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第405回
話題の新刊書「小沢一郎 嫌われる伝説」が贈られてきました。
著者は、昔、僕が「週刊ポスト」の編集長の頃に、
「反官僚キャンペーン」や「歯科高額診療費追及」
といった記事を徹底してお願いしてきた
剛腕の政治ジャーナリスト・渡辺乾介さんです。
渡辺さんは、数年前、
脳梗塞の危機から「奇跡の生還」を果たした強運の持ち主で、
まえに、このコラムでもちょっと紹介しました。
それはともあれ、本書は20年間・小沢一郎に肉迫した
第一人者ならではの力作ですから、
読めば、これからの「国のかたち」は
もちろん、一人一人のこれからの「生活のかたち」が
等身大で分かる巧みな構成で作られていますから、
ぜひ、年末年始の熟読の1冊としてお薦めします。
とくに、いま鳩山・民主党政権が主張している、
「脱官僚の政治主導」から
「国際貢献と日米安保」までの原理原則が、
10年前の自自連立政権
(小渕・自民党と小沢・自由党の連立)のときに提示した、
幹事長・小沢一郎の原理から一貫して繋がっている――
こうした符合に、改めて読者は驚かされるはずです。
ちなみに「寡黙屋、壊し屋=小沢一郎とは何者ぞ」といった
芸能週刊誌レベルの「人格占い」の謎解きに、
僕はあまり興味がありません。
政治・経済のプロのみならず、国民の一人一人が
じっくりと読んでおくべきポイントは、
「小沢原理主義」の詳細な内幕と本質と履歴でしょう。
ちょっと、話がそれるかもしれませんが、
このコラムでもいつも書いているように、
人生で大切にすべきは「健康と平和」であるとする、
マクロビオティックの始祖=≪食の革命児≫・
桜澤如一の原理が気に入って、
僕は食養生法を続けてきたわけですが、
本書を読んで実感したことは、
小沢一郎という≪政治の革命児≫の原理原則が
徹底して「生活と国際平和」にある――ということです。
2人の人生に何の接点はありませんが、
時代の天才的予見者とは、絶えず超然現実主義者である――
僕は、そんな感想も抱きながら一気に読みました。
ですから、「小沢は嫌いだ」いや「小沢を総理にしたい」
といった感性的な思いは、本書を読んでから、
改めて、再考したらよいでしょう。
もちろん、政治は一寸先が闇です。
来年の今頃、民主党が立ち往生するのか、
さらに自民党が埋没するのか・・・
それを超えた、日本人、一人一人の間尺に合った
「政治主導」のシステムが出来るのか?
興味津津にして、最大関心事の「太いモノサシ」の一本が
この書に予見的に込められています。
≪ブリキのパンツ≫という
官僚批判のキーワードがあります。
本書にも、一行、サラリと触れられています。
これは「真相を誤魔化す、口の堅い」
官僚を揶揄する言葉ですが、
戦後65年、日本人の一人ひとりはどうだったか?
譬えてみれば、国際平和、憲法遵守、
グローバル化、地球環境と合唱しつつ、
アメリカ仕込みの履き心地の悪い
≪ブリキのジーンズ≫を履かされて、
誤魔化して過ごしてきた――のではなかったか?
本書は、そうした問いかけを鋭く突き付ける
迫真の1冊です。