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http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2009/12/post-3e0e.html
沖縄普天間基地移設問題、献金問題、天皇会見問題でマスメディアが鳩山政権攻撃を激化させたために、各種世論調査での鳩山内閣支持率が低下した。しかし、鳩山政権に失策はない。政官業外電の悪徳ペンタゴン勢力が2010年参院選に向けて、利権政治復活のために情報操作を中心とする工作活動を活発化させていることが、世論調査結果変化の基本的背景である。
鳩山政権はこうした特殊な力が強烈に働いていることを認識して、今後の戦術を構築する必要がある。
このなかで、2010年の参院選に向けて最重要課題になるのが経済政策運営である。グリーンスパン前FRB議長が「100年に1度の金融津波」と表現した米国発の金融崩壊が世界経済に重い影を落とした。
米国も日本も巨大な財政政策を発動して経済の最悪期を抜け出したものの、先行き不安は依然として強い。2010年に向けて、日本の経済政策は経済回復誘導に軸足を置かねばならない。
日本の財政収支が劇的に悪化してしまったことが経済政策運営の大きな足かせになっており、現に鳩山政権は財政収支悪化に強い警戒感を払い始めている。
日本財政を立て直すことは中期的に極めて重要な課題である。100兆円の予算規模で税収が36兆円しかないことは、誰が見ても非常事態だと言わざるを得ない。鳩山政権が財政収支悪化に極めて神経質になることは当然のことである。
しかし、財政収支が悪化しているから、直ちに「超緊縮財政政策」を実行すべきかと言えば、そうではない。経済に強い下方圧力がかかっている局面での緊縮財政は「百害あって一利なし」である。1997年度も2001年度も、財政収支改善を最優先課題に位置付けて、政府は大失策を犯した。
「急がば回れ」が正しい判断である。
2010年度に向けて鳩山政権は「経済回復優先」に軸足を置かねばならない。そのためには、国民新党と社会民主党が一致して求めている、「第2次補正と2010年度当初予算で102.5兆円超え」を実行することが不可欠である。
補正規模を7.2兆円と置くと、当初予算規模が95.3兆円でこの基準を満たすことになる。
2010年度税収見積もりを仮に36兆円とし、国債発行金額を44兆円とすると、税外収入で15.3兆円調達しなければならない計算になる。
読売新聞報道によると、国民新党代表の亀井静香金融相が12月20日、名古屋市で講演し、2010年度予算編成に関して鳩山首相と電話で協議したことを明らかにした。
亀井氏の発言によると、亀井氏は首相に対して「財務省があなたの組もうとしている予算に対し、財源として特別会計から15兆円程度出すことに『どうしてだ』と(反対の意見を)言ったら、勝(栄二郎)主計局長を首にすべきだ。人事を一新しなさい」と助言したとのことである。
亀井金融相は、95兆円規模の予算規模を確保するためには、税外収入を15兆円確保する必要があることを指摘したのである。
これまで本ブログで指摘したように、不足する財源を、国債発行に求めることと、いわゆる「埋蔵金」と呼ばれる政府資産取り崩しによって調達することとの間に経済効果上の差はない。
しかし、経済学の素養がまったくない低質なマスメディアが「国債発行44兆円の公約を守れ」と五月蠅(うるさ)いのなら、国債発行ではなく、埋蔵金活用を選択するのが賢明だろう。
政府は膨大な資産を保有しているから、15兆円の埋蔵金を活用することに障害はまったく存在しない。税外収入を15兆円確保して当初予算規模を95兆円にすることは、現在の経済情勢を踏まえると正しい選択である。
金融市場は政府の基本スタンスを見極めようとしている。予算規模を92兆円とするのか95兆円とするのかに実はそれほど大きな差があるわけではない。しかし、92兆円が「財政収支優先」を示し、95兆円が「経済回復優先」を示すと市場が受け取るなら、その違いは決定的に重要なものになる。
金融市場は政策当局の基本姿勢を何よりも重視するからである。
詳細は12月24日発行予定の『金利・為替・株価特報099号』に記述するが、年末の政府予算案決定に向けて、この点が最大の焦点になると考えられる。
鳩山首相がリーダーシップを発揮して2010年度予算を景気回復優先予算にすることを宣言し、民主党の政権公約を守ることを軸に当初予算規模を95兆円に拡張すること
を決定すれば、大きなプラスの「サプライズ」が生じることになる。
「景気」の「気」は「気学」の「気」に通じるものである。政策方針の旗幟を鮮明にすることが、経済主体の心理に大きな影響を与えることを重視するべきだ。
年末の予算編成に向けて、政権与党内での権力闘争が再現される可能性が高いが、亀井金融相が指摘するように、鳩山政権の経済政策運営が財務省に主導されてしまうなら、鳩山政権は2010年にかけて大きな重荷を背負うことになる。鳩山首相の賢明な判断が強く求められる。