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鳩山首相が昨夜、米国のルース大使に、普天間基地の移設先を当面決めないことを伝えた。
これに対する、ワシントンのクローリー米国務次官補のコメントは予想通りだった。
「われわれは移設が日本にとり複雑な問題だと分かっている」。
一定の理解を示したと、時事通信は伝えている。
急に米政府が物分りが良くなった印象だが、とくに日米関係が良くなったわけでも悪くなったわけでもない。日本のメディアが勝手に「日米同盟の危機だ」と騒いでいるだけである。
これまでにも何度か書いたように、米国としては沖縄海兵隊のグアム移転予算が差し迫った問題だった。
国防総省が要求していた3億ドルあまりのグアム移転予算について、米下院はそのまま通したが、上院では11月17日の本会議で、予算額の70%を削って可決していた。
グアム移転については日本政府が移転コストの60%を負担することになっている。防衛省は来年度概算要求に、その単年度分を盛り込んだが、日本の新政権がそれを認めるかどうかを見極める必要が米国側にあった。
週刊朝日の12月25日号に、11月13日の日米首脳会談における鳩山首相とオバマ大統領のやりとりが具体的に書かれている。
オバマ大統領 「米国議会は、鳩山政権が前政権が合意したとおり総額100億ドルの移転経費の6割を負担するのか、新政権の方針が見えないと言っている。合意した負担割合は守られるのか?」
鳩山首相 「トラスト・ミー」
「トラスト・ミー」の真意は、辺野古への移設ではなく、グアム移転経費の負担について「信頼してください」とオバマに約束したものだった。
そして、12月6日、岡田外相はルース大使に「県外移設を検討したい」と伝え、ルース大使はこれを了承した。
ところが、その直前に防衛省から「グアム移転経費がゼロ査定になった」と聞いていたルース大使は、「トラスト・ミーと首相は言ったじゃないか」とまくしたてたという。
しかし、岡田首相が確認すると、鳩山首相は次のように語った。
「米議会の対応が見えないので復活折衝で私が決めるという整理にしてもらいました。安心してくださいと大使に伝えてください」(週刊朝日)
12月8日、この鳩山首相の言葉が伝わった米国議会では、大きな動きが起きていた。両院協議会で、沖縄海兵隊のグアム移転予算が3億1000万ドル、すなわちほぼ満額で復活することが認められたのである。
こういう経緯があるからこそ、鳩山内閣はあるていど安心して普天間問題の先送りを決めることができたといえる。米国政府の柔軟なコメントの理由も納得できるはずだ。