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「金持ちに子ども手当てやるのは、許せない!」という感情論が世の多数を占めていますが、所得制限はどうみても愚策。
そのような感情論に対しては、累進課税を強化することによって応えればよいだけです。
以下の2つの社説に所得制限した場合の問題点が列挙されている。
・膨大な経費と手間がかさむ。=税金の無駄遣い
・労力をかけても国民の所得を正確に捕捉できない。なぜなら、納税者番号制度が導入されていないから。
・所得制限の額を思い違いして、受給できるのに請求していない人が多数出る恐れ。
・線引きラインをはさんで、家計収入の逆転が生じる。
【社説:子ども手当 所得制限は愚策だ】
新政権は、目玉政策「子ども手当」に所得制限を設けることを検討している。
苦しい財政事情から、初年度で2兆3000億円、2011年度以降は5兆3000億円にのぼる財政負担を抑え込む狙いのようだ。
しかし、制度の趣旨からも技術的な面からも問題は多い。子ども手当の所得制限は、やはり不要である。
私たちは、次世代の育成と国の関与について思想の大きな転換だとして、子ども手当創設を評価した。
鳩山由紀夫首相が強調する「子どもを社会全体が育てる発想。所得制限を考えないのが基本線」との理念を支持してきた。
そして、認定や給付の作業にあたる市町村の手間、費用なども考え、所得制限はなくていいと重ねて主張した。
首相も当初方針を貫く姿勢を見せていた。
ところが、予算編成の大詰めでの民主党の要望が状況を変えた。
支給の上限として、国会議員の歳費を参考に課税所得2000万円で線引きする案がある。
対象外になるのは1%未満で予算圧縮効果は乏しい。
全市町村で計数十億円の経費とそれなりの人手をかけ、やる価値があるだろうか。
「裕福な家の子まで支給するのは釈然としない」という声を封じる程度の意味しかない。
現行の児童手当と同じ年収800万円台・課税所得600万円台で線引きする案もある。
10%が対象からはずれるため、予算も相当額が圧縮できる。
児童手当と同じなので、市町村の事務作業もやりやすい。
だが、新たな問題が起きる。線引きラインをはさんで、家計収入の逆転が生じるのだ。
支給対象の子が2人いる場合、所得の上限を1万円でも下回れば年間約62万円(初年度は約31万円)が入り、1万円でも超えればゼロになる。
大手企業の従業員への今冬のボーナス平均額は約70万円だった。
その手取りに相当する額が、あるか、ないかの差は非常に大きい。
さらに扶養控除が予定通りに11年度から廃止されれば、ギリギリで対象からはずれた世帯には年10万円以上の負担増だけがのしかかる。
児童手当にも同じ問題はあった。
しかし、対象が小学生以下から中学生以下に広がり、
5000円か1万円だった月々の支給額も初年度1万3000円、次年度以降2万6000円に増え、問題の大きさは比較にならない。
落差をならすために段階的な支給額にするのは、制度を複雑にし事務作業を煩雑にするだけだ。
そもそも民主党に所得制限を求める陳情があったのだろうか。
理念に目をつむって、真剣に検討すべき「国民の声」とは思えない。
問題山積の年末である。ほかのことに時間や手間を振り向ける時ではないか。
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20091219k0000m070128000c.html
【社説:子ども手当 所得制限なしでいい】
新政権の目玉政策「子ども手当」について、所得制限を求める声が根強い。
なぜ裕福な家庭まで対象なのか、という素朴な思いはもっともだ。
だが、実際に所得制限を設けるとなると、技術的な問題は大きい。
子ども手当は所得にかかわらず中学卒業まで1人月2万6000円(来年度は月1万3000円)を支給する。
今週の毎日新聞の全国世論調査では「一律支給でいい」は15%にとどまり、「所得制限を設けるべきだ」との回答が57%にのぼった。
所得制限を検討する時、参考になるのは現行の児童手当だ。
3歳未満は月1万円、3歳児以上小学生までは1子、2子は月5000円、3子以降月1万円を支給しており、
子どもの数などに応じて課税所得額による所得制限を設けている。
所得階層の上から3分の1、年収にするとおおむね800万〜1000万円を超える層が除外されている。
受給の手続きとしては、子が生まれたり転入したりした時に市町村に認定請求書を出し、
継続して受ける場合も毎年6月に「現況届」を提出しなければならない。
所得の証明書類が必要な場合もある。
一方、市町村はまず、受給対象とみられる世帯に現況届の記入用紙を郵送する。
そして請求や現況届の内容を課税台帳などと突き合わせて所得や扶養状況を確認し、口座に振り込む。
他の市町村に照会しなければならないこともある。
こうした作業に臨時職員を雇うなど、人口50万人規模の市で毎年400万円程度がかかっている。
全国約1800の市町村で毎年数十億円が費やされている計算だ。
子ども手当は対象も広がるので、経費も手間もさらにかさむだろう。
これだけ労力をかけても国民の所得を正確に捕捉できていない現状では、不平等をなくす仕組みとは言いがたい。
サラリーマンはともかく、自営業らの収入はきちんと把握できていないし、株取引などで得た利益は分離課税で所得制限の枠の外にある。
また、所得制限の額を思い違いして、受給できるのに請求していない人も少なくない。
菅直人副総理が「納税者番号がない場合は必ずしもうまくいかない」と否定的な見解を示したのは、こうした事情があるためだ。
そもそも、子ども手当は「社会全体ですべての子どもを支える」との理念に基づく。
今まではなかった、新しい国の姿を形作っていく手段でもある。
定額給付金のような急繕いのバラまきではない。
「すべての子ども」でなくなれば理念は崩れてしまう。
新政権は所得制限の技術的な難しさとともに、子ども手当の理念について根気強く説明し、国民の理解を得なければならない。
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20091127k0000m070126000c.html
関連:
子供手当ての所得制限反対。ベーシックインカム賛成派の経済評論家・山崎元氏も反対の立場/所得制限より富裕層への増税を
http://www.asyura2.com/09/senkyo71/msg/615.html
子ども手当所得制限は困る 「牧村しのぶのブログ」
http://www.asyura2.com/09/senkyo71/msg/670.html