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普天間移転をこじれさせた歴代自民党政権と役人の大罪
2006年9月に何があった?
普天間基地の移転問題で揺れる鳩山政権。大マスコミは「このままでは日米関係に亀裂」と大騒ぎだが、コトをここまでこじれさせた元凶は歴代自民党政権と役人にある。とくに怪しいのが2006年9月の動きだ。日本では小泉政権が安倍政権に代わり、防衛庁長官は額賀福志郎から久間章生に交代した。このとき、何が起こったのか。鳩山政権は全情報を公開させるべきである。
今月11日、国会で超党派の議員が集まる「沖縄基地問題議員懇談会」(事務局長・川内博史衆院議員)が開かれた。
講師に招かれたのは伊波洋一・宜野湾市長。防衛省や外務省の担当者も顔を揃えた。
この会議で伊波氏は、米軍が普天間基地の海兵隊ヘリ部隊を、ほぼそっくりグアムに移転させる計画を持っていたことを示す証拠を出した。米海軍省グアム統合計画室が作った「グアムと北マリアナ諸島の軍移転」に関する環境影響評価書だ。文書は沖縄のジュゴンを守るために米国で起こされた裁判で出てきた資料で、全9巻8100ページに及ぶ膨大なもの。この中の第2巻と第3巻に沖縄の海兵隊移転の詳細が記述されていて、海兵隊の司令部だけでなく地上ヘリ部隊や迫撃砲隊、補給部隊に至るまで、大半をグアムに移転させる計画が出てくるのだ。
沖縄の海兵隊のほとんどがグアムに行くのであれば、日本国内に普天間基地の代替施設を造る必要はない。基地問題は解決だ。
しかも、海兵隊の“丸ごとグアム移転計画”は06年7月、米太平洋軍司令部が作成した「グアム統合軍事開発計画」の中にも出てくる。
「海兵隊航空部隊とともに(グアムに)移転してくる最大67機の回転翼機と9機の特別作戦機CV―22航空機用の格納庫や、離着陸用パッドなどを建設する」ことが明記されているのである。普天間に駐留する海兵隊の回転翼機は56機。全部移動させても、まだ、格納庫は余る。辺野古に滑走路なんて要らないのである。
●米国の“丸ごと”グアム移転計画をひた隠し
ところが、この「開発計画」は2カ月後に国防総省のホームページにアップされたものの、たった1週間で削除されてしまう。
そして、自民党政権はその後、「グアムに移転するのは司令部だけ」と言い出し、沖縄に残る実動部隊のために代替基地を造ることが“既成事実”であるかのような国会答弁を繰り返してきたのだ。
「その食い違いが今回、伊波市長が公開した資料でも明らかになったわけですが、問題はなぜ、国防総省がHPを削除したのか。この時期、日米で何らかの談合、合意があり、グアム移転の詳細を曖昧にする必要に迫られたからだと思います。日本政府はグアム移転の費用のうち、61億ドルを負担する。しかし、米軍はもっと基地を強化したい。日本の税金4000億円で代替基地を造り、思いやり予算までくれると言うのを断る必要もない。日本側は日本側で海上を埋め立て、新基地を造れば、利権になる。そのために移転の核心情報をひた隠しにし、辺野古移転をゴリ押ししてきたとしか思えません」(ジャーナリスト・横田一氏)
国会で開かれた懇談会では民主党議員らが役人の説明と米国公開資料の食い違いを厳しく指摘。「どちらかがウソをついている。米国に再確認して回答を文書で出せ」と迫った。役人たちは「政務三役と相談して……」などと逃げようとし、「国会軽視だ」と激論になった。
問題がここまでこじれた以上、洗いざらい情報を公開させて議論をしなければダメだ。