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http://www.news.janjan.jp/government/0912/0912114300/1.php
「二階氏続投」認めた自民党執行部の苦境
さとうしゅういち2009/12/12
■西松疑獄で秘書立件
自民党の二階経済産業大臣(当時)サイドに西松建設からお金が流れていたとされる西松疑獄・二階ルートで東京地検特捜部は、12月9日、二階さんの政策秘書・長田武敏被告人を東京簡裁に略式起訴しました。長田被告人は即日、簡裁から罰金100万円の略式命令を受け、直ちに納付しました。
また、お金を贈った西松元社長の国澤幹雄さん(7月31日有罪確定・執行猶予中)は不起訴処分(嫌疑はあるが、小沢事件やパーティ券事件で起訴された事を考慮し、起訴猶予)となりました。これにより、西松疑獄は事実上捜査が終結しました。
長田被告は、西松との窓口になっていました。二階さんの政治団体「新風会」が西松側から大阪市内に貸してもらっている事務所の家賃(3年間×300万円/年)を、二階さんの政党支部(自民党衆院和歌山第三選挙区支部)への社員による個人献金を偽装して補填してもらったわけです。
■ヤメ検弁護士介し露骨な手打ち
小沢さんや鳩山さんの疑惑を捜査している以上、バランスを取らざるを得なかった。西松と二階さんサイドの癒着ぶりは公判では明らかにされることはありませんでした。東京新聞によると、東京地検特捜部OB(いわゆるヤメ検)が、二階さんサイドの弁護士になってから、長田被告人が容疑を認めるようになったそうです。
蜜月支えた金庫番 西松献金 罰金の秘書 二階氏名代も務める 東京新聞http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2009121002000050.html
早い話が「地検と二階さんが手打ち」をしたという按配です。
二階ルートでは、二階さんの派閥「新しい波」のパーティ券購入と、今回の起訴事実となった偽装献金が主な疑惑として挙げられます。
市民団体・政治資金オンブズマンは、お金を贈った側の国澤さんと、パーティ券を買ってもらった「新しい波」の会計責任者で運輸官僚出身の参院議員・泉信也被疑者らを告発。
パーティ券事件については、東京地検特捜部は全員を不起訴処分としましたが、検察審査会にオンブズマン側が不服申し立てをし、国澤さんが起訴相当、泉被疑者らは「不起訴不当」となりました。そして特捜部は国澤さんのみを追起訴、泉被疑者らは不起訴としました。
しかし「違法献金事件」は選挙にも配慮してか、捜査は延び延びになっていました。ただ、このまま「不起訴」にしたら、検察審査会から今度は2回連続「起訴相当」議決が出かねませんでした。春先のマスコミ報道を見る限り、誰がどうみても言い逃れが出来ない状況なのですから。
現実に「二階さんのおかげで道路が出来た」と喜んでいる県民も多いわけで、二階さんが過去の選挙で衆院和歌山三区において連続当選してきたゆえんです。
ザ・選挙/政治家情報http://www.senkyo.janjan.jp/diet/profile/0079/00079519.html
ある意味、二階さんが、「受託収賄になりかねない事」をしていたのは選挙民も認識しており、それを「よし」として二階さんに投票してきたのですから・・・。まあ、自民党の大物議員ならよくあるパターンですが。
それだけに、検察が不起訴にしたはいいが、2回連続起訴相当議決となれば、5月21日からスタートした「起訴議決」制度により、弁護士が強制的に起訴します。
検察審査会http://www.courts.go.jp/kensin/
そうなれば、検察の面子は丸つぶれです。さらに、「やっぱり自民党を検察がかばっていた」と非難ごうごうでしょう。また、二階さんにとっては、法廷で不都合なことが暴かれることになりかねません。
自民党が野党になった今、検察と二階さんが法廷で公判をしない「略式起訴」という穏便な形で済ませた、ということです。今回の処分自体、「見え透いた茶番」と批判されても仕方がない。
西松建設「二階ルート」、なぜ忘れた頃に立件? JanJanニュースhttp://www.news.janjan.jp/government/0912/0911293795/1.php
■「当然の結論」? 選対局長留任
