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http://blog.livedoor.jp/ikedakayoko/archives/51308049.html
2009年12月20日00:00
カテゴリ米海兵隊が災害救助隊になる日?
米上院では、国防予算案が全会一致で委員会を通過しました。
あれ? 辺野古移設が決まらなければ、米議会は海兵隊のグアム移転予算を認めないんじゃなかったでしょうか? 10月末に来日したゲイツ国防長官が、そう言っていました。メディアは、「アメリカの最後通牒だ」と書き立てました。
なのに、何事もないどころか、コペンハーゲンでは晩餐会で隣り合った鳩山さんとクリントン国務長官のあいだで、普天間問題は「時間がかかる」「わかった」というやりとりがあったそうです。拍子抜けと言えば拍子抜け。
「最後通牒」「日米関係、亀裂深まる」と煽ったメディア、いったい何だったのでしょう。この間のメディアの大騒ぎ、わたしはよく憶えておこうと思います。
米政府の中には、「日米安保はもういい、横須賀と嘉手納だけ使えれば」という見方もあるとか。えっ? それって、アメリカは海兵隊を日本に置くことは考えていない、ということでしょうか? だって、横須賀は第7艦隊が、嘉手納は空軍が使っているのですから。
ゲイツさんは、10月21日の北澤防衛相との会談冒頭、言いました。「日米同盟は米国の北東アジア政策の礎であり、この地域において日米両国は複雑な状況に直面しているが、日本が指導力を発揮している災害救援・人道支援の分野における協力など、日米協力を強化するチャンスである。」(防衛省サイト)
半田滋さんによると、ゲイツさんは、「アジアの最大の脅威は災害だ」と語ったそうです。アジアに軍事的脅威はない、というわけです。なんと大胆な。アメリカにとって、それを言っちゃあおしまい、ではないのでしょうか。あ、そうか、アメリカにとってではなく、日本の対米追従派にとっておしまいなのでした。
北澤会談での発言は、「アジアの最大の脅威は災害」発言と呼応しています。すくなくともこの点で、ゲイツさんはブレていません。アメリカは国際緊急援助に本気なのではないでしょうか。すでに05年のパキスタン大地震には、海兵隊を派遣しています。
ところが、災害援助なんてやったことない海兵隊、被災地でバスケットボールをして遊んでいたそうです。当時のムシャラフ大統領は、日本の救援隊キャンプには謝辞を表すために訪れたのに、アメリカ海兵隊キャンプは素通りしたそうです(感謝されたことは報じず、感謝されなかったとされる湾岸戦争への拠金はしつこく言い立てる外務省とメディア!)。
パキスタンでの海兵隊のていたらくを、国防長官のゲイツさんが知らないはずはありません。だとしたら、「日本が指導力を発揮している災害救援・人道支援の分野における協力など、日米協力を強化するチャンス」とは、「これからは、うちもアジアでのプレゼンスは災害救援で示していきたいんです。だけど経験が浅い。そこで、実績豊かな日本さん、なにかあったらいっしょに行動して、いろいろ教えてやってください」という意味になります。
けっこうなことではないでしょうか。国際緊急援助隊は、「高速病院船があったなら 海の彼方の大地震」(10月2日)に書いたように、小沢一郎自治相(当時)の発想がもとになっています。自衛隊の海外(軍事)派遣を主張するようになってからは、みずからが生みの親であるこの人命救助による国際貢献組織のことは、とんと口になさらないようで残念です。この際、思い出していただきたいものです。
そういえば、鳩山さんも、このあいだのアジア太平洋経済協力会議(APEC)で、自衛艦を被災地への医療援助船「友愛ボート」に転用する、というアイディアを披露しました(記事はこちら)。さては、わたしのブログをお読みになった? 冗談です、もちろん。
軍事的危機のないアジアで高価な自衛艦を活用するには、「友愛ボート」、いい発想だと思います。日本は、国際緊急援助について、アメリカに手本を示せばいいのです。すでにアメリカは、すくなくともゲイツ国防長官は、災害発生から24時間以内に出発する日本の国際緊急援助隊を、成功モデルとして、羨望のまなざしで見ているのですから。
気候変動で、災害が激甚化し、頻発するようになりました。そうした「災害で亡くなる100人のうち 90人以上は貧しい国の人です」(『世界がもし100人の村だったら 完結編』より) もしもアジアの人命救助の分野で日米が協力したら、アメリカ側から派遣されてくるのが海兵隊などの軍隊だったら、日本の援助隊と力を合わせて、人のいのちを救うために働いたら……これは地味なようでいて、安保条約を、ひいては軍事国家アメリカを変質させる糸口になるかもしれません。
以上、きのう予告した半田さんの「米軍脱軍事化計画」を、わたしの主観で敷衍してみました。