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【主張】陸山会強制捜査 小沢氏の政治責任は明白 土地疑惑の徹底解明求める
2010.1.14 03:06
民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体「陸山会」による土地購入疑惑で、東京地検特捜部が会計事務担当だった石川知裕衆院議員の事務所や陸山会事務所などの強制捜査に踏み切った。
直接的には、石川氏が平成16年10月の土地購入資金を政治資金収支報告書に記載していなかった政治資金規正法違反(不記載)容疑によるものだ。
だが、この土地購入は小沢氏が指示し、個人資金も提供した。その原資は不透明だ。小沢氏の関与が疑惑の核心といえる。
陸山会に加え、東京都内の小沢氏の個人事務所への家宅捜索も行われた。土地購入に際して違法行為や脱法行為がなかったかどうか、検察当局には徹底した解明が求められている。
最大の問題は、小沢氏の政治責任である。自らの資金管理団体が強制捜査を受けたことの責任はきわめて重大である。違法行為の疑いをもたれたことへの監督責任は免れないからだ。
西松建設の違法献金事件でも、公設第1秘書が規正法違反罪で逮捕・起訴された。資金管理団体でありながら、陸山会が10カ所以上の不動産を購入してきた目的は国会でも疑問視されてきた。
そうした問題を含めて、小沢氏自身の政治資金に対する考え方や取り扱いの是非が問われ、強制捜査に至ったといえる。
与党の最高実力者として、幹事長職にとどまることが許容される状況だろうか。小沢氏を幹事長に起用した鳩山由紀夫首相には、適切な判断が求められる。
◆説明欠く「開き直り」
特捜部の捜査の焦点は、「政治家小沢一郎」をめぐる不透明な資金の流れにあり、そこにメスを入れようとしたものだと受け止められる。
土地購入に関連して、陸山会と関連政治団体との間で複雑な資金移動が行われていた。それが小沢氏の個人資金との関係で「資産隠し」とそのための「偽装工作」が行われていたのではないか、という疑惑さえ招いているからだ。
土地購入をめぐっては、総額10億円以上とみられる資金操作の疑いがあるうえ、石川議員はカネの出どころを隠すために虚偽の説明を行ったとされる。
特捜部はこれまで石川議員に任意の事情聴取を重ねてきたが、事件の徹底解明には強制捜査による家宅捜索が必要と判断したとみられる。石川議員に対する調べを任意から強制捜査に切り替えることも検討されている。
小沢氏は「捜査中だから」という理由で「政治とカネ」にからむ重大な疑惑に対し、正面から答えようとしていない。国政に多大な影響を及ぼす政治家としてきわめて無責任な対応であり、疑問を呈さざるを得ない。
それに加えて、小沢氏は特捜部による参考人聴取の要請に対して、「忙しい」との理由で拒んだままだという。
◆民主は自浄能力発揮を
4億円の個人資金の原資が何なのかなど、小沢氏からの聴取は欠かせない。ゼネコンからの裏献金疑惑も浮上している。
小沢氏は12日の定例記者会見で、陸山会の土地購入疑惑に関する具体的説明を避けた。鳩山首相も、巨額の偽装献金事件で「捜査中」との同じ理由で説明を拒み続けた。政府・与党のトップが2人とも相次いでそうした態度をとることは、政治家自身の倫理にとどまらず、国民の道義心に悪影響を与えないか。政治全体への信頼が失墜することが危惧(きぐ)される。
小沢氏は12日の会見では「私の政治団体の問題で国民に迷惑、心配をおかけして申し訳ない」と陳謝していた。
しかし、強制捜査を受けた13日夕、訪問先での会合では「法に触れることをしたつもりはない。国民も理解しているから政権を与えてくれた」などと語った。政治責任はないと開き直ったように聞こえる発言だ。
自分は「もっともオープンな政治家だ」と日ごろ主張していながら、事が起きると沈黙に徹するギャップは大きすぎる。やはり説明のつかない点があるのか、という疑問をぬぐえない。
この事態を迎えても、民主党は自浄能力を発揮できないのか。党のトップが、説明のつかない土地購入や資金管理で検察当局の強制捜査を受けている。
小沢氏からの説明さえ求めないような空気では、政治とカネに関する正常な感覚を党自体が失っているようにみえる。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100114/crm1001140307005-n1.htm