03. 2009年12月29日 13:01:40 53 名前:名無しさん@3周年[sage] 投稿日:2009/10/05(月) 02:31:02 ID:Ua6x67c3 TVよ、誇りはあるか 忘れられた「公共」の電波 元毎日放送記者・鎌田正明 最終回 おかしくないか、企業戦略としての「コネ採用」民放TV局には政財界・芸能・スポーツ関係者等、あらゆるコネに後押しされた ご子息・ご令嬢がゴロゴロいるという。仕事ぶりはともかく、自動的に高給ガッポリ。 何でそうなるの? そんなんでいいの? ■東京中心の番組ばかり 民放には独特の悪しき文化がある。それは東京キー局独裁・局外スタッフへの身分差別等、封建的な体質。社員のコネ採用も然り。民放ではコネ採用は企業戦略の一つとして、むしろ積極的に行われている。腐臭を放ちながらも温存されてきた、それら「悪習」の影響は自ずと番組内容に反映される。私はこうした民放の構造的問題が、そのまま日本社会全体に悪影響を与えているような気がしてならない。 民放では番組の編成権・ニュースの中身の編集権等、放送内容の選択に関わる権限がキー局のみに集中。地方局はキー局の判断がバランスを欠いたとしても、それに 従うしかない。東京中心の発想で何もかも仕切られると、民放で放送されるのは東京にあるものばかりになる。例えば地方の若者達が文化的活動をアピールしたくても一向に全国ネットにはのらず、意欲ある若い才能・労働力は東京だけに集まっていく。(略)。 国土の均衡ある発展・地方分権は不可欠かつ喫緊の課題だが、民放系列はそれに逆行。 民放TV局は127局あり、キー局を中心に、おおむね5つの系列ネットワークにまとまっている。 系列局は番組を相互に供給し合う協定を結んでいるが、キー局が大部分の番組を制作。 この日本独特の民放ネットワーク制度では地方局はキー局の番組をそのまま放送すれば地域の市場規模に応じて電波料が自動的に東京から送られてくる。他方、地方局が本格的な番組を制作しようと優秀なスタッフを抱えていても稼働率が悪くなりがち。収益が上がる 全国ネットの枠は殆どキー局がおさえているから、いくら頑張っても赤字になるだけ。 週刊現代2009年10月10日号からミットモナイトが抜粋・要約 http://www.excite.co.jp/News/magazine/MAG7/20090928/45/ 54 名前:名無しさん@3周年[sage] 投稿日:2009/10/05(月) 02:31:58 ID:Ua6x67c3 地方局が良質番組を作っても不当に冷遇される。 朝日放送制作の『探偵!ナイトスクープ』という「長寿」高視聴率番組がある。(略)。が、キー局のテレ朝は冷淡で、かつて首都圏では午前2時過ぎという、とんでもない時間に放送していたが、それすら打ち切り。 人気番組が消滅に追い込まれた事例も。キー局のTBSは毎日放送制作の『中村敦夫の地球発22時』の放送曜日・時間帯・番組名を変え、視聴率は急降下。司会の中村氏がTBSに抗議したが毎日放送はTBSの顔色を気にして自ら中村氏を降板させ、番組制作を打ち切り。 (略)。番組内容の東京偏重はもはや構造的な問題なので、例えば国の施策として「全国ネット番組のうち東京発は6割に留め、残りは地方制作」といった規制も必要かもしれない。 ■「コネ力学」が働く 昨今、スポーツ選手がこぞって民放バラエティに出演しているが、これはごく最近の流れ。 80年代、私は長距離走選手がいかに速いかの検証番組の企画に参加。大勢のアナウンサーがリレーで走り、某実業団の長距離選手と競い、私達は大敗。が、これを知った日本陸連は「神聖なスポーツを冒涜する」と怒り出し、局に圧力をかけ、企画ごと潰してしまった。(略)。 が、ある時期から唐突に日本陸連はTVに甘くなる。ワイドショーでもバラエティでも積極的に選手を出演させるようになった。陸連幹部の子息のTBS入社が理由だと言われている。(略)。 つまり、それがどんな組織・団体であれ、キーマンの子弟を入社させればTV局の受けるメリットは非常に大きく、コネ採用は今や民放の重要な戦略。各局を見渡せば政財界・芸能・スポーツ・文壇・学術関係者まで様々なコネに後押しされた社員がいる。(略)。 コネ採用の横行で民放の社内では適材適所の人材配置を困難にする、よこしまな「力学」も存在するようになった。コネ社員が「仕事が面白くない」とふてくされ、社長に配置転換を直訴したという話をよく聞く。入社したばかりの平社員が社長に個人的に面談できるというのも異常だが、社会的地位の高い親が自ら積極的に介入するケースもあるから、たちが悪い。 民放にとって戦略としてのコネ採用は麻薬のようなもの。刹那的に元気になるがアイデアを生む社員の枯渇という致命的な副作用が待っている。 55 名前:名無しさん@3周年[sage] 投稿日:2009/10/05(月) 02:33:33 ID:Ua6x67c3 ■TV業界は不条理だ 民放TV社員の給料は高い。(略)。番組を作るハードな現場と、その他の部門との差も殆どない。 厚生部で保養所の手配を担当する社員が1500万円近い年収を得ている。その一方、人件費を抑えるため、局の経営陣は社員数を最小限に留め、番組制作業務の多くを下請けの制作会社・派遣労働者に割り振っている。そのため社員とその他のスタッフの待遇には大きな格差が。 ほぼ同じ仕事をするカメラマン同士なのに社員と社外スタッフの間で給与に3倍の差がつく場合も。 下請け制作会社の総数は1000社とも言われており、TV局側からすれば同じ職種の 複数の制作会社が乱立し、お互いに競争してくれるから局が支払う発注費はミニマムに抑え込めて、契約条件も局側優位になる。制作費の額が着手時に決まっていなかったり、作業中に唐突に減額されたりするケースはざらだ。番組が途中で打ち切りになっても補償もなく制作会社側の負担となる。こんな条件では制作会社の経営に慢性的に余裕が なくなるのは火を見るよりも明らか。スタッフはスキルアップができず、ユニークなアイデアを出しても局の社員に横取りされ、こき使われるだけの毎日に愛想をつかしていく。 某アニメ制作会社では見習い社員の初任給が5万円、一人前になってようやく10万円だという。 前述した例と比較するとTV局は番組を作るクリエイタ―10人分の給与を厚生部の一社員に払っている事になる。現代の不条理な格差社会を先取りしたような、こんな馬鹿げた給与格差を自ら営々と作り出してきた民放TV業界は、おかしいと言わざるをえない。 TVはなぜ誇りを失い、悪習はなぜ改善されないのか。TV局の社員は楽して儲かる現状を変えたくない。下請け・フリーのスタッフは言いたい事は山程あるが言えば干されるから口にしない。辛口の社会評論家はTVに出たいから見て見ぬフリをする。かくして旧体制はいつまでも温存される。怖いのはTVが何をどう放送するかは放送法により、ほぼ全面的に各局の裁量に委ねられている事。古い体制のままでは、ろくなものが生まれない。本来、TV番組は人々に深い感動と喜びを与え、時に社会を変える程のインパクトを生む。民放TVは一刻も早く構造改革に着手し「公共」の電波を他ならぬ視聴者のために有効に使ってほしい。(終) |