本人は立件されませんでしたが、「西松ズブズブ」政治を行なってきた二階さんの道義的な責任は、重いのではないかとも思われます。
そもそも、政策担当秘書の長田被告人が、政策立案も少しはしていたかもしれませんが、主に企業との窓口を務めていたというのですからちょっと呆れた話です。それこそ、状況によっては、政策秘書給与の詐欺容疑にさえなりかねない(過去には同容疑で山本譲司さんや辻元清美さんが逮捕されています)。
しかし、自民党は二階さんの政治責任を不問とし、選対局長を続投させました。
これでは、鳩山総理や小沢幹事長を攻撃できなくなるではないか、という声も自民党内にないことはなかった。しかし、谷垣総裁は、二階さんを不問に付しました。来年の参院選へ向けての責任者である選対局長も続投させ、処分も行いませんでした。
ただ、これはそんなに驚くべき結論ではありません。
自民党は企業献金に依存してきた政党です。二階さん以外でも森元総理、尾見元国務大臣ら、西松からお金をもらった人は多くおられます。
さらに、党の成り立ちからして、冷戦構造を前提とした、財界による「反共」「資本主義体制護持」を旗印とした「利益配分団体」が本質です。近代的な意味での政党ではなく、極論すれば大中小の企業が利権という共通項で結びついている政党です。開発途上国にはよくある「開発独裁」のひとつでしょう。アジアで言えばインドネシアの「ゴルカル」が一番近いでしょう。
ゴルカル - Wikipedia
理念はなく、いい加減といえばいい加減、融通無碍といえば融通無碍だったのです。そんな自民党ですから、「二階さんは責任をとらなくていい」という雰囲気になってしまうのは当然です。
第一、「こんなこと」で責任を取らせていたら自民党で役職を勤められる人は極論すれば一人も居ないでしょう。二階さんはダーティですが、今回の総選挙における大逆風でも小選挙区当選(相手に比例復活は許しましたが)を果たすなど「選挙技術」はあるわけです。
■人材払底示した二階留任
しかし、自民党は、「二階留任」で、小沢・鳩山攻撃の勢いをそがれ、野党としてのチェック機能は果たせなくなります。
一方で、自民党はもう野党です。与党時代のように利益誘導はできません。二階さん個人はなんとか当選できても、若手議員は「利益誘導に頼れない選挙」を戦わなくてはいけないのです。
そもそも「企業さえ良ければ良い」という時代ではなくなっています。「派遣切り」を持ち出すまでもなく、企業主導のセーフティネットから外れてしまう人が多く、貧困が問題となる中で、企業ばかりを向いた自民党的な政治は時代遅れです。
だが、二階さんより選挙がうまい人はそうはいない。また、二階さんは、とくに経済・産業分野において「それなり」には政策通であることも事実です。
政策や選挙技術に「それなり」に優れた二階さんを斬って、野党としての筋を通すのも地獄でしょう。とにかく人材が見当たらない。
しかし、二階さんを続投させて、野党としての筋は放棄しつつ、二階さんの力で地方の議席を確保する道もありでしょうが、この場合は都市部の支持をさらに失い(現に総選挙でも自民党支持層が「みんなの党」に流れている)かねず、地獄でしょう。
国民の目線に立って、時代にマッチした理念とビジョンを示し、党を引っ張っていくようなリーダーがいれば問題はない。しかし、そういう人が見当たらないことに今の自民党の閉塞状況があります。
河野太郎さんら若手に思い切って任せるという手もあるでしょうが、それは森元総理ら、ベテランが絶対に「うん」と言わないでしょう。
二階問題では若手もそれなりに執行部に反発はしているようです。
自民若手が二階氏役職辞任要求、執行部に反発 読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20091211-OYT1T01215.htm
が、現行選挙制度のもとで、党公認を得られないと当選が無理という状況があり、どこまで執行部にたてつけるかどうかは不透明です。
「麻生おろし」腰砕けにした選挙制度の功罪 JanJanニュースhttp://www.news.janjan.jp/government/0907/0907187332/1.php
民主党も党内から見ても「大丈夫かな」と思うことも多いのです。しかし、「二階留任」を選択した自民党執行部のどうしようもない閉塞状況が2009年の政治状況を決定付けているでしょう。
◇ ◇ ◇
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