクリントン国務長官と会談し、記念日に日米両国の外務・防衛担当の閣僚が声明を発表することを確認し合った。
声明は別々に、しかも首脳ではなく閣僚が出すことになったわけだ。重い意味を持つ軍事同盟の当事国でありながら、日米両国はいまや合同で声明を出すこともない。バラバラに出す閣僚声明が日米関係の冷え込みを痛感させる。
こうした事態が中国をはじめ諸国に間違ったメッセージを発してはならないと懸念しているのが軍関係者である。戦略と理念を欠く政治が同盟の実質的空白につながってはならず、なんとかその空白を埋めたいと案ずるのは指揮官にとって当然のことだ。
駐日米国武官が19日にホームパーティーを主催し、日本側の実務者らを招く背景にはそのような懸念があるのであろう。海上自衛隊が停泊中の艦艇を満艦飾に装い、夜には艦船をライトアップして、ささやかながら日米同盟の半世紀を祝うのも同じ想(おも)いからだろう。
だが、同盟関係は政府同士の信頼の基盤の上にのみ築かれ得る。信頼が大きく揺らいだ末の関係の冷え込みは、日本の前途に激しく警鐘を乱打している。
こうした事態を招いた主たる理由は、鳩山由紀夫首相に、自らの意識と現実との距離感を測る能力が欠けているからだ。それ故に、鳩山政権は内政外交双方においてひとつとしてたしかな政策を持ち得ない。言葉と行動が一致しない希代の政権である。
沖縄の普天間飛行場の移設問題を見てみよう。国外もしくは県外への移設を目指すという当初の首相の主張に、具体的目算があったわけでなく、安易な願望の表明にすぎなかったことは、すでに明確である。首相は迷走し、紆余(うよ)曲折を重ね、「最後は自分が決める」「5月までに結論を出す」と繰り返して今日に至る。だが、「5月の誓約」の根拠や目算について、首相は説明していない。取材しても、5月解決の可能性は見えてこない。
「ずっと日米関係で頭がいっぱい」と評される岡田外相は、13日未明の日米外相会談で、現行計画の履行を重ねて求められた。辺野古以外への移設の可能性を探り続ける鳩山民主党と米国の溝は埋まってはいない。
24日に行われる名護市長選挙の結果によっては辺野古への移設はより困難になる。そのとき、鳩山首相は自らの言葉どおり「自ら決める」ことができるのか。おそらく無理であろう。そもそも首相には、事柄の是非や罪悪の問題を識別する抽象化の能力が欠けている。
一例が政治資金問題への弁明である。他の政治家の政治資金問題に関して、「秘書の罪は政治家の罪」「鳩山の秘書が同じことをしたら、自分なら即刻議員を辞める」と首相は明言した。その同じ人物が、「本当に知らなかった」として、贈与税を支払って区切りとした。
◇
恬(てん)として恥じない理由は、前述の理由の他に考えられない。氏には自分が語った言葉の意味の重さも、抽象化の能力も欠けているのだ。明らかに鳩山家の長年の慣習であった家族間の資金の授受は脱税である。だからこそ、たとえ知らなかったとしても、政治家、いわんや一国の長としては恥ずべき行為で辞任に値することが理解できないのである。
善悪の識別も、言葉の理解もできない鳩山首相は、では、普天間問題が行き詰まったとき、どのようにして日米関係を維持するのか。「信じてほしい」という誓いの重さにどのように耐えるのか。
鳩山政権は、日米関係の後退で外から日本の基盤を危うくするだけでなく、外国人参政権問題で日本を内側から切り崩しかねない。
民主党は18日召集の通常国会に永住外国人に地方参政権を付与する法案を政府提出法案として提出するとみられている。鳩山首相は「日韓併合100年のタイミング」であり、政府・与党の「理解は得られると思う」と語っている。
日韓併合100年と参政権とどうつながるのか、理解できない。そもそも首相の参政権についての発言自体が理解できない。
首相は外国人参政権問題を、「愛のテーマ」と言い、「仏教の心を日本人が世界で最も持っているはずなのに、なんで他国の人たちが、地方参政権を持つことが許せないのか」と問うている。
昨年11月5日の衆院予算委員会では、自民党の稲田朋美氏が、首相が平成8年6月号の『論座』に寄稿した「わがリベラル友愛革命」の記事で、「定住外国人に国政参政権を与えることをも真剣に考えてもよい」と書いたことを指摘した。
また稲田氏は、14年8月8日の「夕刊フジ」に「日本列島は日本人の所有と思うな、などという発想は日本人の意識を開くことであり、死を覚悟せねば成就は不可能であろう。私はそこまで日本を開かない限り、日本自体の延命はないと信じる。だから私がその先兵を務めたいのだ」と首相が書いたこともただした。
首相はそうした言辞を記憶しているが、現在は、「現実の中で対処」することへの理解を「この歳(とし)になって」深めたそうだ。しかし同時に、首相は「共生の日本」創造の重要性を強調する。「共生」と「参政権」は別物であることが首相にはわからないのか。
いま参政権問題は特別永住外国人への参政権付与という数年前の議論とは様相を変えている。戦前日本国民として日本に移住し、戦後、自らの意思で帰国せず日本に残った人たちとその子孫である特別永住者の参政権問題だったはずが、民主党の提案は、特別永住者を超えて一般の永住外国人を対象にしているのだ。そしてこの中には急速に増えつつある中国人が含まれている。
日本在住外国人の中でいま最大のグループは65万5000人余の中国人である。うち14万2000人が永住権を取得済みだ。年に約1万人ずつ帰化し、減少し続けている朝鮮半島出身の特別永住者とは対照的に、永住権を取得する中国人の増加は際立っている。
民主党提案の外国人参政権法案の先に、中国共産党の党員が日本で投票権をもち、日本の政治を動かすという事態の発生も考えなければならない。
これは共生や友愛の問題ではない。国家としての理念と国益の問題である。
日米安保と参政権、それらが国益に及ぼす影響について考え、その正しい仕分けもできない鳩山氏であれば、もはや首相をお辞めいただくしかないだろう。