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2010年1月 5日 (火)
藤井財務相辞意表明に鳩山首相が示すべき方針
民主党の藤井裕久財務相が健康上の理由で財務相を辞任したいとの意向を鳩山総理大臣に伝えたことが報道されている。時事通信は次のように伝えている。
「藤井裕久財務相(77)は5日、首相官邸で鳩山由紀夫首相と会い、健康不安を理由に辞任したいとの意向を伝えた。これに対し、首相は「検査結果次第だが、これからも頑張ってほしい」と慰留した。政府関係者が明らかにした。藤井氏は昨年末から検査入院中で、通常国会乗り切りに不安を漏らしているとされる。「医師の判断を尊重する」とも語っており、辞意は固いとみられる。
藤井氏が辞任すれば、昨年9月の鳩山政権発足以来、初の閣僚交代となる。18日召集の通常国会で、首相が早期成立を目指す2009年度第2次補正予算案や10年度予算案の審議にも影響は必至。政権には大きな痛手となりそうだ。辞任した場合の後任には、野田佳彦財務副大臣の昇格や、菅直人副総理兼国家戦略担当相、仙谷由人行政刷新担当相の横滑りが取りざたされている。」
藤井財務相は77歳と高齢であり、2010年度予算編成作業での疲労が蓄積したうえ、血圧が上昇し、昨年12月28日から都内の病院に検査入院している。健康上の理由とのことであれば、無理を強制することは難しい。鳩山首相は早急に後任人事を検討しなければならなくなる。
財務相は内閣閣僚のなかでの最重要ポストである。経済状況が極めて深刻である一方、財政赤字が激増し、財政政策運営が極めて難しい局面を迎えている。この局面で政策運営の鍵を握るのは予算運営であり、財務相が文字通り内閣の要の役割を演じることになる。
2010年度予算編成に際しては、財政赤字拡大を背景に抑制的な政策運営を実施するべきであるとの財政緊縮論と、景気回復こそ最優先課題であり短期的な財政赤字拡大を容認して景気支持策を明確に示すべきとの景気対策優先論とが対峙した。
結局、鳩山首相は両者の中間を採る決定を下したが、2009年度第2次補正予算を含めて考えると、2010年度の緊縮財政強行のリスクは排除されたと言ってよい。
鳩山政権内部では、藤井財務相と菅直人副総理が財政赤字拡大に対する強い懸念を表明し、景気支持策の規模を抑制する方向に行動した。藤井財務相も菅直人副総理も景気支持策の重要性を十分に認識しながらも、財政の非常事態を重視する姿勢を示したのである。
藤井財務相の後任人事が当面の焦点になるが、内閣のバランスを考慮すれば菅直人副総理が財務相に就任することが適切であると判断される。ただし、菅直人氏は日本経済の回復誘導が鳩山政権に課せられている最優先の課題であることを明確に認識する必要がある。
財政収支が史上最悪の状況に悪化しているが、財政収支悪化は麻生政権がもたらしたものである。2009年度第1次補正後の国債発行額が44兆円に膨張していたが、その後に税収の予算見積もり比9兆円の減少が明らかになり、国債発行金額が53兆円に膨張したのである。
じたばたしても現状は変わらない。ここは、開き直って、景気回復実現に軸足を移すべき局面である。2009年度補正予算を7.2兆円規模で編成したため、2010年度の財政政策からの景気抑圧効果は2兆円程度に圧縮された。この点に関する詳細は『金利・為替・株価特報』を参照いただきたいが、1997年度、2001年度の超緊縮財政による景気破壊のリスクは当面低下したのである。
後任の財務相はまず、2010年度当初予算の早期成立に全力をあげなければならない。藤井財務相が辞意を表明した最大の理由は予算審議中に辞任することになれば、予算成立日程に大きな影響を与えざるを得ないことを重視したことにあると考えられる。
鳩山首相が1月4日の年頭会見で表明したように、鳩山政権の最優先の課題として、日本経済の二番底への転落回避が掲げられている。鳩山内閣は予算の早期成立に全力をあげるとともに、必要に応じて追加景気対策を検討しなければならないのである。
藤井財務相が仮に辞任するとしたとき、後任の財務相はこの基本方針を明確に認識しなければならない。財務省は緊縮財政に政策を誘導しようとする病的な傾向を有するが、後任財務相は財務省を完全にコントロールして、いわゆる財務省路線に政策が引きずられないようなリーダーシップを発揮する必要がある。この点を踏まえれば、菅直人副総理が財務相に就任して、景気回復優先の政策運営を指揮するべきであると考える。
マスメディアが鳩山政権攻撃を激化するなかで、鳩山政権は2010年前半、文字通り正念場を迎える。3Kと呼ばれている「景気」、「基地」、「カネ」の問題を克服しなければならない。
「成長戦略」が取りざたされているが、短期的に一国経済の成長力が変化することはない。短期的には財政政策を中心とするマクロ経済政策が鍵を握るのである。三つの問題のうち、最も重大であるのが「景気」問題である。
「国民の生活が第一」であるとするなら、経済の回復誘導こそ、政治に課せられた第一の課題であり、景気回復誘導を基軸に据えた財政政策運営が強く求められるのである。
鳩山首相はこの問題について、早期に方針を定めて、景気回復優先の政策スタンスを明確に意思表示する必要がある。