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憲法解釈も「政治主導」?(法学館憲法研究所)
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投稿者 そのまんま西 日時 2009 年 12 月 23 日 23:06:06: sypgvaaYz82Hc
 

憲法解釈も「政治主導」?(法学館憲法研究所)
浦部法穂・法学館憲法研究所顧問
2009年11月12日

 平野官房長官が、記者会見で、「鳩山政権は、これまでの内閣法制局長官の憲法解釈に縛られない」、「政治主導だから、政治判断で解釈していく」旨述べたという(11月4日)。

 民主党政権は「脱官僚依存・政治主導」を掲げ、国会運営においても官僚の答弁を禁止するとし、先月7日には小沢幹事長が、内閣法制局長官も官僚だから答弁を認めないと述べていた。平野官房長官の発言は、その延長線上のものである。

 これまで、政府の憲法解釈については、内閣法制局長官が国会答弁をしてきた。それを禁止して、内閣法制局の見解にとらわれず「政治主導」で、つまり首相や官房長官などがその政治判断で、憲法解釈を示すというのである。

 内閣法制局は、法律専門家としての立場から、内閣提出法案・政令案などについて他の法律等と抵触する部分はないかなどを審査したり、憲法・法律に関して内閣や各大臣に意見を述べ、あるいは内閣としての統一見解を示すことなどを仕事にしている役所であり、「行政における法の番人」とも呼ばれている。

 各省庁が法案を提出しようとするときは、必ず内閣法制局の審査を経なければならず、また、憲法解釈については、歴代の政府は、一応内閣法制局の見解を尊重してきた。そして、国会法では、内閣法制局長官は公正取引委員会委員長や人事院総裁と並んで、独立性の高い機関の長として「政府特別補佐人」という形で答弁が認められている。

 内閣法制局が「独立性の高い機関」であるといっても、公正取引委員会や人事院のような独立行政委員会ではなく内閣の補助機関にすぎないから、政治から独立した存在ではありえない。とくに、その憲法解釈は、これまでの自民党政権の基本政策に沿った形で行われてきた。

 自衛隊を合憲とする論理も、アフガン戦争やイラク戦争への自衛隊派遣を合憲とする論理も、すべて内閣法制局の示した憲法解釈による。内閣法制局は、いってみれば、憲法をねじ曲げてきた「元凶」でさえある。内閣法制局の憲法解釈は、これまで、お世辞にも正当に行われてきたとはいえない。

 それでも、内閣法制局の存在意義は、その時々の政権の思惑に合わせてご都合主義的に解釈を変えるのでなく、これまでの解釈との整合性を保って「純粋法理論」的な「装い」を施す(一応法律論らしい論理を示す)ところにあるのであって、そのことが、時々の政権の「突出」に一定の歯止めをかけてきた部分もある。

 「集団的自衛権は行使できない」、「海外での武力行使は憲法9条のもとではできない」とする解釈は、変更すべきだとの政治的圧力が強まるなかでも、いまのところ、内閣法制局はそれを変更していない。

  要するに、時々の政権が「こういうことをやりたい」と考えても、それが、これまでの憲法解釈と整合的な形で「純粋法理論」的な「装い」を施しえないようなものであれば、内閣法制局としては「できない」といわざるをえないのである。

 そして、内閣が「やりたい」と言っても「法理論的にできない」と言える機関の存在とその判断を政府が尊重するという政治慣行によって、権力制限規範としての憲法の規範的意味が、かろうじて、まさに首の皮一枚で、残ってきたともいえるのである。

 小沢幹事長や平野官房長官の発言は、この「首の皮一枚」をも切り落としてしまおうとするものにほかならない。


 憲法解釈を「政治判断」で行うというのは、「政治」の都合のいいように憲法を解釈するということである。時々の「政治」の都合でどうとでも解釈できるようなものは、もはや「憲法」とはいえない。その意味で、小沢・平野発言は憲法の存在意義じたいを否定するものといわなければならない。


 もちろん、内閣法制局のこれまでの憲法解釈は、決して正しいものではないし、また、絶対視すべき筋合いのものでないのは当然である。先にも述べたように、それは、憲法をねじ曲げてきた「元凶」である。だから、先の平野発言が、かりに、そういう過去のねじ曲げた憲法解釈に縛られず「正しい」解釈をしていくのだという趣旨でのものだとすれば、それは結構なことのようにみえる。しかし、それでも、憲法解釈を「政治主導」で「政治判断」で行うというのは、立憲主義の観点から許されないとすべきである。

 実際には、「縛られない」ということの意味は、「集団的自衛権は行使できない」とか「海外での武力行使はできない」などの憲法9条解釈に縛られないということである。

 湾岸戦争、「9.11テロ」とアフガン戦争、そしてイラク戦争という流れのなかで、この憲法解釈を変更すべきだとする議論が、政治の場で大きく叫ばれるようになり、それに符合して、変更を認めない内閣法制局への風当たりが強くなってきた。

 小沢一郎氏は、この流れのなかで、内閣法制局批判のいわば先頭に立ってきた政治家であり、自由党党首だった2003年には「内閣法制局廃止法案」を提出している。平野官房長官の「縛られない」発言が、こうした9条解釈に縛られることなく「政治判断」の結果必要ならば海外での武力行使も認める、などのことを意味していることは、疑いない。


http://www.jicl.jp/urabe/backnumber/20091112.html  

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コメント
 
01. 2009年12月24日 09:13:07
”内閣法制局のこれまでの憲法解釈は、決して正しいものではないし”って
だったら、こればでだって同じだろうが。で、海外での武力行使を認めたのか。
そんなことないだろう。
これまでと違って、政治主導にするっていうならわかるが、これまでどおり
なんだろ。

空騒ぎばかり止めたら。あほかいな。


02. 2009年12月26日 11:14:47
>01
どう解釈したら「これまでどおり」と読めるんだよ。
少なくとも建前上は法制局見解を尊重していたのを政治(家)が全部決めるということなんだから。

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