★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK76 > 864.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
わが意を得たり−作家加賀乙彦の東京新聞コラム(12月25日朝刊24面)で言及されていた記事の原文はこちら。 ⇒
以下は「東京新聞記事情報/G-Search」から検索、貼り付け。
=====================================
こちら特報部 脱・『不幸な国』日本 精神科医・作家 加賀乙彦さんに聞く カギは普天間問題 『米軍基地と公共事業から自立を』
2009.12.25 朝刊 24頁 特報1面 (全1,310字)
国内総生産(GDP)は世界二位なのに、社会保障は先進国で最低水準。格差は拡大し、自殺者は年間三万人、うつ病患者は百万人を超える。「本当に日本は不幸な国になった」と嘆く精神科医で作家の加賀乙彦さん(80)は、「この状況を脱するカギは米軍普天間飛行場にある」と言い切る。話を聞いた。(立尾良二)
自分の意見
若者は持て
加賀さんは、オバマ米大統領のノーベル平和賞受賞演説について「全く矛盾した言葉だった。『平和を守るために正義の戦いをすべきだ』と言ったが、ブッシュ前大統領と同じ。これでは日本人は憂うつになり、希望を失う。逆にいえば、日本は付き従っていた米国から、いまこそ自立する絶好の機会だ」と言う。
現在、長編小説を執筆中で「昭和十年から始まり、戦後の独立、高度成長を経て、阪神大震災前にバブルが崩壊したころの状況をちょうど書いている。資料を調べているうちに、日本の不幸の始まりは一九五二年、日米安全保障条約の発効にあることを確信した」と振り返る。
日本は同年、主権を回復するとともに、占領米軍の既得権をそのまま駐留米軍に認めた。「米軍基地と公共事業は関係がある。日本は防衛を米国に任せ、公共事業で高度成長を支えた。日本は米軍基地を通じて朝鮮戦争からイラク戦争まで加担したのだ。つまり日本の高度成長の裏には戦争がある」
バブル崩壊後も、むだな公共事業を続けて環境を破壊し、小泉政権の「聖域なき構造改革」で社会保障を切り捨て、国民は勝ち組と負け組に二分された。「日本は大きな曲がり角に来ている。このままでは破滅する。この不幸を脱するにはどうしたらいいか。政権交代が実現したからこそ、根本的に考えるべきだ」と力説する。
その試金石になるのが普天間問題という。「普天間を端緒に米軍基地をすべて撤廃すべきだ。防衛は自衛隊だけで結構。政治家もジャーナリストも『北朝鮮や中国の軍事的脅威から、米国が日本を守っている』『米国を怒らせたら大変なことになる』というが、全くの幻想だ。むしろ日本に米軍が駐留し続けているために、北朝鮮も中国も軍備増強に走る。米軍が日本から出て行けば、東アジアは平安になるのではないか」
加賀さんの主張は自衛力強化と受け取られて「軍国主義者と誤解されるが、私は戦争体験者であり、戦争は絶対にいやだ」ときっぱり。「日本が米国に守られているのなら、日米関係は同盟ではなく、日本は米国の属国になる。事実上の属国であることが日本の最も大きな不幸だ」という。
幸福な国を目指すには「経済的にも道義的にもきちんとした国になるべきだ。米国の力を借りずに、日本は自分の国でやれる時代に入ったと思う」と説く。
その上で、若い世代に対して「米軍基地に象徴されるように、誰かに全部任せっきりにして、『分からない』『興味がない』と考えることを放棄したり、『どうせ何も変わらない』と行動する前からあきらめる習慣から脱却しよう。これからは自分たちで考え、自分自身の意見を持とう」と呼びかける。
かが・おとひこ 1929年、東京生まれ。東大医学部卒。日本芸術院会員。犯罪心理学に詳しく「宣告」「死刑囚の記録」など著書多数。近著は「不幸な国の幸福論」(集英社新書)