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2010年01月08日(金)
米政府の「フテンマ」圧力にナイ教授が警告
テーマ:政治
今日の朝日新聞で、ワシントン発の小さな記事が目に留まった。
民主党系知日派の大御所、ハーバード大のジョセフ・ナイ教授がNYタイムズに普天間基地移設問題に関して、以下のような内容の論文を寄稿したという。
「米政府の一部は日本の新政権に対して強硬な姿勢をとりたがっているが、思慮が足りない」
「我々には、もっと忍耐づよく、戦略的な交渉が必要だ。(普天間のような)二次的な問題のせいで、東アジアの長期的な戦略を脅かしてしまっている」
外圧によって鳩山政権を切り捨てれば、普天間基地で主張を通せても、より大きな犠牲を払うことになる、というナイ教授の指摘も付け加えている。
この記事はもっと大きく扱ってしかるべきである。日米関係に大きな影響力を持つ有力知日派からようやく発せられた「ワシントンへの警告」であるからだ。
これまでの日本の政権のように、圧力を強めれば折れる、という考えは、歴史的政権交代という現実の前では通用しない。そう、ナイ教授は分析しているのではないか。
米軍基地に思いやり予算をつけ、世界最強の第7艦隊の母港を提供し、米本土以外では最大の燃料備蓄、弾薬庫がある日本は、いうまでもなく、米国の世界軍事戦略にとって絶対に欠かすことのできない国である。
国民の期待を受けてチェンジをめざすその国を、外圧一辺倒で従わせようとすれば、それこそ大切な同盟関係にヒビが入りかねない。米国の識者がそう考え始めるのは自然のことであろう。
小泉・ブッシュ時代を絶頂とする日米蜜月関係、いや日本が米国に従属する関係を、日本の新政権に踏襲させたいとする勢力が米政府、議会でいぜんとして幅をきかせているのは事実である。
そして、日本のメディアの情報源はいまだ固定化したままだ。
ブッシュ時代の共和党系知日派グループ、いわゆる「アーミテージ・スクール」や、彼らと一体化して通称「日米安保マフィア」を形成した外務省アメリカンスクールの面々にコンタクトすることが手っ取り早い情報収集法である。
そこから流れ出すニュースは、「日米安保マフィア」のこれまでの努力が水泡に帰すような政策変更に対して、「日米同盟の危機だ」と日本国民に脅しをかける論調となりやすい。
政権交代以来、われわれ一般国民は毎日のように、この種の報道を浴びせられ続けた。
しかし、米国の政府、議会、シンクタンク、学者にもさまざまな考えの持ち主がおり、メディアが「日米危機」一色に染まるのは一種の病弊であることに気づいていた国民も多かったはずだ。
今回のジョセフ・ナイ論文は、米国民主党の知日派のなかに、バランスのとれた思考が確かに存在することを示している。
そのことを頭に入れたうえで、本日、時事通信が流した次の記事を読むと、受け取る印象はかなり違ってくるはずだ。
【ワシントン時事】キャンベル米国務次官補は7日、記者会見し、クリントン国務長官が12日にハワイで行われる日米外相会談で、普天間飛行場の移設問題を前進させるよう岡田克也外相に促す見通しを明らかにした。(中略)日本政府がアフガニスタン支援や気候変動対策などで米国との協調姿勢を示していると評価。日米同盟の中核である安全保障の分野でも「米国との緊密な協力の継続を求めるという、非常に明確な意思表明を望む」と語った。
キャンベル氏は1994年、国防次官補だったハーバード大の先輩、ナイ教授の求めに応じて、ペンタゴンに入った人物だ。それがきっかけで民主党政権きっての知日派として知られるようになっていった。
さて、このキャンベル会見。これを記事にするとしたら「普天間移設問題」に絡めたいというのが記者の心理だ。ニュースのキーワードになっているからだ。
そこで前段では、岡田外相に「普天間問題の前進を促す」ことを明らかにした、という文章を持ってきて、記事の体裁を整えたに違いない。
しかし、キャンベル氏がどこに重点を置いて発言したかは、現場にいない者には分からない。
筆者が注目するのは、「緊密な日米協力関係継続への非常に明確な意思表明」という部分である。「非常に」をどう読み解くかも、カギかも知れない。
政府の重要ポストについている立場上、ナイ教授ほど自由に発言できないキャンベル氏だが、「忍耐づよく、戦略的な対日交渉が必要だ」という思いは同じだろう。
外務省は、米政府が怒っているという固定観念を捨て去り、新たな角度から、それこそ戦略的に日米関係を進展させるべきではないか。