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From : ビル・トッテン
Subject : 高度成長時代の政策を
Number : OW900
Date : 2009年12月14日
厚生労働省は去る10月、過去10年間のOECDのガイドラインに沿った「相対的貧困率」データを発表した。
(ビル・トッテン)
高度成長時代の政策を
相対的貧困率とは、国民1人ひとりを可処分所得(所得から所得税や住民税、社会保険料などを差し引いた所得)の高い順にならべたとき、その中央値の半分に満たない人の割合を示したものである。なぜ「相対的」かというと、国によって「貧困」のレベルが異なるためであり、たとえば日本では年収100万円で貧困だが、貧しい国なら豊かな暮らしができるからだ。
この調査によれば、日本は貧困率の高さで、メキシコ、トルコ、アメリカに次いで、OECD諸国中4位だった。約15%、2,000万人の人が貧困線以下の暮らしをしているということである。7.3%だった1984年から倍以上になり、日本国民の6人に1人が貧困線以下、月約10万円以下で生活をしている。もちろんこれは、小泉内閣時代に推し進められた「構造改革」がもたらした一つの結果にすぎない。
私が子供の頃、アメリカで共稼ぎ世帯は多くなかった。それでも自分の家を持つことはできたし、今ほど消費欲に毒されていなかった人々は、物質的には質素ではあったかもしれないが今よりもずっと豊かに暮らしていくことができた。私の母がそうであったように、多くの母親は家にいて子育てに専念することができたし、父親1人の稼ぎでも子供たちを大学にやることは可能だった。今のアメリカでは両親が二人とも働かなければ、いや、働いていても家を持つこと、子供を大学にやることは難しいし、それどころか仕事を見つけることすら、困難になっている。そのアメリカの政策を次々とまねてきたのだから、この日本の現状は不思議でもなんでもない。
今でもオバマに期待を寄せる人は、アメリカの雇用の安定が民主党クリントン政権時代に崩れ始めたことを忘れている。その時代に多くの職が海外へ流れ、アメリカから製造業がなくなった。チェンジを打ち出し、ノーベル平和賞を受賞しても、民主党オバマ大統領は、国家予算の半分以上もの軍事費を使う戦争を止めさせることはできないし、公的資金で救済されたウォール街の金融機関の従業員は、あいかわらずこの冬も高額のボーナスを手にするだろう。
日本はいい加減にアメリカをまねるのはやめ、たとえば貧困率が最も低いスウェーデンやデンマークの政策を検討するべきだ。いや、それよりも日本が手本とすべきは、日本がもっとも成功していた昭和の高度経済成長時代であり、その時代の政策に戻せばよい。
当時は金持ちを減税したり、大企業の福祉を増やすような政策がとられることはなかった。高い累進課税率によって大きな貧富の差がでないよう配慮され、国がさまざまなインフラ整備を行い最大多数の国民の生活を向上させる再配分が行われていた。
政府が税金を集め、それを国民に分配し、個よりも全体の利益を優先して特定の産業を保護したり国営事業をおこない、それによって国民の多くが普通の、中流の暮らしができること。貧富の格差を最小にすることは、政府の大切な役割の一つだということを忘れてはならない。