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マスコミはまだ「政治と金」の問題をしつこく繰り返している。これを連呼すると人々の生活がどう良くなるかどうか因果関係は不明であるが、昨今、この日本で貧富の差が拡大して中間所得層から貧困層へ転落する人々が間違いなく増加している。全体を分析することはもちろん出来ないが今回は当代繁栄しているビジネスモデルについて述べる。
@ナイキ型ビジネスモデル
ゴルフのスーパースター タイガーウッズが愛人問題で話題になっている。ゴルフの腕前が世界一であることは間違いない。ただ彼の収入はスポンサーからの広告収入の方が賞金よりはるかに多い。ナイキはタイガーウッズの長年のスポンサーとして知られる。以前はマイケルジョーダンも使っていた。購買者はそのイメージのよさから彼のCMによってナイキブランドの価値を認めスポーツシューズを喜んで購入する。
販売価格と原価を見てみよう。小売段階での価格を10000円の場合、工場を出る段階での価格、いわゆる製造原価は500ー800円程度である。本社および主要な拠点では、広告、デザイン、管理を担当する。販売価格の大半をこの部門の経費および利益が占める。しかし、販売価格の10%以下の製造原価をさらに低減させる努力は大変なもので、かなり前は台湾、韓国で製造していたが、かの国の人件費が高くなるとあっと言う間に従業員を解雇し工場を閉鎖し、より人件費の安い国に工場を移す。そしてこれを繰り返す。タイよりインドネシアが人件費が安いということで、製造が可能な範囲で最も人件費が最も安い国でシューズを製造する。このビジネスモデルを絶賛していた人がいる。大前研一とかいってこの会社の顧問をしていた。瞬時にヒト、モン、カネが移動できるグローバル経済の成功モデルと言って褒めちぎっていた。そのインドネシアではドル換算で時給15セントとか、食料にも事欠く人件費で働きまた就学年齢の子供まで働いている。本国アメリカでは違法になる労働条件で働かせる一方で一人の人に何千万ドルの宣伝費を投じブランドイメージをあげ、利益をあげている。デザインと広告にそれだけの値打ちがあるかどうかは人の主観にもよるが使い捨てされる工場労働者はたまったものではない。多くの製造業もこれに追随している。
A金融、高性能コンピューター型ビジネスモデル
昨年、リーマンショックで投資銀行モデルが破綻した。きっかけとなったサブプライムローンはどういう構造か?住宅ローンで融資を受け多くの人が自分の家を手に入れる。これなら金融は社会の中でちゃんと役割を果たしている。その中で本来返済が出来ないはずの人であるが住宅価格が上がり続けるという前提の場合、成立するローンがサブプライムローンである。しかし、住宅ローンでは利益をあげるのに時間がかかりすぎる。そこでローンを債権として売買して利益を確定させる。そして短期売買で回転させる。知恵者がこれにいくつかの仕掛けを加える。この債権をバラバラにして組み替えて販売する。さらにサブプライムローンのようにリスクの高い債権を混ぜあわせる。内容はますますわからなくなるが、ここで各付け会社が登場し加工された格付けを与える。それでも信頼できない人のためにAIGとかいう会社に保険をかける。さらにレバレッジをかけ自己資本よりはるか大きな取引を行う。そして巨額の利益を得る。万歳といきたいところだが、いつまでもこんなことは続かなかった。
今年、東証のシステムが改変されより高速での取引が可能となった。これを持ち上げる人が多い。そして毎日毎日、為替相場が報道される。国際貿易を行っている以上、為替取引は必要だ。また変動に備えて一部を先物で手当てすることも必要だろう。しかし現在の取引額は、コンピューター内で数字が移動するだけで実際の貿易決済に要する取引額の100倍以上に達する。なぜこんな数量の取引が必要か、この売買で一瞬で利益を上げることはあるがこれは為替変動のみを利益の源泉としておりこれを「投機」というのではなかったか。単純にこの取引では利益をあげた側があれば必ず損失を被った側がある。これに勝ち抜くためより高性能のコンピュータを必要とする。ドル円の為替取引は、東京と同時にシドニー、ウェリントン、香港、シンガポールでも取引が行われている。ライバルよりいち早く処理できるコンピューターを利用すれば、ほんのわずかの価格差でもレバレッジをかけた資金で一瞬で利益を得る。そのために巨額をコンピューターおよびそのシステムに投資する。一国の通貨を危機に追い込むことも可能だ。ただしこんな行為や投資が人々の生活をよくするのか疑問であるし詐欺商法とどこが異なるのかも定かではない。
B貧困ビジネスモデル
貧困者に係わるビジネスも繁栄している。例として街で見かける交通警備員いわゆるガードマンを見てみよう。この人たちの場合、かなりの高齢者でも雇用されるしまたあまり前歴も問われないため、住居にも不自由している人が集まる。顧客の建設会社やスーパーからは、1日9000円程度の単価が出る。ただし会社の経費、利益を差し引かれ6500円程度が手取り日当となる。月22日働いた場合、手取りは143000となる。死にはしないが家族を抱えてやっていける額ではない。話はここからだが、この残りの金も大半消えていく構造となっている。寮を構え何もない3畳の部屋で30000円程度の家賃をとる。さらに安い食材で50000円程度の食費を差し引く。ほかに引っ越す費用も信用もない。こうなれば何年働いてももういくらも残らない、国民の義務である健康保険、年金の支払いにも事欠くことになる。実際このような構造になっている。これは構造としては古くからある「ピンハネ」「タコ部屋」「人買い」の原理で新しいものではないが、最近大きく成長した人材派遣も基本的にこのモデルに属する。前政権で重用された奥谷禮子などは「過労死は自己責任」「有給休暇は必要ない」とか言ったとか。また@Aのビジネスモデルの権威竹中平蔵は今度はこの業種のトップに就任したとか。まさに現在、繁栄しているビジネスモデルの権化である。
この@ABのビジネスモデルが繁栄していることを見ると、貧困層が拡大し一部の人の所得が向上していることが分かる。このようにした側は以下のようなことを言った。大事なことは「競争力」「生産性」「効率」「株主利益」だった。たしかに一面ではそうかも知れない。しかし、人間が集団を作り豊かな社会を構成するのに必要なのは「生活の安定」「地域社会」「絆」「健康に対する配慮」といったものだと思うがこれらのビジネスモデルにはそのような視点は全くない。やはり何か構造を変えることが必要だろう。かなり困難ではあるが。
また蛇足であるが、この国にはC公務員、独立行政法人モデルというものもあり、最終需要者の支持がなくても、何らかの理由をつけて、税金、特別会計というものから金を引き出し、高い収入と安定した雇用を確保出来るモデルもある。