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2009年12月31日 (木)
本格検討開始の普天間移設と日米密約問題
民主党の小沢一郎幹事長が12月8日、国会内で新党大地の鈴木宗男衆院外務委員長と会談し、普天間飛行場の名護市辺野古沖への移設について、「あのきれいな海を埋め立てていいのか」と否定的な考えを伝えていたことが明らかにされた。
私も沖縄の辺野古地域に視察に訪れたことがあるが、辺野古の美しい海岸を破壊して軍事基地を建設することの非合理性は明確である。辺野古の美しい海岸を破壊して巨大滑走路を建設するべきでない。普天間移設に伴い、本来必要な代替施設とはヘリコプター離着陸用の施設であった。
ところが、日米協議を通じて、1300メートルの滑走路が2本、V字形に建設されることになった。米国軍部はそもそも辺野古地域にV字形滑走路を建設する計画を有していた。老朽化した普天間飛行場の施設に代えて、新しい滑走路を日本政府負担で建設させようとの考えがあったと考えられる。
日本政府側がV字形滑走路建設に同意したのは、海上滑走路建設が巨大な公共事業であり、建設を受注する事業者と間を取り持つ政治家にとって、巨大な利権になるからだったと考えられる。
私は辺野古に移設するなら、当初の条件に沿ってヘリコプター離着陸施設のみを建設するべきものと考えてきた。かけがえのない美しい海岸を破壊して軍事基地を建設することに対して、地元の住民が極めて強く反対するのは当然のことである。
自民党政権は、米国政府と辺野古に海上滑走路を建設することで合意を成立させてしまった。鳩山政権が発足し、鳩山政権は辺野古での海上滑走路建設を回避するための方策を、必死に模索している。米国に対して、これまでの小泉政権に代表される、隷属の姿勢から脱却し、粘り強く日本の主張を貫こうとしている。
日本国籍のメディアであるなら、日本国民の利益を守ろうとする鳩山政権を懸命に支援すべきである。ところが、ほとんどのマスメディアが「売国報道機関」になり下がってしまっている。鳩山政権を攻撃することにいそしみ、日本政府が米国政府に隷従するべきと受け取れる主張を展開し続けている。
普天間飛行場の機能をいくつかに分散して、国内に再配備すれば辺野古の海岸を破壊する海上滑走路建設を回避することが出来るかも知れないのだ。その方策を見出すために半年程度の時間を費やすことは賢明な対応以外の何者でもない。ヒステリックに鳩山政権を批判する方がどうかしている。
自民党政権は13年間も問題を解決できずに今日に至っているのだ。石破茂元防衛相は、テレビ番組で自分が防衛問題の第一人者であるかのごとくに振る舞い、同じ内容の説明をくどくどと繰り返すが、13年間も問題を解決できなかった自民党の政策責任者に、偉そうな講釈を垂れる資格はない。
自民党が無責任に成立させてしまった日米合意の最大の問題は、沖縄県民の意向だけがまったく反映されなかったことにある。新しい滑走路を日本の費用負担で建設させようとする米国と、海岸を破壊する巨大公共事業で巨大利権を確保しようとする自民党が、沖縄県民の意向を無視して勝手に合意を成立させてしまっただけなのだ。
マスメディアの鳩山政権批判が続いているが、鳩山政権にはぜひ、じっくりと時間をかけて最善の方策を見出して欲しいと思う。鳩山首相が明確な結論を示さないことをマスメディアが攻撃するが、すべての評価は結果が示されたあとに定められる。結論を見ぬうちから性急に評価を下すならば、結果が出たときに不明を恥じなければならなくなるだろう。
普天間基地移設問題以上の重大性を持つのが「日米密約」問題である。沖縄返還に際して核持ち込みについての密約が日米政府間で交わされた等の疑惑である。
問題の最大のポイントは、密約の存在についてこれまで繰り返し国会で質問が行われた際に、政府が密約の存在を否定してきたことである。国会で虚偽の答弁が繰り返されてきた疑いが存在するのだ。
したがって、問題の名称を「日米密約問題」でなく、「国会での偽証問題」とするべきである。日本国憲法の基本を蹂躙する巨大犯罪が行われてきた可能性が高い。
日本国憲法の下で主権者は国民であることが明確にされている。主権者が代表者を選び、この代表者が国会を舞台に政治を司る。内閣は国民に責任を負う存在である。
この内閣が国会で虚偽の証言を続けてきたのならば、許されざる国民に対する背信行為である。石破氏は普天間基地移設問題で低劣な鳩山政権批判を行う前に、密約問題=偽証問題について責任ある見解を示すべきである。
密約問題はこれまでの自民党政権の深い闇を示す極めて分かりやすい事例になる。徹底的な真相解明が求められる。
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