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【高橋乗宣の日本経済一歩先の真相】
2009年12月18日 掲載
民主党マニフェストを改変させた自民党の「負の遺産」
国債発行44兆円の呪縛
民主党がマニフェストの修正に乗り出した。ガソリンの暫定税率廃止を取り下げ、子ども手当には所得制限を設ける方針らしい。どちらも国民の暮らしに直結する政策である。負担の軽減を期待し民主党に投票した有権者は、裏切られたと感じるかもしれない。
しかし、最初からすべてを変えるのはムチャな話だろう。経済も財政も最悪な状況で自民党からバトンを渡されたハンディは大きい。「負の遺産」は、予算編成の根幹となる国債発行にも及んでいるのだからなおさらである。
鳩山政権は、国債発行の上限を44兆円とする基本方針を掲げた。これは麻生政権が第1次補正予算も含めて発行を予定していた額だそうで、目標としては非常に曖昧だが、鳩山首相が衆院選前に「これ以上増やせば国家が持たない」と発言し、数字がひとり歩きしたようだ。
それ以外に44兆円の明確な理由はない。財政規律と国債管理のバランスを考えれば、国債の発行額は少なければ少ない方がいいに決まっている。財務省によると、09年度末に普通国債の発行残高は600兆円に達するという。これ自体、自民党が長年積み上げてきた数字だが、さらなる大量発行があれば、国債の相場が下がり、長期金利が上がる。景気には悪影響だし、市場で消化しきれない国債について日銀が買い切りオペを活発化させる恐れがある。マーケットを通した事実上の日銀引き受けの復活だ。財政は節度を失って円の信頼も失墜する。
ただ、そのギリギリの境界線が44兆円というわけではない。50兆円を発行したところで大きな変化はないだろう。その程度の数字だが、どこで線を引くかといった政治判断は必要だ。
国債発行を抑制しながら主要政策の実現に7.1兆円を投じる。そんなマジックを可能にするはずだった行政刷新会議のムダ削減は、目標の3兆円どころか1兆円にさえ届かなかった。埋蔵金で10兆円を捻出するとしているが、膨らんだ歳出額を削らなければ、国債抑制は不可能だ。何でもアリは許されない。
しかし、現政権が決めるべき目標が前政権に引きずられては、手足をもがれたも同然だ。限定的な資金を有効に使うことに知恵を絞る前に、目に見えない亡霊を相手にしているようである。
【高橋乗宣】